![中国の今…さらに強まる国民への締め付け 深刻な人権状況とは?【風をよむ】サンデーモーニング](/assets/out/images/jnn/1031946.jpg)
いま中国では習近平体制のもと、国民への締め付けが厳しさを増しています。そんな中、あの周庭さんが、約3年ぶりに動画を公開しました。
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周庭さんが久々の動画公開
周庭さん(香港・民主活動家)「おかえりなさいませ!」
2月26日夜、およそ3年ぶりとなる動画を投稿したのは、現在カナダに滞在しているとされる、香港の民主活動家・周庭さん。7か月に渡り収監された刑務所での生活について語りました。
周庭さん(香港・民主活動家)「壁に囲まれて硬いベッドに座っている自分を見ると寂しさや悲しさがこみ上げてきました…『国家安全維持法』で起訴されて刑務所から出られなくなることがずっと怖かったんです」
周庭さんは現在、香港警察から指名手配されており、いつ当局の手が及ぶか分からない状況といいます。
さらに強まる香港への締め付け
一方、その香港では2月27日、政府への抗議の声が上がりました。
デモ参加者「多くの香港人は新しい法案について、とても懸念している」
市民が抗議しているのは、制定が予定されている「国家安全条例」。さらなる言論統制の強化が懸念され、80を超える人権団体が「人権状況に壊滅的結果をもたらす」と警鐘を鳴らしています。
しかし、中国政府はこの条例に積極的姿勢を見せていました。
中国外務省報道官「私たちはこれを完全に支持する。『国家の安全』に危害を加える行動や活動を予防し、香港の長期的安定を確保する」
一国二制度のはずの香港で、さらに統制を強めつつある中国。そうした状況は今、中国本土でも同様です。
中国国内でも強まる言論統制
ドキュメンタリー映画「ウルムチ中路」。2022年11月、中国各地でゼロコロナ政策を続ける政府に、白い紙を掲げ抗議した「白紙運動」の記録です。
「政府が白紙運動が起きたことを隠そうとしている」と訴える内容でしたが、当局は陳品霖監督を逮捕、2月に起訴しました。
政府によるこうした言論統制は、ネット空間にも及びます。
習近平国家主席「我々は、より平和で安全なサイバー空間を構築を提唱する」
2023年11月、インターネットに関する会議の場で、習近平国家主席は
中国独自にネット空間の管理を強めることを提唱。
中国の大手SNSは、50万人以上のフォロワーがいるインフルエンサーについて、実名の公開を求めると発表しています。
アメリカのNGOが行った「ネットの自由度」の調査では、中国は対象70か国中、9年連続最下位。こうした状況を専門家は…
東京大学大学院・阿古智子教授(現代中国研究)「政権に対し隠語とか使いながら批判する人にも圧力がかかって、どんどん 削除されていく。監視が進んでいる。ですから息を抜くことができない。疑問とかも、発信することができなくなってしまっている」
ある中国人女性の死…
さらに、こうした国民への規制は、時に深刻な人権問題にもなります。それを象徴するような出来事が、日本でも…
3月2日、都内の斎場で一人の中国人女性の葬儀が行われました。
亡くなったのは日本に留学中の唐正琪さん。3年前から重病を患っていましたが、2月20日亡くなります。しかし、その葬儀の場に、父親の姿はありませんでした。
娘の葬儀にも出席できない…
葬儀の参列者「娘に会うことすら許さない中国政府は非人道的です」
父親は、中国の元人権派弁護士、唐吉田さん。長年、立ち退きを強いられたり、宗教活動を制限されたと訴えたりする市民の弁護を行ってきましたが、政府批判を繰り返したためか、弁護士資格が剥奪されました。
その後も市民に法律面からのアドバイスを続ける中、3年前、日本にいる娘の重体の知らせを受けます。
唐さんは、何度も日本に渡航しようとしましたが、当局は「国家の安全 に危害を加える恐れがある」と出国を拒否し続けました。
唐吉田さん「あまりにも理解出来ません。自分の子の面倒を見ることが、どうして『国家の安全』を害することになるのか?」
結局、唐さんは娘に会えず、葬儀にも参加できないまま、現在、連絡も途絶えているといいます。
亡命を希望する中国人が急増中
国民に強権的な姿勢を見せる中国。こうした中、現在国外にいて、「亡命」を希望する中国人は去年だけで12万人以上。2010年の15倍に。
さらに、この厳しい統制が中国の経済的苦境を深めていると専門家は指摘します。
東京大学大学院・阿古智子教授(現代中国研究)「独裁的な権力がどんどん大きくなる中で、誰が安心して投資できますか? 経済もこのような環境では回復しない。自分で墓穴を掘り続けている状況だと思います。悪循環に入ってしまっている」
次々と市民から自由が奪われつつある、今の中国…。周庭さんは、公開された動画をこう結んでいました。
周庭さん(香港・民主活動家)「自分が今、カメラの前で自分のことを話せる自由は、当たり前のことではないと思う―」
(「サンデーモーニング」2024年3月3日放送より)