寿司のネタなどでも人気の食材、それが「赤貝」です。
ただ、この「赤貝」……切ると血が出るちょっと怖い貝です。
では、なぜ「赤貝」から人間と同じような血液が出るのでしょうか?
今回はそんな「赤貝」が持つ成分について解説します。
併せて江戸前寿司との関係についても説明するので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
「赤貝」とは
まずは「赤貝」がどのような貝なのかを見てみましょう。
赤貝はこんな貝
「赤貝」はフネガイ科に分類される二枚貝です。
内湾の潮間帯や浅海の砂泥底に浅く潜って生息しています。
その殻には42本前後の放射肋があるのが特徴です。
ただ、殻自体は赤色ではなく黒色や茶色、緑色を混ぜたよう色をしているのも特徴となっています。
その一方で身は赤く染まっているなど、不思議な貝と言えます。
赤貝の旬
「赤貝」の旬は秋から春にかけてと言われています。
「赤貝」は春の終わり頃になると産卵の準備をします。
その際、卵巣や精巣に負担がかかることで身が痩せてしまい、味も落ちてしまうのだとか。
そのため、できれば繁殖期が来る前に食べたいところです。
逆に秋から春にかけての時期は身が引き締まっていて美味しいと言われています。
そのコリコリとした独特の食べ心地と味わいは「赤貝」ならではのもので、寿司などでも定番のネタとなっています。
血のような汁を出す赤貝
「赤貝」を切ると血のような汁が出てきます。
この汁は一体どういったものなのでしょうか?
その汁は正に血!?
「赤貝」の汁は血のように真っ赤なのが特徴とされています。
この血のような汁は文字通り「赤貝」の血液と言えます。
では、なぜ人間の血のように真っ赤なのでしょうか。
それは人間と同じヘモグロビンを持っているためです。
「赤貝」の血液には哺乳類と同じヘモグロビンが含まれています。
成分は人間の体内を流れている血液とほぼ変わりません。
そのヘモグロビンが鉄と結合することで真っ赤になります。
ただ、ヘモグロビンを持つ貝類は少ないと言われています。
一方でフネガイ科の二枚貝の多くはヘモグロビンを持つとか。
当然ながら他のフネガイ科に分類される二枚貝も血液は真っ赤です。
つまり「赤貝」が赤いのはヘモグロビンの影響だったのです。
もちろん、その分鉄分もたくさん含まれているので貧血気味の人におすすめと言えます。
江戸前寿司に欠かせない「赤貝」
「赤貝」は江戸前寿司に欠かせない食材の1つです。
最後に「赤貝」と江戸前寿司の関係を見てみましょう。
東京湾でも取れた「赤貝」
かつて「赤貝」は東京湾で盛んに採れた食材の1つでした。
そのため、昔から江戸前寿司に欠かせないネタの1つだったとか。
ただ、今は乱獲や埋め立てによる影響で漁獲量が激減しており、国内に出回っている「赤貝」も輸入したものが主です。
逆に国産のものはとても美味しいことから高級品として扱われています。
通好みの「赤貝の紐」
通好みの食材とされるのが「赤貝の紐」の部分となります。
赤貝はきゅうりとの相性がとても良いことで知られています。
中でも「赤貝の紐」の部分をきゅうりと巻いた「ひもきゅう」は絶品なのだとか。
また「赤貝の紐」を握りにして食べられることもあります。
そうした「赤貝の紐」はよりコリコリとした食感を楽しめることから根強く支持されています。
その赤貝、赤貝ではないかも・・・!!
「赤貝」は輸入したものが出回っています。
国産のものはなかなか出回ることがありません。
むしろ、代用品が出回っていることもあります。
その1つとなるのが「サルボウガイ」などの貝類です。
「サルボウガイ」も「赤貝」と同じフネガイ科の二枚貝です。
東京湾をはじめ瀬戸内海や中海、有明海で大量に漁獲されることから「赤貝」の代用品としても重宝されています。
まとめ
「赤貝」は寿司のネタとしても定番の食材となります。
そんな「赤貝」は人間と同じヘモグロビンを持っています。
切ると血のような赤い汁が出るのはその影響です。
他のフネガイ科の二枚貝もヘモグロビンを持っているので、鉄分補給にいかがでしょうか?