野良猫への餌やりを制限するなどの条項を定めた、カナダのとある市の野生動物条例。これに対して猫の保護活動を行う団体が反発しています。増え続ける野良猫をどう抑制していくのか、立場の違いを乗り越えた検討・協力が必要になっています。
猫の保護団体が市条例に異議
カナダのオンタリオ州にあるWindsor市の野生動物条例に対して、地元の猫保護団体が異議を唱えています。この条例では、「個人の所有地で餌を与えてもよい野良猫は4匹以内」とされています。
「The Windsor Community Cat Network」は、猫を捕獲して避妊手術やワクチン接種をしたり、野良猫に餌を与えたりするなど、猫の支援を行っているボランティア団体です。この団体は「街に増え続ける野良猫たちを抑制するには、条例の改正が必要だ」と主張しています。
会長を務めるCandace Sevelkaさんは「これまで議員へ働きかけてきましたが、聞き入れてくれませんでした。議会で野良猫問題が議題になったこともないし、わたしたちへの意見聴取もありませんでした」と残念そうです。
増え続ける野良猫の数
この団体が追跡装置を使って調べたところ、約5万匹の野生の猫がWindsor-Essex郡内に生息しています。数が多すぎるため、動物管理シェルターでも収容・保護しきれません。放置された猫は繁殖し、さらに野良猫を増やしていくのです。
「条例には大きな問題があります。わたしたちは野良猫問題に人道的に対処しながら、地域社会に貢献しています。野良猫を飢えで苦しめるのは解決につながりません。条例の改正がぜひ必要なのです」
彼女は「野良猫は野生動物」と定義する現条例を改正し、「家畜」として分類すべきだといいます。あわせて、市当局が猫の専用居住地(コロニー)を登録して、4匹以上の猫にも住民が餌を与えられるようにすることも望んでいます。
協力しながら問題の解決を
現条例では、個人が敷地内で野良猫に餌を与えられるのは最大4匹までと規定されていますが、この団体のように「猫に避妊手術を施す活動に従事している人」は例外とされています。
市の認可担当監督官であるCraig Robertsonさんは「この条例により、アライグマやスカンクなどが住宅地で迷惑行為をするのを防止できます」といいます。野良猫の場合は、住民が餌を野外に放置したままにしたり、多くの猫を保護したりした場合に、条例による罰則が適用されます。
「市議会が『改正を検討する』と決議すれば、わたしたちも真剣に対応します。ただ、現在の基準や規制が不合理だとは思っていません。現条例は適切なものです」と彼は話しています。
「猫の避妊手術プログラムに参加している住民なら、餌を与える猫の数には上限はありません。ただし、市の敷地内で猫に餌を与えたり保護したりすることは禁止されています」
「どの団体なのかは申し上げませんが、『路地や公園、空き地に勝手に保護施設を作って猫に餌を与えている人々がいる』という苦情が寄せられています。そのたびに作業員を派遣して片付けをしているのです。しかしほとんどの場合、市は野良猫に給餌したい人々と協力しながら問題を解決しようと努めているのです」というCraigさんです。
意見の違いを乗り越え、地域住民と協働で野良猫問題を解決していくためには、しばらく模索が続きそうです。
出典:Cat advocates push for changes to Windsor's 'problematic' bylaw
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