Aが原因でBとなることやAを進めた結果としてBとなることなど、特定の因果関係を意味するのが「ひいては」という言葉です。
この「ひいては」は前後の文章を繋ぐ役割を持っています。
しかし、どのように使用すべきなのかわかりにくいです。
そこで今回は「ひいては」がどのような言葉なのかを解説します。
併せて「ひいては」と「しいてや」「ひいてや」との違いも説明するので、参考にしていただけると幸いです。
「ひいては」とは
まずは「ひいては」がどのような言葉なのかを見てみましょう。
「ひいては」の意味
「ひいては」には主に3つの意味があるとされています。
1つ目は「目先を変えないままに先を見る」ことです。
2つ目は「ある事象が広がって影響を及ぼす」ことです。
そして、3つ目は「ある事柄によって別の物事が起こる」こととなります。
このように「ひいては」は特定の背景があって、それが原因で他の何かに繋がることを言う言葉となります。
「ひいては」を用いた表現・その解説
「ひいては」は前後の因果関係を繋ぐ言葉として使用します。
例えば「1つの原因がAとなり、ひいてはBとなる」のように使用します。
もしくは「Aに起因してBとなる」「Aを進めた結果としてBが得られる」という感覚で使用すると覚えておきたいです。
「このビジネスは国のため、ひいては世界のためになる」
「小さな争いが関係悪化、ひいては国際問題となりかねない」
このようにある事柄が結果として何かに繋がることを意味します。
もしくは特定の物事がさらに他の何かへと連鎖することを言います。
これらAとBの関係を意味する表現が「ひいては」です。
「ひいては」の成り立ち
「ひいては」は「ひいて」を強調した表現となります。
その「ひいて」は「ひく」に前後の文節をつなぐ接続助詞「て」が付いた「ひきて」から来ていると考えられています。
その音が変化して「ひいて」と言うようになったとか。
ちなみに「ひいては」は漢字で「延いては」と書きます。
この「延いては」の「延」は「延びる」だけでなく「広がる」「招く」も意味する漢字となっているそうです。
そこから転じて、前後を繋げる役割をしながら「広がる・招く」を意味する言葉として「延いては」が成り立ったとされています。
「ひいては」の類義語
次に「ひいては」の類義語を見てみましょう。
結果的に
「結果的に」とは結果に関係のある様子のことを意味します。
主に結果から見た様子の意味で使用される言葉となります。
「結果的にうまくいった」のように使用されるのが特徴です。
そうした因果関係を示す点が「ひいては」と重なるのではないでしょうか。
留まらず
「留まらず」とは進行していたものが停止せずさらに進むことを意味します。
ある地点や段階にあっても停止せずに進んで行く様子の意味で使用されます。
特に「病気にとどまらず障害まで負ってしまった」のように使用されることが多いです。
そうした因果関係を示す点が「ひいては」に通じます。
それゆえ
「それゆえ」は前の事柄や後の物事の原因となることを意味する言葉です。
ある言葉に付随して「○○ゆえに」と使用されることも多いです。
例えば「氷が解けたゆえに水になった」のように使用されます。
そうした前後関係を意味するところが「ひいては」と似ているかもしれません。
「しいてや」や「ひいてや」との違い
最後に「しいてや」「ひいてや」との違いをまとめます。
「しいてや」とは
「ひいては」と似た言葉に「しいてや」という言葉があります。
これは単なる「しいては」の誤用と考えられるのですが、そもそも「しいてや」という言葉は存在しません。
それどころか「しいては」という言葉も存在しません。
これに関しては漢字の「強いて」の誤用が原因と考えられます。
実際に「ひいては」は「延いて」から来ているため、同じように「強いて」から派生したのではないかと言われています。
しかし、基本的には「ひいては」しか使用しません。
ましてや「しいてや」などという言葉は存在しないので注意しておきましょう。
「ひいてや」とは
「ひいては」と似た言葉に「ひいてや」という言葉もあります。
ただし、これも単なる誤用として認識しておきたいです。
なぜなら「ひいてや」という言葉も存在しないためです。
そこは間違って使用しないよう気をつけておきましょう。
まとめ
「ひいては」は前後の因果関係を意味する言葉です。
AだからBというように2つの事柄や物事がどのように影響しているのかを意味する表現となっています。
そこは「Aに起因してBとなる」「Aを進めた結果としてBが得られる」という感覚で使用すると覚えておきましょう。