「天衣無縫」とは、詩や歌の出来具合のよさをあらわす言葉です。
わざとらしい技巧表現は無くとも、完成された出来栄えを指す際に用いられます。
この天真爛漫は、人柄を指す際や座右の銘としても用いられる表現となっています。
そこでここでは、そんな「天衣無縫」について意味や由来などを解説します。
「天衣無縫」の意味
「天衣無縫」は、文や詩の出来具合に人柄や性格、座右の銘などに用いられます。
それぞれどのような意味合いで用いられるかを見ていきましょう。
文や詩を「天衣無縫」と評されたら・・・
文や詩を天衣無縫と評されたら最上の出来と褒められたと喜びましょう。
この場合、「天衣無縫」は余計な修飾などがなく自然で、わざとらしいテクニックは施されていないが完成されていると評価されています。
つまり、洗練された文や詩ということです。
人柄や性格を「天衣無縫」と表現されたら・・・
人柄や性格などを「天衣無縫」と表現する際は、純真で素直でまったく嫌みがない人という意味合いになります。
一般的には、褒め言葉で使われますが、相手を揶揄して用いることもあります。
悪意なく好き勝手して、周りに迷惑を与える人という要注意人物であるとマイルドに表現される事もあります。
座右の銘における「天衣無縫」
世の常識やこれまでのセオリーにとらわれず、自分らしい自然なふるまいを心掛けるといった座右の銘にされることも「天衣無縫」にはあります。
また、飾らない振る舞いを取ること「天衣無縫な振る舞い」という表現することもあります。
「天衣無縫」の由来
作為的な物はなく自然だけれども高いレベルでまとまっていることをあらわす「天衣無縫」。
その由来は、尊い存在とされたものから来ているようです。
「天衣無縫」とは天上界の人の服のこと
中国では、古くから天上界には天人や天女がいると信じられてきました。
「天衣無縫」は、その天人が身に付けていた衣から来ています。
天人や天女が纏う衣には、縫い目が無いと考えられていました。
つまり、人の手が入っていないかのような存在という事です。
この天人・天女の纏っていたとされる縫い目がないにも関わらず、衣として完成されたものになっている天衣。
これを由来として、作為的なものを感じないけれど洗練された形になっている詩や分を「天衣無縫」とい表現がされるようになりました。
「天衣無縫」の類義語
「天衣無縫」の類義語としては「天真爛漫」や「純真無垢」があげられます。
それぞれどのような意味かを見ていきましょう。
天真爛漫
「天真爛漫」は、純真そのもので自分の喜怒哀楽の感情の思う通りに振る舞う事を意味します。
特に無邪気で明るい様子をあらわします。
「天真」は、生まれたときの純真さを失わず偽りや飾り気がないことを、「爛漫」は花が美しく豊かに咲き乱れていること、明るく輝いていることをあらわしています。
純真無垢
「純真無垢」とは、清らかで穢れを知らないことです。
人を騙したり疑ったりする気持ちがまったくないことを指します。
「純真」とは不純なもの、特に邪念や私欲がないことを、「無垢」とは煩悩から離れていること、潔白で純真なことをあらわしています。
まとめ
「天衣無縫」は、狙った様子がない自然さにあふれているのにも関わらず洗練されている詩作や文章の事を評価する言葉です。
それが転じて、天真爛漫な人柄やセオリーにとらわれないという座右の銘としても用いられます。
この言葉は、天界に住む住人が身に纏う衣に縫い目などは無いとされたことが由来となっています。