「竹」という植物は、古来よる私たち日本人の身近にありますし、加工することで道具や民芸品などとして使われてもきました。
ところでこの竹、レアケースではありますが花を咲かせることをご存知でしょうか?
竹の花を見たことがないどころか、竹に花が咲くことさえ知らない、という人も多いのではないでしょうか。
咲かせるのが非常にレアなことから見るとラッキーとも不吉なことが起きる前触れだともいわれる竹の花について解説します。
めったに咲かない竹の花
花というと年に一度といったコンスタンスな周期で咲かせるイメージがありますが、開花するのがレアケースという場合はどのくらいになるのでしょうか。
竹の開花周期は120年?
竹は私たちにとってなじみのある植物ですよね。
でも竹の花の咲いているところを見たことはありますか?
この質問に「イエス」と答える人はほとんどいないと思います。
なにせ竹の花の咲く周期は約120年に1回といわれているほどなのです!
これは、ハチクとマダケの開花周期といわれていますが、タイミングによっては人生で一度も竹の花の咲く時期が来ないという人もいるかもしれません
開花周期が分かっていない竹も多い
ただ、竹の花の咲く周期がわかっていないものもあります。
例えばモウソウチクは日本国内で開花した事例はたったの2例だけです。
これだけで特定はできませんが、いずれも種まきをしてから67年後に開花しました。
このデータを見ると、大体60~120年周期で花が咲くのではないかと考えられていますね。
見つけられたらラッキーと思いきや!竹の花は不吉の前触れ?
咲かせるのが60年に一度とも、120年周期だともいわれる竹の花。
その周期から咲いているのを見つけるとラッキーなようにも思われますが、不吉なものともされているそうです。
なぜそのようにいわれているのでしょうか?
開花するのが病気扱いされる竹
これだけ長い時期、咲かない竹の花を見られればラッキーですよね。
何か縁起のいいことが起こりそうですが、実は不吉の前触れかもしれません。
なぜなら竹は開花すると、自身はもちろんのこと竹林ごと一斉に枯れてしまうからです。
ここから「開花病」というありがたくない言葉で紹介されることも。
竹は、竹林全体で一つの命といわれています。
実は、地下茎で竹林を広げていく植物なのでたくさん生えているように見えて元は一つなのです。
一つの竹が広範囲にわたって生えているという事になります。
そして、この竹は開花すると種子を残し、枯れるという生態があります。
どこかで花が咲けば、それは竹林一つの寿命のサイン。
だから一気に枯れて、竹林ごと消えてしまうのです。
めったに見られない竹の花がなぜ不吉とされるの?
めったに咲かない竹の花。
しかも咲いたら竹林がすべて枯れてしまう、このようなところから竹の花は死と消滅の象徴と考えられ、不吉な前兆となったわけです。
実際1960年代に日本でマダケの開花が確認されました。
その後、日本全国のマダケの約1/3が枯れてしまったそうです。
その結果、原料不足で竹製品がピンチに陥りました。
古くから縁起物とされた竹
竹の花は不吉な前兆といわれますが、竹そのものは昔から縁起物とされてきました。
松竹梅は縁起物の象徴ですよね!
松竹梅が縁起ものとされる理由
この松竹梅を縁起物とするルーツは中国にあるとされます。
中国には、「歳寒三友(さいかんさんゆう)」という文人画の画題があります。
この歳寒三友というのは、厳しい寒さの冬に友とすべき3つの植物という意味があります。
もともとは様々な植物が3つ描かれていたのですが、いつしか松竹梅が定番の組み合わせになりました。
とはいえ、中国ではこの歳寒三友は縁起物とは見られませんでした。
それが日本にやってくると、徐々に縁起物ととらえられるようになっていきました。
松竹梅に共通しているのは、冬の厳しい寒さにも負けない生命力。
寒さに負けずに枝葉を伸ばし続けるその姿に感銘を受け、徐々に縁起のいい植物と認識されるようになったのです。
竹がこのような変異により縁起物として浸透したのは、室町時代のことといわれています。
竹の成長速度もイメージがいい
室町時代に入ると茶道や華道が盛んになりました。
そしてどちらでも、庭園や茶室に竹は欠かせないアイテムとなりました。
そこから急激に、竹が日本全国で栽培されるようになりました。
竹は、短期間でまたたく間に成長します。
そのイメージから子孫繁栄のシンボルとして浸透しました。
まとめ
竹は日本各地で年中見ることができますが、その花となるとほとんど見る機会はありません。
なぜなら、なかなか花が咲かないからです。
竹の花が咲くと、辺り一帯の竹も一斉に枯れてしまいます。
この事から、竹の花は縁起が悪いといわれています。
しかし、竹そのものは子孫繁栄をはじめとした縁起物として広く知られています。