21日の朝、栃木と埼玉で最大震度5弱を観測する地震がありました。なんとなく地震が増えている印象がありますが、首都直下地震との関連はあるのでしょうか。地震保険についてもお伝えしていきます。
【写真を見る】「日本は地震大国」地震保険料は3倍以上の地域差・・・相次ぐ地震、首都直下地震と関係は?【Nスタ解説】
経済被害は推計1001兆円…首都直下地震との関係は?
山内あゆキャスター:
まずは21日の地震の情報からみていきます。発生したのは朝9時8分ごろ。緊急地震速報が鳴りました。
震源は茨城県南部。震度5弱を観測したのは、栃木・下野市と埼玉・加須市です。気象庁は「千葉東方沖で相次いでいる地震との直接の関係はない」と発表しています。
では、首都直下地震との関連はどうなのでしょうか。筑波大学の八木勇治教授に聞くと「21日の地震が影響して、より大きな地震が起こるとは考えにくい」ということで、何か前兆のようなことは心配しなくてもいいようです。
改めて、首都直下地震とは、マグニチュード7クラスの大地震です。30年以内に70%の確率で発生するとされています。被害の想定は、最大で全壊・焼失が約61万棟。死者は約2万3000人と推定されています。
また、土木学会が3月14日に発表した最新の推計で、被害総額も変わってきました。2018年の推計では、首都直下地震の経済的な被害推計は778兆円でした。この金額に、東日本大震災後に得られたデータを加えて再調査したところ、1001兆円と、かなり上がったんです。
一方で、道路・建物など公共インフラを事前に対策する費用として21兆円以上を投資することによって、この経済的な被害は369兆円減らせる。事前に対策をすれば、被害はかなり減るということも推計で出てきました。
井上貴博キャスター:
我々は日本に暮らす以上、地震が起きることを前提にして生活すべきで、回避することはできないけれども、防災はどこまでもできる。
一方で、防災は常に裏切られるということもあわせて感じますね。
東京大学 斎藤幸平 准教授:
自然の力は私たちの想像を超えていろんなことを引き起こすので、防災したから安心というわけではないと思うんですけれども、この間『報道1930』(BS-TBS)で私がならった概念に、事前復興というものがあります。
復興は、今までは「起きてからみんなで元に戻そう」「より発展させよう」ということでしたが、それはある意味遅いわけですよね。
あらかじめみんなで地域で相談して、たとえばまちづくりをコンパクトにしておく、道路整備をしておく、避難がしにくいところは太い道路をつくっておくとか、そういうことをやっておくことが、最終的な被害を少なくすることにつながる。そういうことも今、議論されているみたいですね。
井上キャスター:
まちづくりの段階で、ということですね。
地震保険料には3倍以上の地域差 リスク管理どうする?
山内キャスター:
そして地震の被害に遭ってしまったときに、生活の助けとなる一つが地震保険です。
地震保険というのは火災保険の付帯保険で、火災保険にプラスして入ることができるものです。単独で加入することはできません。
全世帯の加入率は35%です(2022年)。年々上がってきてはいるのですが、あまり高いようには私には思えませんでした。
そして、実は都道府県ごとに金額が違います。最も高いのは東京・神奈川・千葉・静岡で、年間2万7500円です。最も安い地域である、年間7300円の北海道などと比べますと、かなり高いということがわかります。
この金額の違いがどんなところから出てきているのか、専門家に聞きました。ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子さんによれば「地震のリスクに比例する形で保険料が決まる」。さらに「大きな地震の後は値上がりする傾向。保険料は今後も上昇していく可能性が高いのではないか」ということです。
とはいえ、やはりこれから4月、引っ越しなどもあるので、十分考えてみる必要性はあるのかなと思います。
そしてもう一つ、こんなデータがあります。過去100年間の気象庁のデータで震度5、または震度5弱を観測した地域は、都道府県でいうとどのぐらいあるのか。
実はこれ、47都道府県全てなんです。八木先生は「日本は地震大国。どこにいても大きな地震が起こる可能性がある」と、いつものことですけれども注意喚起しています。
井上キャスター:
地震保険については、やっぱり西のほうが加入率が高い。意識の差が出ている。もちろん値段の問題もありますが、自分のリスクに照らし合わせてということなんでしょうね。
東京大学 斎藤幸平 准教授:
うちも、入るかどうかはもう1回考えなきゃいけないなと思いました。
日比麻音子キャスター:
このように地震のニュースなどがあると、どうしても怖いと思ってしまいますけれども、備えておくことで自分の身を守る、こういった意識をもう一度見直すことでまた一つ、命を守るきっかけにつながると思うので、できることはたくさんあるかなと思うんですよね。
東京大学 斎藤幸平 准教授:
どこに避難するかとか、備蓄とかもそうですし、あとは近所との付き合い、コミュニティのあり方が結構大事です。都会はそれが今なくなっているので。
誰か顔なじみをつくっておくと「避難してないよ彼女」とか「おじいちゃん、おばあちゃんどこにいる」とか、そういうのも含めて準備しておきたいですよね。
私も一応、やるようには心がけています。
井上キャスター:
どのくらいの範囲でやってます?隣近所?
東京大学 斎藤幸平 准教授:
隣近所に挨拶したりとか。
日比キャスター:
どうしても一人暮らしとかだと、なかなかそういった連絡をどう取るかとか、親と離れているので、どうやってここに集まろうかとか、そういう具体的なことまで決めないとなと思うんですけれども。
東京大学 斎藤幸平 准教授:
東京とかだとおじいちゃん、おばあちゃんとかたくさん孤立しているので、そうなると私はそこまでできていないですけれども、本当は町内会とかの仕事が大事になっているんですよね。
井上キャスター:
デジタルも大切だし、今までの文化もあわせて、ということなのかもしれないですね。