「こわい」には、「怖い」と「恐い」の漢字表記があります。
この2つ、実は意味に違いはありません。
両社の違いは、常用漢字なのか常用外漢字なのかにあります。
まれに、主観性か客観性かで使い分けるとされる事もありますが、これは特に根拠のない俗説ともされています。
そこでここでは、「こわい」の漢字の違いについて解説します。
また、同じく「こわい」と読むことのできる「強い」との違いについて見ていきましょう。
「怖い」と「恐い」の意味と違い
「怖い」と「恐い」は基本的に同じ意味を持っています。
ただし、1つだけ違いがあります。
まずは両者の意味と違いを見てみましょう。
「怖い」と「恐い」の意味は同じ!
「怖い」と「恐い」、この2つの表記には下記のような同じ意味があります。
1.危害を加えられそうで不安な様子
2.悪い結果になることを心配する気持ち
3.不思議で不気味な物事
「怖い」と「恐い」が合わさった「恐怖」という言葉も、上記と同じ意味となっています。
「怖い」と「恐い」の違いはただ1つ!
「怖い」と「恐い」の違いは一点につきます。
それは、常用漢字か常用外漢字かという点です。
「怖い」は常用漢字表に記載がありますが、「恐い」は記載が無いため常用外漢字となります。
どちらを使うか悩んだら、とりあえず「怖い」にしよう
どちらを使うか迷ったら、とりあえず「怖い」を使いましょう。
「恐い」を使っても、問題はもちろんありません。
しかし、やはり常用漢字表にもある「怖い」の方が頻度は高くなります。
また、公用文や新聞などでも「恐い」ではなく「怖い」を用いています。
そのため、どちらを使うべきか迷ったら、「怖い」を使えば少なくとも間違いではないです。
「怖い」と「恐い」、この使い分けは間違い!
「怖い」と「恐い」は同じ意味なので、原則として使い分けません。
まれに使い分けがあるともされますが、これは俗説ともされ、実際にはその使い分けでは説明できない事もあるのだとか。
対象によって使い分けない
人でも物でも概念的、抽象的なものでもいずれも「怖い」と「恐い」が使えます。
「こわい」は何かが起こりそうで不安になることを指します。
また、良くないことを予測して心配になるも意味します。
これを対象によって使い分けるという意見もありますが、それは俗説とされています。
つまり、「怖い」と「恐い」は対象での使い分けの境界線はなく、どちらを使っても正解となります。
主観性と客観性では使い分けしきれない
「怖い」は主観的表現、「恐い」は客観的表現という使い分けがあるとされる事もありますが、この使い分けも俗説となっています。
「恐ろしい」という言葉が客観的な言葉だから、同じ漢字を用いる「恐い」も客観的表現だというのがこの考えの根拠とされています。
しかし、「恐い」と「恐ろしい」は意味合いが全く一緒ではないので言い換えの言葉としては用いられません。
そのため、同じ漢字を使っているとはいえ、「恐ろしい」に客観的に用いるので「恐い」も客観的だとするのは正しいとは言い切れないようです。
同音異義語「強い(こわい)」は全く意味が異なる
同じく「こわい」と読む言葉に「強い」があります。
こちらは、意味がまったく異なる語句となっています。
「強い」の意味
つよいではなく、「こわい」と読む「強い」は、かんたんに言いなりにならず頑固で強情な様や力強いもの、ゴワゴワしているという意味があります。
この「こわい」と読む「強い」は、「怖い」や「恐い」とは意味が違うのです。
怖いと恐いの語源は「強い」にあり!
ところが、「強い」は「怖い・恐い」と深い関係があります。
実は「怖い」「恐い」の語源は、「強い」にあるのだとか。
もともと、「こわい」はかたいという意味だったとされます。
そこから派生して「つよい」という言葉が生まれたとされています。
この「つよい」という言葉が、次第に「近づきがたい」という感情を表すようになっていきました。
それによって生まれたのが「怖い」と「恐い」いう表記だったのです。
つまり、「怖い」「恐い」の由来は「強い」にあると言えるのです。
まとめ
「こわい」という感情を表現するのに「怖い」「恐い」という表記があります。
ただし、「恐い」という表記は、常用外漢字です。
そのため、常用漢字表に載っている「怖い」を用いる方が確実ともいえます。
両者の使い分けは、対象が自分かそれとも相手や第三者かで行うとされることもあります。
しかし、それは俗説とされています。