感染者が相次いで報告されている感染症「はしか」。そもそも症状は軽いのか?ワクチン接種は必要なのか?そんな疑問について、「いとう王子神谷内科外科クリニック」の伊藤博道院長にお聞きします。
【写真を見る】【医師が解説】はしか 国内で11人感染確認、はしかワクチン 2回目必要? 副反応は?【Nスタ解説】
感染者が相次いで報告されている感染症「はしか」。そもそも症状は軽いのか?ワクチン接種は必要なのか?
そんな疑問について、「いとう王子神谷内科外科クリニック」の伊藤博道院長にお聞きします。
「はしか」“空気感染”も
熊崎風斗キャスター:
〈はしか(麻しん)の特徴〉
・10~12日間の潜伏期間
・咳、鼻水、目の充血、高熱など、2~4日間続く
・39℃以上の高熱、全身に発疹など
・飛沫感染、接触感染、空気感染
感染報告も相次いでいます。
3月8日に都内の20代女性の感染が確認され、さらに11日も都内の5歳未満の男の子の感染も確認されました。11日までに、▼国内で11人の感染が確認されています。
この状況について…
林芳正 官房長官(3月13日)
「予防接種を2回受けていない方で罹患(りかん)したことがない方は、接種をご検討いただきたい」
疑問の声に医師「甘く見ない方がいい」
ただ、はしかについて、症状は軽い可能性があるのではないか、という意見もかなり多いんです。
SNSなどの声
「はしかごときで何で騒いでいるんだろう?症状が軽いので、おやつ食べてトランプして遊んだ記憶がある」
SNSなどの声
「自然免疫獲得チャンス。近所だったらもらいに行けっていうのになぁ」
このあたりは伊藤先生、どうなんでしょうか。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長:
まず、「症状が軽い」というのは間違いです。
実際はかなり倦怠感が強くて、体の痛みも強い方が多いです。それから、2~3週間くらいは免疫力がかなり落ち込むので、2次的に他のウイルスや細菌に感染することもあります。10~20年経ってから後遺症が出ることもあるんです。
こう考えると、症状が軽いということは少ないと思います。甘く見ない方がいいと思います。
近所にもらいに行ってくるのは大きな間違いで、40~50年前の昔の考え方です。今はしっかりと予防することが大事だと思います。
ホラン千秋キャスター:
大人がなる場合、子どもがなる場合、それぞれの症状の違いや気をつけなければならない点などは違ってくるんでしょうか。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長:
数は少ないんですが、大人の場合の方が症状が重くなるとも言われてます。
井上貴博キャスター:
どの感染症もそうですが、自分自身の免疫力が下がっている方、重症化リスクのある方、妊婦さん、妊娠を考えている方などは、やはり注意した方がいいという理解でいいでしょうか。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長:
免疫力が下がってる方、妊婦さんですが、妊婦さんにおいては流産・死産のリスクが高くなるといわれているので、気をつけなければいけません。
ワクチン接種 24~50歳は1回 51歳以上は未接種の可能性
熊崎キャスター:
ワクチン接種は必要なのか、様々な疑問の声があります。
SNSでの疑問の声
「はしかワクチン1回打ってる。2回目必要なのかな」
SNSでの疑問の声
「子どものころにかかった。まだ免疫ってあるのかな?」
SNSでの疑問の声
「回数わからない場合に打って、計3回になったらダメ?」
こういう声について、伊藤先生、いかがでしょうか。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長:
まずは1回打つことが大切ですが、基本的には2回接種が必要です。
1回打っただけだと、必ず十分な抗体価がつくわけではないんです。約95%と言われていますが、残りの5%の人は、打ったつもりになっていて、十分抗体価がついてないこともあります。長い歳月を経ると抗体価が落ちてきて、結局感染してしまうこともあります。
ホランキャスター:
(長期的に見ると)2回でも抗体価が落ちてきてしまうのですか。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長:
2回打った場合は、かなり長期にわたり、高い抗体価が維持できる可能性が高いです。やはり2回接種が望まれるということですね。
田中ウルヴェ京さん:
私の記憶では1回打った気がするんですけど、接種回数は年齢によって違うんでしたっけ?
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長:
▼おおよそ24~50歳までの方は、1回接種の可能性が高いです(特例措置対象者をのぞく)。▼そして51歳以上の方は、1回も打ってない、もしくは既に感染してる人の可能性が高いです。
ホランキャスター:
ちなみに3回になってもいいんですか?
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長:
3回になっても基本的には問題ないんですが、現在ワクチンの供給も少し不安定なところもあります。
冷静な対処で、場合によっては抗体検査をして確認をすることは大事になってくると思います。
ワクチンの副反応「かかったときの重症化・死亡リスクと比べたら格段に少ない」
熊崎キャスター:
新型コロナウイルスのときもありましたが、ワクチンの副反応はどうなのか、この点にも疑問の声があります。
SNSでの疑問の声
「はしかワクチン、副反応重めとかないのだろうか。今まで予防接種で副反応が出まくりだったから心配」
伊藤先生、副反応についてはいかがでしょうか。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長:
はしかワクチンの副作用(副反応)は、基本的に頻度が少ないです。
もちろん副作用(副反応)が全くないワクチンはないです。局所の疼痛、発赤、腫脹、発熱はありますが、軽度のことが多いです。
稀に心膜炎や脳炎という場合もありますけど、(はしかに)かかったときの重症化や死亡のリスクと比べたら格段に少ないので、安全性は高く、痛みも比較的少ないワクチンなので、そこまで心配しなくてもいいと思います。
ホランキャスター:
人によって違うというのは大前提なんですが、私はおそらく大学生のときに2回目を打ったことがあるんです。
新型コロナウイルスのワクチンも経験した上で考えると、打った後、何か副反応が出たという記憶もないので、ワクチンによって違うんだというふうに思います。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長:
打った後の痛みが一番少ないのは、一番軽いと思います。小さいお子さんでもそんなに泣かないという印象です。
井上キャスター:
ワクチンに関して、国としては量は十分あるとしていますが、現場では少しなくなりつつあるという情報も出てきている段階です。