猫は、高いところから飼い主さんをじっと観察するのが好きです。そのとき、愛猫はいったい何を思っているのか?何も考えていないかもしれない、という意外な結論を恐れずに、意味ありげな視線の真相を推察してみましょう。
1.リラックス中につきお静かに
人間同士では、相手に見下ろされると、誰しもイヤな印象を抱くはずです。ところが、ひとたび猫との関係になれば、話は変わります。
愛猫が高いところからじっと見下ろしてくる。クールな視線に超然とした態度。飼い主さんによっては、「絶景」に思えてくる状況かもしれません。
猫は大昔から木登りが得意で、祖先とされるミアキスの時代から、木の上で暮らしていました。高いところを好むのは、身の安全を確保し、外敵の侵入などの危険をいち早く把握できるからです。
俯瞰(ふかん)的な立場にいれば、獲物の動きも手に取るようにわかります。イエネコになってからも、遺伝子に刻まれたその習性は変わりません。
安心と安全がキープできれば、気持ちに余裕が生まれます。もしキャットタワーやタンスの上で、愛猫が監視するようにじーっと見下ろしてきたら、マイペースにリラックス中かもしれません。いきなり掃除機をかけて、「現場監督」の機嫌を損ねないようにしましょう。
2.ストレスは逃げるが勝ち
たとえば、喉のゴロゴロ音のように、猫の行動には複数の意味を持つ場合があります。高いところからまわりを見下ろすことも、そのひとつです。
何らかのストレスを感じたとき、猫は不快な場所からすぐに離れていきます。ストレスになる原因は、知らない人の訪問や掃除機の音、イヤな匂い、爪切り、ブラッシング、歯磨きなど、猫によってさまざまです。
手の届かないところに避難すれば、一定の距離を保てるので、それ以上イヤな思いをせずに済みます。縄張り争いなど、外飼い猫が遭遇するトラブルでも同様です。木や屋根に登って一時避難することがあります。
猫にとっていちばん大事なのは、いかに自分が快適に過ごせるか、です。もしストレスが原因で高いところに飛び移ったなら、愛猫なりの「意思表示」と言えます。たとえ痛いほど視線を感じても、気の済むまでそっとしてあげてください。
3.ひとりにして欲しい
人間にも「かまってほしくない、ひとりでいたい」という心理状態があります。生まれつき単独で行動する猫は、そのこだわりがとりわけ強い動物です。
簡単に手が届かず、誰にも邪魔されない場所は、猫にとってはまさに「聖域」です。何かと忙しい人間とは対照的に、おそらく、「焦らず、慌てず、流されず」の精神的境地に達していることでしょう。
しかも、まわりをゆったり見渡せるので、大好きな飼い主さんの動きもしっかりフォーカス。たとえば、ごはんの準備を始めたら、まっさきに降りることも可能です。
かまいたくなる気持ちもわかりますが、猫は甘えたければ自分から歩み寄ってくれます。もし高いところでまったりしていたら、寂しさをぐっとこらえ、やはり、何もせず放っておくのがいちばんかもしれません。
おまけ:愛猫に見下ろされている人間の心理
こちらを見透かすような鋭い眼差しと悠然とした佇まい。高いところにいる猫は、いつもよりちょっぴり「神秘的」です。
手の届かない物理的な距離が、どれだけ親密になっても解き明かせない猫特有の「謎」を象徴しているかのようです。
すべてを理解するなんてとてもできない。猫と人の間には、種を超えたつながりがあっても、一点、埋めきれない隔たりがあるのでしょう。その切なさが、ただかわいい、愛くるしいだけではない、愛猫に対するリスペクトにも似た感情を育んでいるのかもしれません。
わからないままでいい、わがままでもいい、ただそこにいてくれればいい。多くの飼い主さんの共通した想いでしょう。
まとめ
知らない人から見下ろされると、イヤな気がするけど、猫だったら大歓迎。そんな猫好きのみなさんは案外多いかもしれません。
今回は、「高いところにいる愛猫はどんな気持ちなのか?」をテーマに解説しました。
もちろん、相手はツワモノですから、紹介した3つに当てはまらないパターンもあるでしょう。いろいろと理由を想像できるのも猫といっしょにいる面白さです。
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