生物が生きる為に必要な器官の一つとなる「心臓」。
人類をはじめとした多くの生命体は心臓がひとつですが、中には1個体で複数の心臓を持つ種もいます。
例えば、海洋生物として知られている「イカ」もその一種で、なんと心臓は3つあるとされています。
では、なぜ3つも心臓があるのか、1つは心臓が止まっても死なないのか。
そんな「イカの心臓」について解説します。
イカの心臓は3つ
海生軟体動物の一種となる「イカ」。
世界中の海に生息しており、浅瀬から深海まであらゆる環境の適応した種のいる生物です。
イカの心臓について
イカには心臓が3つあります。
その心臓というのは、他の生物と同様に全身に血液を送り出すための心臓と、鰓(エラ)心臓と呼れる2つの心臓です。
鰓心臓は、正にエラ部分に血液を送る為にある心臓で補助的な役目のある心臓です。
イカの心臓の位置
イカの心臓は1つがメインの心臓で、残りの2つは鰓心臓です。
メインの心臓の位置は胴体の真ん中あたり、鰓心臓は左右にあるエラの付け根に備わっています。
なぜ心臓が3つもあるの?
では、なぜイカにはメインの心臓の他に補助的な役目として鰓心臓があるのでしょうか。
心臓が3つある理由
イカは、海の中でゆらゆらと悠々自適に泳いでいるわけではありません。
その最大遊泳速度は、時速41kmというかなりのスピードです。
これは、人間が陸上競技の100m走を9秒で走るのに等しい速度ともいわれています。
運動量が多いイカは大量の酸素が必要になりますので、心臓1つでは酸素の供給が追い付きません。
そこで、メインの心臓は体に、鰓心臓はエラに効率よく血液を送り込むための心臓として機能しています。
タコも同じく3つ
イカに似ている生物としてあげられるタコ。
このタコも、メインの心臓が1つ鰓心臓が2つと合計3つの心臓があります。
そして、3つの心臓の位置と役割もイカと同じです。
タコは海底を歩いて行動することも多く、泳ぎはそれほど得意ではありません。
しかし、逃げるときには、時速40kmも出せるのだとか!
しかも海中で歩いて行動していることもあり、体の90%は筋肉とされています。
イカは心臓を1つ失っても生きてるの?
イカには合計3つ心臓があることが分かりましたが、この心臓はひとつ欠損しても生命活動に支障はないのでしょうか?
鰓(エラ)心臓はあくまで補助
残念ながらメインの心臓を失ってしまったら、さすがに生きていくことはできません。
鰓心臓は補助的な役割なので、もしそのうち1つを失っても、すぐに生命の危機に位置いることはないともされています。
しかし、エラに酸素が行きわたらなくなるので、泳ぐことに支障が出て徐々に力尽きてしまうことになるでしょう。
他もすごいぞ!イカの不思議
実は目がイイ!
イカは、目が良いといわれています。もちろん視力検査をしたわけではありませんが、構造を調べると0.5程度の視力があります。
一般的な魚の視力は0.1~0.6といわれていますので、なかなかのものですよね。
実は貝類!
貝類は生物学的に軟体動物となりであり、イカは「頭足網」として貝類に含まれます。
代表的な貝類というと、ツノガイ類や二枚貝類にヒザラガイ類等が挙げられます。
体を覆う貝殻が特徴ですが、実はいかにもこの貝殻が存在します。
それが「イカの甲」とも呼ばれている「軟甲」という部分。
軟体生物らしくない、骨のような硬いこの軟甲はかつてイカの体を覆っていた貝殻の名残です。
今では、貝殻をイカの筋肉が全身で覆っているということになりますね。
まとめ
イカには心臓が3つあります。
それは、メインの心臓の他に鰓心臓と呼ばれる補助機能としての心臓です。
この鰓心臓は、海中を泳ぐイカの鰓に血液を送るという重要な役割があります。
海中を泳ぎ回るイカの最高スピードは、最大で時速40kmにもなるのだとか。
そのため、メインの心臓だけでは、エラに血液を送るのが間に合わないことから鰓心臓が必要となったのです。
あくまでも補助機能としての心臓なので、メインの心臓が壊れてしまったら、イカは生きていくことはできません。