「テニスはクラシック、ピックルボールはパーティー」プロテニス引退から競技復帰へ 吉冨愛子が夫婦で挑む新スポーツ

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-04-18 17:00
「テニスはクラシック、ピックルボールはパーティー」プロテニス引退から競技復帰へ 吉冨愛子が夫婦で挑む新スポーツ

アメリカで急成長を続けているスポーツと言えば「ピックルボール」。テニス、卓球、バドミントンの要素を併せ持ったラケット競技で、競技人口はすでに1,000万人を超えたとも言われている。老若男女、誰でも簡単にプレーできるのが魅力のひとつで、日本でも「するスポーツ」として注目を集めはじめている。アメリカではプロスポーツとしての人気も上昇中で、あるメディアの報告では、野球メジャーリーグの配信視聴者数を上回ったという話も飛び出している。

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日本でも本格的に「ピックルボール」に打ち込む選手が増えてきたが、そのなかに、元プロテニス選手の吉冨愛子さんがいる。吉冨さんは、今年3月、アメリカでピックルボールのプロツアーのひとつ、APPツアーサクラメント大会で電撃的に競技復帰を果たした。なぜ、ピックルボールなのか、その胸中を聞いた。

出水麻衣TBSアナウンサー:今日はピックルボールプレイヤーの吉冨愛子さんにお越し頂きました。宜しくお願いします。

吉冨愛子選手:宜しくお願いします。

出水:「ピックルボール」をまだ知らない方が多いと思うのですが、どんな魅力のスポーツですか?

吉冨:まずは、音が気持ちいいです!ボールが軽いので手に衝撃はないんですけど、テニスより高い音がします。

出水:ボールは、プラスチックで穴が開いてるんですよね。

吉冨:打った時に、カーンって音が鳴るんですが、テニスボールよりボールが失速するので、意外と最後の方はスピードが出てないんです。とにかく!気持ちいいです!当たった時の感じが気持ちよくて、最初はストレス発散だなという軽い気持ちでした、気持ちいいなっと(笑)。競技という部分では、相手の足元にボールを落として、落として、浮いてきたところを強いボールで畳み掛けるように攻撃していく。そして、エキサイティングな展開になってくるというのが、競技性としては醍醐味だと思う。
誰でもプレーできるというのが、ピックルボールの良いところ。体験イベントなども何回かお手伝いしていますけど、参加者の方は少しプレーだけですぐにゲームができるとか、相手と打ち合うラリーが、初心者でこれだけ繋がるスポーツは珍しいと思って。小さい子、幼い子やご年配の方まで、色んな年齢層の方とプレーできて、コミュニケーションもとれますし、個人的には魅力だなと思っている。

出水:テニスを引退されて、再びピックルボールで世界に出ようとしたのはなぜですか?

吉冨:ピックルボールのイベントを手伝っていて、たまたま東京旅行をしていたシンガポール人のプロピックルボールプレイヤーとエキシビションマッチをして、彼女に「テニスをやってたでしょう、ピックルボールやった方がいいわよ」と言われました。選手を終えて何年か経ってましたが競技としてはもういいよと、言っていたけど、一度、ちゃんとやってみようということで、去年12月にやり始めたところ、これは面白い!と思ってしまった。打つのは簡単なんですけど、本気で試合をやるとなった時、戦術面だったりとか、ピックルボール特有のいやらしさとか、いやらしいところからスピードアップしてエキサイトしていくところとか、個人的には凄く面白いと感じると同時に、プレー部分では出来ない部分も多くて負けず嫌いが出てきて、本気でやりたいぞと。頻繁に練習するようになってから、やるとなったら本気でやりたいなと。

出水:アスリート魂が出てきた!

吉冨:Youtubeでアメリカでの大会の動画を見たり、SNSでチェックしているうちに、自分もここでもう一度、戦いたい、挑戦したいと心から湧いてきてしまったので、もうこれはやるしかない、今やらないと後悔するなと思って、決断しました。

出水:3月にアメリカで競技復帰されましたが、本場アメリカの空気感はどんな感じ?

