米国で、高木に登って降りられなくなった猫をボランティアとして救助し続ける男性がいます。要請があると仕事を放り出してかけつける彼の喜びは、猫の命を救って飼い主の元へ戻すことなのです。
高木から降りられなくなった猫
米国フィラデルフィアに住むDavid Fernandez-Morenoさん(21歳)はこの数日間、行方不明になった愛猫Shadowを探し続けていました。ある日、自宅近くを歩いていると、Shadowの鳴き声が聞こえました。何と、この猫は9メートルほどの高木の頂上でうずくまり、身動きがとれなくなっていたのです。Davidさんはあわてて助けを呼びに行きました。
専門家によると、猫は獲物を追いかけたり危険を感じて逃げたりする場合、高いところに登る傾向があるとか。しかし降りるのは苦手で、飛び降りることのできない高さの場合は、そのまま身動きできなくなってしまうのです。
「1月の気温は低く、雪も降っています。Shadowはすっかり凍えてしまっていました」と語るDavidさん。警察に通報すると、救助のための連絡先をいくつか教えてもらいました。
その中に、車で30分ほど離れたPitmanに住むプロの木登り名人Steven Murrowさん(39歳)がいました。彼はこの3年間、無償で100匹以上の猫を救出しています。
Stevenさんの本職は樹木伐採業ですが、連絡をするとすぐに仕事を放りだし、現地へ駆けつけてくれました。手際よく木に登り、やさしく声をかけてShadowを安心させながら近づき、持参した袋の中にタイミングよく猫を押し込んで、安全に降下してきました。この救出の様子を見守っていたDavidさんは大喜びでした。
救出後、DavidさんはShadowに餌と水を与え、検査のために獣医へと連れていきました。「少し痩せていましたが、それ以外は問題ありませんでした。体を温め、やさしくお風呂に入れてあげました」
「木登り技能」を生かして猫を救助
Shadowを助けてくれたStevenさんが初めて高木から猫を救出したのは、2021年のこと。Facebookの投稿で、1週間も木に登ったまま降りられなくなった猫のことを知った友人が、「助けてくれるか」と聞いてきたのです。「もちろん」と答えた彼でしたが、それまで猫を助けた経験はありませんでした。
無事救出に成功したこのときのことを、Stevenさんはこう振り返ります。
「猫を抱いて『もう大丈夫だよ』とささやいたとき、思わず涙が出てきました。空腹で脱水状態の猫は、臓器不全になる寸前だったのです」
当初は誰の猫なのかわからない状態でしたが、SNS上に情報を載せた結果、無事に飼い主へと引き渡すことができました。
この経験のあと、Stevenさんは「高木に登った猫を無償で救出する」活動を始めました。消防署のはしご車は必ずしも猫を救助できるとは限りませんが、Stevenさんは消防車が近寄れない場所にある木でも、重りをつけたロープを投げて枝に巻き付け、安全に昇り降りできる工夫をしています。
猫の命を救うために
「助けた猫が飼い主と再会できたと聞くと、ワクワクします。家猫はあちこち出かけていくことが多いので、救助した猫のうち1/4程度は、なかなか飼い主と再会できませんから」
彼は最近、ある動物福祉団体から「思いやりのある行動」をたたえる賞を授与されました。
しかしStevenさんがもっとも報われたと感じるのは、「怯えている猫をポーチの中に入れ、これで猫が地上に戻れるのだと確信する瞬間」だそうです。
「自分が木に登ることで猫の命を救えるなら、喜んでやります」という心やさしいStevenさんです。
出典:Yes, cats do get stuck in trees. This climber rescues them for free
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