紫陽花の一種となる「アナベル」。
一般的な紫陽花は青やピンクに紫といった花を咲かせますが、アナベルは白い花を咲かせます。
しかも、このアナベルの花色の変化は他の紫陽花とは異なるのです。
そこここでは、アナベルと紫陽花の違いについて解説します。
白い紫陽花「アナベル」とは
「アナベル(Annabelle)」は、白い花を咲かせる紫陽花の一種です。
では、その原生地や開花時期について見ていきましょう。
アナベルの原生地
アナベルは北アメリカ大陸を原産地とする紫陽花です。
特にアメリカ合衆国東部に広く自生しています。
森林や湿地帯で見られ、湿潤な環境を好む植物となります。
アナベルの開花時期
アナベルの開花時期は、一般的に6月から7月にかけてとなります。
地域や品種によって前後することはありますが、紫陽花とほぼ同じ時期に花を咲かせます。
夏の初めに美しい花を楽しむことができる植物といえます。
開花してから変化していくアナベルの花の色
アナベルの花は、開花してから時間の経過とともに色の変化がみられます。
ではどのような変化をしていくのでしょうか。
開花直後
アナベルの花は、開花直後は鮮やかな緑色をしています。
ライトグリーンともいえるその花はまだ小さく、毬のような形状にもなっていません。
満開の頃合い
アナベルは満開に近づくに連れて、花の色が白くなっていきます。
開花から数週間経つと、花の直径は大きくなり、白い花がたくさん咲いている毬のような姿が見られます。
盛りを迎えた後
アナベルは花の盛りを迎えると、再び色が徐々に変化していきます。
白い花が少しずつ緑や茶色に変化していきます。
瑞々しさもなくなり、次第に天然のドライフラワーのようになっていくのです。
他の紫陽花との違い
アナベルは、一般的な紫陽花とどのような違いがあるのでしょうか。
「紫陽花」や「西洋アジサイ」における花の色の変化
紫陽花や西洋アジサイと呼ばれる品種の多くは、花の色が鮮やかな青や紫だったりピンク色をしています。
この色の違いは、「アントシアニン」という成分によるものです。
アントシアニンはアルミニウムと反応することで青色へと変化するという性質があります。
紫陽花や西洋アジサイの場合、植えられている土壌の成分によって色が変化します。
土壌の酸性度が強いとアルミニウムは溶けやすくなるので青い花を咲かせ、アルカリ性の土壌ならピンクや赤の花を咲かせるのです。
しかし、アナベルはアントシアニンを有していません。
そのため、土壌の成分が酸性だろうとアルカリ性だろうと白い花を咲かせます。
剪定の違い
アナベルは新枝に花を咲かせる、新枝咲きと呼ばれる植物です。
そのため、新芽が出る前の冬季までに切り戻しと呼ばれる茎を地面近くまで剪定する作業を行っておけば夏に花を咲かせます。
一般的な紫陽花や西洋アジサイは、旧枝咲きと呼ばれる花芽のつき方をします。
翌年の花芽となる新芽が夏の終わりの時期に出てくるので、それまでに剪定を終えておく必要があります。
剪定する際は、花の咲いた枝のみ切り落とします。
花の咲いていない枝には、翌年花が咲くのでそのまま残しておく必要があります。
原生地も大きく異なる
北米大陸を原生地とするアナベルに対して、紫陽花や西洋アジサイの原生地は日本となります。
日本の植物なのに「西洋」アジサイと呼ばれている品種があるのは、ヨーロッパに伝わった紫陽花が現地で品種改良され日本に逆輸入されたという歴史があるからです。
まとめ
白い花を咲かせるアナベルは、「紫陽花」の一種です。
花の色が白という一般的な紫陽花との違いがありますが、これは紫陽花にはあるアントシアニンという成分を有していないことから来ています。
そして、紫陽花や西洋アジサイが日本を原産地としているのに対して、アナベルは北アメリカを原産地としているという違いもあります。