吉冨:プレーで言うと、レベルは高いです。スピードもそうですし、相手の足元に落とすディンクショットの質とか、相手が嫌だなと思うところに打つショットとか、技術が高いですね。早くアメリカに行ってそのレベルの違いをあえて知りたかったので、知れて良かったなと、感じました。
大会の雰囲気で言うと、私が出場したのはAPPだけど、一般の方の試合とプロツアーとシニアプロのツアーが同じ会場で開催されていて、とにかく沢山の人が同じ会場に集まっていた。幾つかブースが用意されていて、ビールが売られていて、パドルショップがあったり、スポンサーさんのブースでは、最新の近未来みたいな車が置いてあったり、本当に沢山の人がいて、常に音楽が流れていたりとか、お祭りのなかで、選手たちは本気で戦いをしている。お祭りなんだけど、本気で戦っている空気感が、私は凄く楽しいなって感じがあった。みんなピックルボールが好きで色々な方の試合を観ていて、ナイスショットがあるとすごい盛り上がって、「今のはいいよね!」とかコートサイドで話し合ってる。そういうのも凄く楽しいなと。

出水:テニスは紳士淑女のスポーツというか・・・

吉冨:ピックルは、ざわざわしてる。試合中、タイムアウトした選手が、コートの外に出てきてコートサイドの椅子に座って、ふーみたいな。あれ、外出てきちゃった!?テニスだったら考えられないんだけど、とという瞬間もあった。ラフなんですよね。タイムアウト中に応援に来ている人とちょっと話をしてたり、結構衝撃的でしたね。タイムアウト中は、DJがコートサイドにいるので音楽が鳴ってたりとか、音楽に合わせてスポンサーの紹介をノリノリでやっていたりとか。テニスはクラシックでカッコいいイメージだと思うけど、ピックルボールはパーティっぽいというか(笑)、エンターテインメント性が高いものなのかなと、両方経験してみて感じています。
テニスの時って、集中してコートに入って外もあまり見ないで・・・という感じだったけど、ピックルボールではコートに入っても、審判の方に「相手のこと知ってる?」とか聞かれて、自己紹介から始まっちゃったりして。「どこらきたの?」「日本から来たよ」みたいな感じで。そこから、さっと試合に入っていく感じもあるので、最初はちょっと狂うからやめてくれっていう感じがあったけど。なんですかね、スポーツの原点が残っているのかな、と。試合中も、相手のナイスショットに「ナイスショットだね!」とか言ったりするので、そういうところが。試合は本気なんだけど、相手のことを称えたり、相手のことを知ったうえでプレーするとか、ただただ勝った負けただけじゃなくて、そういうカルチャーがあるのが、良いところだなと思った。

出水:素敵ですね。最近流行ってきたスポーツ、スケートボードとかも、競技の合間にカジュアルにしゃべったり会場も盛り上がっていたりとか、スポーツとして進化している。競技として新しい見せ方というのも、ピックルボールらしさでしょうか。

吉冨:アメリカって、パーティー好きだとか、スポーツ好きだとか、そういう雰囲気があると思うのですけど、スポーツとしての大切な部分がしっかりあるなと思うので、そういうカルチャーとかも日本で流行って欲しい。スポーツとして、コミュニケーションとか、いろんな人と関わったりとか、そういうことも同時に発展していくと、個人的には嬉しいなと思っている。

出水:日本でムーブメントが沸き起こる予感は?

吉冨:私的には、とっても感じている。皆がまだ知らないだけ。あとは、施設が日本にはないので、ちょっとずつ出来てくると、日本でもピックル旋風は巻き起こるのではないかと思う。

出水:私もプレーしたけど、とにかく敷居が低い。簡単に当たるし、打球の速度も早くないのでリターンもとれるし、相手のことを振り回す余裕があったり、めちゃめちゃ楽しい。できているって感じるハードルが低いので、一度やったらやみつきになりますね。

