手に入るかどうか不確かなものに期待して、ああでもないこうでもないと計画を練ることをあらわす「取らぬ狸の皮算用」。
この表現は、まだ手に入っていない状態なのに、あれこれ考えることです。
しかし、なぜその状況を「取らぬ狸の皮算用」というのでしょうか?
ここでは、この「取らぬ狸の皮算用」という言葉について、その意味や由来、類義語について解説します。
「取らぬ狸の皮算用」とは
まずは「取らぬ狸の皮算用」という言葉の意味や表現について見ていきましょう。
「取らぬ狸の皮算用」の意味
「捕らぬ狸の皮算用」とは、手に入るかどうかもわからない不確かなものに期待して、ああだこうだと計画を練ることを例えた言葉です。
金銭が入ってくるかも定かでもないのに、その売上や利益をあてにすることもあらわしています。
根拠のない儲け話を、自分に都合良く考えて先走ることに対しても使用されます。
「捕らぬ狸の皮算用」や「獲らぬ狸の皮算用」でもOK!
「取らぬ狸の皮算用」の漢字表記にはいくつかあります。
多くの場合は漢字表記で「取らぬ」とされます。
しかし、ここで言う「取る」とは捕獲のことです。
そのため、別の漢字表記「捕らぬ」「獲らぬ」でも大きな問題にはなりません。
しかし、「皮」は「革」にすると、表皮から鞣したものに変化してしまうので表記を変えることはできません。
「取らぬ狸の皮算用」の由来
では「取らぬ狸の皮算用」はどのようにして生まれた言葉なのか。
その由来について見ていきましょう。
かつての狸が積極的に捕獲されていた様子から
「取らぬ狸の皮算用」は、狸の皮が防寒着として高い値段で取引されていたことから来ているとされています。
そのため、かつては狸を捕るとかなりの利益が出たのだとか。
ですから、狸が出たと聞けば捕まえて一儲けしたら「贅沢をしよう」などと先走った考えまでしてしまう人だっていたでしょう。
しかし、狸は賢いうえにすばしっこいので、容易に捕獲することができない動物です。
そのため、空回りする事になった人たちの様子から「捕らぬ狸の皮算用」ということわざが生まれたとされています。
「取らぬ狸の皮算用」の類義語
最後に「取らぬ狸の皮算用」の類義語を見ていきましょう。
その類義語としては「机上の空論」「飛ぶ鳥の献立」「沖な物あて」などがあげられます。
机上の空論
「机上の空論」は、机の上で考えただけで実際には役に立たない理論のことです。
頭で考えただけのものなので、実地に適用できない理屈を皮肉った表現となります。
飛ぶ鳥の献立
「飛ぶ鳥の献立」は、あてにならないことを期待して計画を立てることを意味します。
まだ捕獲していない、まだ空飛んでいる鳥をどのように料理するか考える様子から来ている言葉です。
沖な物あて
「沖な物あて」は、まだ手に入らないものをあてにすることをあらわしています。
この「沖な物」とは、「沖にある物」でまだ捕っていない魚などの獲物のことです。
まとめ
「取らぬ狸の皮算用」は、まだ手に入れてもいない不確かなことに期待して、ああでもないこうでもないと計画を練ることです。
ここで重要となるのが、狸はまだ捕獲していないという点にあります。
実際に手に入っていないのに、それをどうするか考えても無駄なものです。
その様子から生まれたのが「取らぬ狸の皮算用」という言葉になります。