日本電信電話株式会社(NTT)は、障がい者活躍推進活動の一環として「アートの力で個性を照らす~障がいのある人もない人も誰もが輝ける世界をめざして~」をコンセプトのもと、2023年度「NTTアートコンテスト」を実施しました。
昨年度から継続して日本航空株式会社(JAL)の協力を得て、「ひろがる世界」をテーマに、絵画や立体物など幅広い作品を募集し、計554点の作品が寄せられました。
その中から25点の受賞者が選出され、3月26日(火)表彰式典が開催され、受賞作品の発表とともに、作者の個性や作品への想い、作品制作のストーリーが披露されました。
NTTアートコンテスト表彰式典
表彰式に先立ち、主催のNTTより代表取締役社⾧ 島田 明氏から挨拶がありました。
「NTTグループではダイバーシティインクルージョンを重視し、個々の個性や能力を活かした活躍の場を提供しており、約4000名の障がい者の方が働いている」と述べ、「アートコンテストのテーマである『ひろがる世界』の理念に基づき、個々の才能や能力を活かすことが、ウェルビーイング社会の実現につながる」とコメント。最後に、今後も協力者と共にサステナブルな社会の実現に向けて取り組んでいく意志を示し、参加者や受賞者に感謝の意を述べました。
続いて、協力企業のJALより執行役員 人財本部⾧ 小枝 直仁氏から挨拶がありました。
アートの力で個性を照らし、障がいのある人もない人もお互いが輝ける世界を目指す理念に共感し、コンテストに協力していることを説明し、今年度のテーマである「ひろがる世界」に触れ、作品の表現力や個性の輝きを称賛しました。
JALでは、ダイバーシティインクルージョンを重視し、障がいのある社員も含め、個々の個性を大切にする企業文化を育んでいることを紹介し、さらに、障がいのある社員の活躍の場を広げる取り組みや新たなチャレンジについて具体的な例を挙げながら説明。最後に、NTT社との協力に感謝を示し、今後もサポートを続ける意向を示しました。
上位入賞作品
審査員特別賞
審査員特別賞は、応募作品の中でも審査員の評価が特に素晴らしい制作者のセンスや作品の思いなどから感動を感じられる作品に対して贈られる賞となります。
作品タイトル:大切な人へ届けられた「手紙」
作者名:河野 芽衣(こうの めい)さん
市販の紙袋にマスキングテープを貼り付けた「手紙」。
自分の気持ちを文字などではうまく伝えることができない作者が作り出した”貼る”という自分自身の表現方法。その表現方法が新しいアートの世界の扉を開いてくれる作品です。
審査員のアーツカウンシルしずおか チーフプログラム・ディレクター/クシノテラス主宰 櫛野 展正氏より、受賞者の河野さんに表彰状と副賞の授与が行われました。
制作時は、贈る相手を思い浮かべながら一心不乱に制作し、中には絵や塗り絵、お菓子などを入れることもあり、思いの詰まった封筒は厚さ5センチになることもあるそうです。
JAL賞
JAL賞は、JALグループの目指す「誰もが旅を通じて、より豊かな人生を楽しめる社会の実現」を連想させる作品。並びに、JALグループが航空輸送を中心として提供してきた人・物の移動を通じた、関係・つながりの創造により、今回のテーマであるひろがる世界を創造させるかを評価ポイントとして、特に表現方法が素晴らしい作品に贈られる賞となります。
作品タイトル:瞬間をキリトル
作者名:花守 洸迦(はなもり ほのか)さん
世界遺産や文明の跡を訪れ、新しい風景や文化を感じたいという思いと、世界が平和になって誰もが旅を楽しめる状況が訪れてほしいという強い願いが込められています。描かれている3種の花は、それぞれ旅人の喜び、旅の楽しさ、愛情や情熱、美しさという花言葉をもち、これから起こるであろう。旅先での貴重な体験を彩った作品です。
受賞者の花守さんへ表彰状と副賞の授与は、JALの小枝氏より行われました。
表彰後に花守さんは、「“それぞれの時間によって、その瞬間が特別なものになっていく”というものを表現して描いたつもりです。」と作品について説明しました。
NTT賞
NTTグループが実践しているすべての人々が個性や能力・特性を活かし活躍できる優しい世界、そして今回のテーマであるひろがる世界への広がりを想像させる作品を評価ポイントとして、特にその表現方法がより素晴らしいと思われる作品に贈られる賞となります。
作品タイトル:やさしい人たち
作者名:立川 幹大(たちかわ かんた)さん
作品には「僕は優しい。みんな優しい。虹が輝く世界に。」との作者の優しい想いが込められています。現実の世界の一人一人が優しさを分け合えば、もっとより良い世界になるのではと考えさせられる作品です。
NTT賞は、日本電信電話株式会社 執行役員 総務部門長 山本 恭子氏より、受賞者の立川さんに表彰状と副賞の授与が行われました。
表彰後のスピーチでは、「この作品は虹色に輝く優しい人たちを描きました。」と説明し、「みんなに見て喜んでもらえたらうれしい。僕は優しい大人になりたい。」と自身の思いを語りました。
準グランプリ
作品タイトル:どこへでも行ける
作者名:水田 航介(みずた こうすけ)さん
大好きな電車とエレベーターを毎日描いており、そして電車の周りにたくさんの動物たちを描いています。
好きなものを思いのままに描く自由な発想ができるからこそ、固定観念にとらわれることのないテーマに向き合った作品です。
水田さんは、制作が今では生活の一部になっており、絵を描くこともコミュニケーションのひとつになっているそうです。
また、作品については、「人と動物と電車、実際にはあり得ないかもしれないけれど、絵の中では自由に思いのままです。」とコメントしました。
グランプリ
作品タイトル:広い世界へ
作者名:如月 虹(きさらぎ こう)さん
虹色の飛行機雲は、新しい世界を知る希望、勇気、夢、知ったあとの明るい未来を表現し、背景には多彩なこの広い世界の様子、広い宇宙を表現しており、大好きな飛行機に乗って世界へ旅立ち、自分の見識を広めたいという思いが込められた作品です。
表彰後のスピーチで如月さんは「まさか自分がグランプリに選ばれるとは思ってもいませんでした。たくさんの方のご支援により、この場に立てていることを心より嬉しく思います。」と感謝の言葉を述べました。
また、「絵は、私にとって気持ちを表現するための大事な手段となりました。今作品が認められて、さらに自信を持つことができました。ゆっくりナメクジの歩でも少しずつ前進していけばいいんだと改めて思いました。」とグランプリ受賞の喜びを語りました。
筆者もこの素晴らしいイベントに参加し、受賞者たちの熱い想いや個性を目にすることができ、たくさんのパワーをもらうことができました。アートの力で個性を照らすというコンセプトにふさわしい、素晴らしい作品が数多くあったので、今後もこのようなイベントがさらに多くの人々に届けられることを願ってやみません。