吉冨:アメリカに行ったとき、飛行機で隣に座っていたご夫婦に「なんでアメリカ行くの?」と聞かれて、ピックルボールの大会にでるのっていったら、「オーマイガー!」となって、私ピックルボール大好きなのって、1時間くらい熱く語られた。アメリカに滞在してた時にも、街のコートでピックルボールをやっている方がいて、どうやってやるのかなと思って見てたんです。そうしたら、中でプレーしてた奥様が「あなたピックルボール知ってる?」って声をかけてくれて、パドルとこのボールを使ってやるの、やりたかったらジョインしていいよって言われて、そういう風に誘ってくれるの嬉しい!て思って。楽しいじゃないですか!
あともう一つ、私的にピックルで好きなのが、服、ウェア。
まだ、規制が少ないんですよね。ハローキティちゃんのTシャツでプレーしてる人もいましたし、トップの選手でも、その帽子どうしたの?っていうようなアミアミの帽子を横向きに被ってたり。ビットコインのバーコードを背中に大きくつけて試合している人とか。トップ選手は契約しているブランドのマークを全面に出してる服とかも着ている。髪の毛ふたつに結んでいる女の子とか、おしゃれ!各々のおしゃれでプレーしている。プレーはめちゃくちゃ本気なんですけど、その格好はふざけてるでしょって(笑)。だけど、自分らしさ全開でかっこいいな、この人たちって。

出水:海外だと、スタートアップさんがウェア作って人気が出てきたりとか、そのあたりもこれから進化しそうですね。

吉冨:可愛いパドルが入るカバンとかで、オフィス帰りにパドル一本指して、ちょっとプレーできるよって!

出水:いいな~ テニスラケットより小さいですから、持ちやすそうですし。電車でも持ち運びやすそう。

吉冨:ウェアとか、選手の見た目も注目です。

出水:ご主人の三好健太さんもプレーされてますけど、どちらが先に始めたのですか?

吉冨:最初に知ったのは私。一度やってみないって誘って一緒に行きました。そしたらめちゃくちゃ楽しくて、やばかったとなって。これから時代が来るスポーツということで、ピックルやろうよって言ったのですが、最初はビジネスとしてやるって思ったらしいんですよね。「選手としてだよ」って言ったら、えっ!?て。一回、考えさせてと言われたけど、今でしょって(笑)。

出水:二人同時に魅力に取りつかれたんですね。

吉冨:お互い負けず嫌いもあって、最初全然できなかったけど、頑張ろうみたいな。

出水:家庭内でもけっこうピックルボールの話題が食卓にあがるんですか?

吉冨:ずっと話してます。

出水:ケンカしたりしない?

吉冨:ピックルボールやってるときの方がケンカしないですね。ケンカしてたら試合に勝てないじゃないですか。

出水:ふたりで夢中になれるものがあるのはいいですね。

吉冨:片方だけがはまっちゃうと、うざいと思うのですけど。今のところ、二人とも家でも会話するくらいピックルボールにのめり込んでいるので楽しいです。彼自身もテニス選手をやってきたけど、プロはあきらめてきたので、今は張り切っています。社会の流れもジェンダーフリーになっているじゃないですか。スポーツからそういうところに訴えかけることも出来ると思うし、夫婦でミックスダブルスができるからこそ、可能性を感じているので。さっきケンカはしないの?と言う話もありましたが、そこだけは要注意です(笑)。どこでカチンとくるかわからないから、そこはプロフェッショナル意識をもってやりたい。

出水:身近な方とはじめるのもいいですね。絆も深まるし、話を聞いていて羨ましいと思いました。これから様々な大会に出られると思いますが、選手としての目標は?

吉冨:そうですね、現時点での目標は、メジャーリーグ。ドラフトされて、選手として戦うのが今の私の目標。そうなってスポンサーなどがついてこれば、ピックルボールのプロ選手と胸を張って言えるので、なれるように頑張りたい。日本のテニス界から競技としてピックルボールをやっている選手は少ないと思うので、先駆者として、そういう道もあることを伝えたい。まだ情報が少ないので、イメージは湧きづらいと思うけど、試合に出てチームで戦ってプロピックルボール選手として活動していけるんだという道筋を作りたい。あとは、コートが小さいのもあるので、私みたいにテニスは引退したけどまだ戦いたいとか、他のスポーツからこっちで戦いたいとか、道筋も作れればいいな。

■吉冨愛子
1993年、愛知県出身。7歳からテニスをはじめ、インターハイ、インカレなどで華々しい活躍を見せ、早稲田大学卒業後プロに転向。全日本選手権ベスト8や、ITFツアー優勝など実績を残すが、わずか4年で引退。
引退後は、テニスの指導やスポーツ関連ビジネスの支援などを行っているが、今年3月、ピックルボール選手として競技復帰を果たす。2020年に結婚したご主人の三好健太さんもピックルボール選手。

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