ゲームの要素を別の分野に取り入れることを「ゲーミフィケーション」と表現します。
しかし、そもそも「ゲーミフィケーション」とはどのような仕組みを意味するものなのでしょうか?
「ゲーミフィケーション」とは
まずは「ゲーミフィケーション」について見ていきましょう。
「ゲーミフィケーション」の意味
「ゲーミフィケーション」とはゲームの構造を別の分野に応用することを言います。
もともとゲーム化することを「ゲーミフィ」と表現していました。
その言葉から生まれたのが「ゲーミフィケーション」とされています。
「ゲーミフィケーション」は2011年前後から広まった言葉です。
ただ、概念自体はそこまで新しいものではありません。
現にゲームの要素は以前から活用されています。
例えば、会員制のサービスやサブスクに設けられている「ポイントの付与」や「レベルの特典」はゲームの要素を取り入れたものと言えるでしょう。
ただし「ゲーミフィケーション」はあくまでもゲームの要素を他の分野に応用することであって単に「ゲーム化すればいい」というものではありません。
あくまでユーザーに継続的に利用してもらうための仕組みとして「ゲーミフィケーション」があるということを忘れてはなりません。
「ゲーミフィケーション」の要素
ここからは「ゲーミフィケーション」の要素をまとめます。
目的
「ゲーミフィケーション」の重要な1つ目の要素、それが目的です。
何も目的がないとユーザーは何のためにやっているのかわからなくなってしまいます。
逆に目指すべきものがあることでユーザーも道標を見つけやすくなるでしょう。
なお、視覚的に目的を確認できるようにすることも重要とされています。
課題
「ゲーミフィケーション」に大切な2つ目の要素、それが課題です。
課題をクリアするというステップがあることでユーザーは達成感が得られます。
比較的簡単な課題を突破することでユーザーの高揚感や満足感にも繋がります。
逆に困難な課題ばかりを設定すると取り組む前に諦めてしまう場合があるかもしれません。
だからこそ、適度な難易度の課題を設けることが必要なのです。
フィードバックと報酬
「ゲーミフィケーション」に肝心な3つ目の要素、それがフィードバックと報酬です。
具体的に何をクリアするとどのような報酬が獲得できるのかを明確にすることでよりゲームとしての要素が明確化されます。
さらにフィードバックすることで何が悪くて何が良かったのかも明確になり、ユーザーはさらなる成長を求めて挑むようになります。
そうしたフィードバックと報酬の絶妙な塩梅が「ゲーミフィケーション」には欠かせません。
それでいて、ユーザー間の交流などがあるとさらに刺激剤となってくれます。
可視化
「ゲーミフィケーション」に肝要な4つ目の要素、それが可視化です。
数値が可視化できればユーザーが置かれている現状を把握できます。
グラフやデータを使用することでユーザーも具体的な対策を講じられます。
こうした要素は実際の数値が増減することで視覚的にも刺激になるのだとか。
「ゲーミフィケーション」のメリットとデメリット
ここからは「ゲーミフィケーション」のメリット・デメリットを見ていきましょう。
「ゲーミフィケーション」のメリット
「ゲーミフィケーション」には目標が設定しやすいことやモチベーションアップに繋がること、楽しみながらできることなどのメリットがあります。
曖昧な目標ではユーザーも問題の過程で迷子になってしまいます。
逆にそれを防ぎながら順路を辿っていけるような要素を取り入れると最終目標にも近づきやすくなるのです。
強いてはそれがモチベーションアップに繋がるでしょう。
それだけでなく本人が楽しみながらできるわけです。
そうした点が「ゲーミフィケーション」の強みと言えます。
「ゲーミフィケーション」のデメリット
「ゲーミフィケーション」には内容に左右されやすいことや効率ダウンに繋がること、課題の設定が難しいことなどのデメリットがあります。
根本的な話として内容が面白くなければゲーム化の意味がありません。
そのため、内容に左右されやすいというのが挙げられます。
それでいて下手にゲーム化してしまうと効率がダウンする可能性もあります。
従来のやり方の方がやりやすかった方にとってはゲーム化することで逆に面倒な作業を押し付けてしまうことになりかねません。
その他にも組織で取り入れる場合は1人1人のレベルに合わせた課題を設けなくてはならないため、逆に課題の設定が難しくなります。
そうした点が「ゲーミフィケーション」の弱みと言えます。
「ゲーミフィケーション」の例
ここからは「ゲーミフィケーション」の例を見てみましょう。
学習面での「ゲーミフィケーション」
「ゲーミフィケーション」は学習面で取り入れられています。
例えばオンラインプログラミング学習サービス「Progate」ではブラウザ上でイラストを中心とした学習方法が体験できます。
カリキュラムの進行度合いがゲームキャラクターのパラメーター画面のように表示されていて、まるでレベル上げをするかのように課題に取り組めるわけです。
他にも30か国語以上の言語をオンラインで学べる外国語学習アプリ「Duolingo」でもゲーム要素が取り入れられています。
会社や企業での「ゲーミフィケーション」
「ゲーミフィケーション」は会社や企業でも取り入れられています。
例えば「NIKE」が手掛けているランニングアプリ「ナイキプラス」では従来の歩数計の機能に目標とする距離やペースが設定できる機能をプラスしています。
これにより1日のゴールを設定できるようになりました。
その日の取り組みに対して音声によるフィードバックもあり、毎日少しずつ達成感を味わえるような仕組みとなっています。
SNSで経過や結果も報告できることから同じ目的を持つ仲間と一緒に楽しめるのも特徴と言えるでしょう。
飲食業界でも提供されている「ゲーミフィケーション」のサービス
「ゲーミフィケーション」は飲食業界にも取り入れられています。
例えば回転寿司チェーン「くら寿司」が手掛ける「ビッくらポン!」では皿5枚ごとにゲームに挑戦でき、クリアすると報酬としてオリジナル景品がもらえます。
これは顧客が景品をもらうという目的に向かってお寿司を5皿食べるという課題をクリアすることで報酬が得られる仕組みになっています。
まとめ
「ゲーミフィケーション」は普段目にするようなものにも取り入れられているゲーム要素のことを言います。
そうしたまったく別の分野にゲーム化を取り入れることを「ゲーミフィケーション」と表現するわけです。
ただ、実際に取り入れようと考えている会社・企業の関係者の方はメリット・デメリットを慎重に判断する必要がありそうです。