「尽力」という言葉は、ビジネスシーンでも使用される言葉です
文字通り『力を尽くす』の意があるのですが、重要なポイントとなるのは『誰が』行うことなのか。
そこでここでは、この「尽力」という言葉について解説します。
「尽力」の意味や用い方
まずは「尽力」の意味や使い方について見ていきましょう。
「尽力」の意味
「尽力」とは、目的・目標の実現のために力を尽くすことです。
この言葉を使用するのは、『目標を達成するため』『目的に達する事』が前提となります。
つまり、とりあえず頑張る!という状況に対して用いるのは適切ではありません。
目標が目的といったゴールに向けて全力で挑むという意味ということになります。
敬語としての「尽力」
「尽力」は、敬語としての表現のひとつでもあります。
その際は、自分にも相手にも使用できます。
謙譲語として、自身の行動に対して使用する場合は「尽力させていただきます」といった形になります。
依頼された内容などに全力で対応するという意が込められた表現となります。
相手の行動に対して尊敬語として用いる場合は「ご尽力を賜る」のようにして使用します。
わざわざ対応していただきまして〜といったニュアンスが込められています。
自分に対しては、謙譲語なので「尽力」ですが、相手の行動に対しては尊敬語なので「ご尽力」になるという、敬語としての違いがあります。
「尽力」を用いる際の注意点
便利に使用できる「尽力」ですが、使用する際に気を付けないといけない点がいくつかあります。
自分の過去の行動に対しては用いない
「尽力」は、自分の過去の行いに対しては使用するのに適した言葉ではありません。
自分がこれから行う、近い未来の行動に対して使用します。
「尽力させていただきます」などのように表現します。
尽力したという表現だと、これまで一生懸命対応してきたという恩着せがましい表現となります。
相手に全て投げ打って尽くしてきたのに、報いてもらえなかったり裏切られた状況に対して「これまで尽力してついてきたのに!なんで!!」ならズレてた表現では無いようです。
「ご尽力」と「お力添え」は意味合いが異なる
敬語表現となる「ご尽力」、これは手助けを受けた際やサポートをしてもらった際に用います。
同様のシチュエーションで用いる敬語表現として「お力添え」がありますが、両者には言葉のニュアンスに違いがあります。
一般的には、「ご尽力」の方が重い言葉で、本腰を入れてもらったり全力で手助けをしてもらった際に感謝の念を込めて用いるとされます。
しかし、どちらも助けてもらった際に用いる言葉ですので、どちらを用いたら間違いというわけではありません。
とはいえ、ちょっと作業を手伝った程度の事で「ご尽力ありがとうございました!」と深々とお礼をしたら、相手からは嫌味かな?なんて受け止められてしまうかもしれません。
「ご尽力お願いします」という表現はしない
「ご尽力」は、何かをお願いする際に使用するのも適切な言葉ではありません。
基本的には、お礼として用いる敬語表現となります。
「ご尽力お願いします」は、「全力で手伝ってください」といった上から目線の表現として受け取られかねないということになりますね。
自分に対しての「尽力」がこれからの未来の行動に対して用いるのに対して、相手に対しての「ご尽力」は過去の行動や結果の出た物事に対して用いるという事になります。
「尽力を尽くす」という表現はしない
「尽力」には、持っている力を出し切るという要素が含まれた言葉です。
同じ漢字「尽」を用いる「尽くす」もまた、全てやりきるという意味があります。
ですから、「尽力を尽くす」という表現は、二重表現になってしまうのです。
「尽力」の類義語
ここからは「尽力」の類義語について見ていきましょう。
「尽力」の類義語としては、「注力」や「ご助力・ご協力」などがあげられます。
注力
「注力」は、物事に力を注ぐことを意味する言葉です。
最大限であったり精一杯物事に力を入れて対応するといったニュアンスがあります。
「全身全霊」「粉骨砕身」「一生懸命」といった四字熟語も同様に力の限り挑むという意味があります。
ご助力・ご協力
「尽力」の敬語に当たる「ご尽力」の類義語として、「ご助力」「ご協力」などがあります。
これらの言葉は、相手にサポートしてもらった場合に感謝の意味を込めて使用する場合がほとんどです。
まとめ
「尽力」は、ビジネスの世界でも使用される言葉です。
自分の行いに使用する場合と、相手の行動に使用する場合で使用方法が異なるという特性があります。
自分の動作に対して用いるなら、ある行動をこれから(未来)全力で挑み対応するという意味になりますし
相手の行動に対してなら、手助けしてくれたことへの感謝を込めた表現となります。