「毎回説明するのが辛い」負担解消へ…全国に広がる“被害者手帳”とは?年56万人以上が直面 犯罪被害者と家族を守る支援【Nスタ解説】
11月1日~12月1日までは「犯罪被害者月間」です。
犯罪被害に遭い、様々な問題に直面する犯罪被害者やその家族。その支援のために新たに導入された「被害者手帳」とは?
【写真で見る】シンボルマーク「ギュっとちゃん」 “犯罪被害者”支援の輪を広げるために
2024年の犯罪被害者は少なくとも56万人 どんな支援が必要?
高柳光希キャスター:
犯罪には様々な種類がありますが、2024年の「人が被害者となった刑法犯」の認知件数は約56万件にも及びます。そのため、被害者は少なくとも56万人に上り、さらにその家族も含めると大変な数になります。
犯罪被害に遭った人やその家族は、犯罪の直接的な苦しみだけでなく、その後の心と体の不調や、経済的な問題にも直面します。
被害者の人たちは、どのような支援が受けられるのでしょうか?
TBS報道局社会部 秋本壯樹 記者:
“犯罪被害者”のニーズとしては▼日々の生活、▼こころ・からだの健康、▼知りたい・関わりたいということが挙げられています。
それぞれのニーズにおいて、以下のような支援があります。
▼日々の生活
→犯罪被害給付制度
▼こころ・からだの健康
→カウンセリングや自治体での相談
▼知りたい・関わりたい
→裁判への被害者参加制度
被害者たちの“負担”という声で誕生 新たに導入「被害者手帳」
TBS報道局社会部 秋本壯樹 記者:
このような支援がある中で、2026年4月から新たに導入されたのが「被害者手帳」です。
犯罪被害者やその家族から「被害の状況を毎回窓口で説明することは精神的にも手続き的にも負担だ」という声が上がっていたことから誕生したものです。
高柳キャスター:
手帳の内容としては▼被害状況や▼悩み、▼支援の経過などがあり、自由記入欄もあるため、▼刑事手続きの流れや▼支援制度の情報なども書くことができるということです。
TBS報道局社会部 秋本壯樹 記者:
この手帳があると、様々な手続きをするときに繰り返し説明をする必要がなくなります。また、数年後に支援が必要になった場合でも、これまでに受けた支援をスムーズに確認できるものになっています。
高柳キャスター:
11月6日時点で7府県で運用されていて、2026年度中に全47都道府県で運用を開始する予定となっています。
被害者の家族からは、どのような声が上がっていますか?
TBS報道局社会部 秋本壯樹 記者:
殺人事件の遺族からは「その時々の心境や被害の状況を整理してメモできるのがいい」という声や、不同意わいせつ事件の被害者の母からは「担当者の名前や受けた説明の内容を1冊で管理できるのはすごく便利」という声が上がっています。
日比麻音子キャスター:
被害者手帳を使いたい人は、手続きや資料などが必要になるのでしょうか。
TBS報道局社会部 秋本壯樹 記者:
被害を受けてしまったという申告を警察署などにしたときに、そこで手帳を交付してもらうという流れだそうです。
日比キャスター:
警察への被害届や相談の際に、希望される人が受け取れる仕組みですね。
デジタル時代に「手帳」で記録する意味
日比キャスター:
新たな被害者手帳の導入で、どのように使われていくのかに引き続き注目ですね。
「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
被害者支援の必要性は言うまでもないので、それをこのような形で実現するのはいいことだと思います。
犯人や被害状況についての記述は、人によっては書く行為自体が負担になってしまう可能性があり、トラウマに繋がりかねません。
私が見た警察庁のサンプルだと、自分が書きたいことを書く欄と、書きたくないことを書く欄が離れたページにあり、被害者や家族の心理に寄り添った形になっていると思います。
また、記入は自由だということを、交付する段階で受け取る人に伝えてほしいです。これが義務になると目的が変わってしまいます。
支援制度や司法手続きについても一般の方はなかなか分からないものなので、自分が今の段階でどこにいるのかが分かるだけでも、安心感に繋がりそうです。そういう意味で、この普及を順調に進めてほしいなと思います。
日比キャスター:
手帳という「形」にして記録することになるので、皆さんがどのように手帳や被害と向き合っていくのか、慎重に見ていかないといけませんね。
「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
手帳という形がいいのだと思います。今は多くをデジタルで記録するようになっていますが、私がそれで思いつくのは「母子手帳」です。
最近は母子健康手帳や親子手帳という呼び方をすることもありますが、子どもの生育や発達の状況を細かく書いたり、予防接種や病気の罹患の記録を残したりすることで、子どもを見守る材料になります。
実は日本は世界に母子手帳を広げる活動をしていて、JICA(独立行政法人国際協力機構)が支援した結果、36か国に広がっています。
母子手帳は広がれば広がるほどいいですが、被害者手帳は本来、その必要性が増大しないほうが望ましいものです。しかし、被害者や家族が手帳の存在に救われたり、何度も繰り返し説明することから解放されるなら、とても意味があることだと思います。
支援の輪を広げるシンボルマーク「ギュっとちゃん」とは?
高柳キャスター:
被害者支援をもっと身近に感じてもらいたいということで、犯罪被害者支援のシンボルマーク「ギュっとちゃん」がいます。
TBS報道局社会部 秋本壯樹 記者:
ギュっとちゃんは2010年に誕生しました。2026年にはイラストから抜け出し、今回Nスタのスタジオにも出演しています。
【犯罪被害者等支援シンボルマーク「ギュっとちゃん」】
・アンテナ:困っている人の気持ちをキャッチ
・ハート:みんなの支援の心
・おもさ:いちご大福4個分
・趣味:おでかけ・SNS投稿
ギュっとちゃんの姿を見た人が、犯罪被害者やその家族の支援について思い出し、誰もが身近なところから支援を考えていくきっかけになるといいなと私個人も思っています。
日比キャスター:
困っている人の気持ちをキャッチするというギュっとちゃんのアンテナのように、被害で苦しまれている人たちを一人にしないことが何よりも大切だなと感じました。
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<プロフィール>
秋本壯樹
TBS報道局社会部 警察庁担当
凶悪事件などの被害者を取材
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BS-TBS「報道1930」ニュース解説