全米に広がる“反イスラエル”学生デモ ささやかれる「1968年の再来」

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-05-13 17:11

イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの侵攻に反発し、全米で広がった大学生の抗議デモ。反戦運動が高まったベトナム戦争の頃と重なり、秋の大統領選への影響を指摘する声も出ています。

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水色のローブに身を包み、笑顔を見せるニューヨーク・コロンビア大学の卒業生たち。先月、この大学で起きた動きが全米で“反イスラエル”デモが広がるきっかけとなりました。

学生たちが校舎を占拠するなどしたのに対し、警察はキャンパスに突入して112人を逮捕。デモの影響で全体の卒業式は中止され、学部ごとの式となっていました。

コロンビア大学の卒業生
「学生らが卒業式を台無しにするまで追い込まれたのは、ちょっとひどい」

学生の行動には変化も出ています。

記者
「こちらの大学ではデモが行われるということで、警察官が厳重な警備をしていますが、参加者はわずか30~40人ほどだけです」

間もなく学期末となるアメリカの大学。夏休み前とあって、デモは縮小傾向のようです。

フォーダム大学の学生
「家に帰っている人も増えているので。これからまた(デモが)あっても、もっと小さい…、これくらいの大きさではないかと思います」

ただ、今回の大学生たちの抗議活動は、半年後に迫る大統領選挙にも少なからぬ影響が…

アメリカ バイデン大統領
「抗議する権利はあるが、混乱を引き起こす権利はない」

バイデン大統領はデモについて、こう指摘していますが、学生からは…

デモに参加した大学生
「バイデン大統領は停戦を実現すると言ったが、実現していません。何十億ドルものお金をイスラエルに送っていますし、約束を守っていません」

一方、トランプ前大統領は…

トランプ 前大統領
「(警官隊の突入は)美しい光景だった」

コロンビア大での警察の動きを称賛したトランプ氏に対しては、「抗議活動を否定するので投票したくない」との声も聞かれます。学生運動の歴史を研究する専門家は選挙への影響について…

ニューヨーク大学 ロバート・コーエン教授
「2020年にバイデン氏がトランプ氏を破ったのは、主な支持層の1つが若者だったためで影響はあるだろう。影響が若者の中の少数にとどまっても、(大統領選は)接戦のため双方を悩ませるだろう」

そんな中、ささやかれているのが“1968年の再来”。

この年の大統領選に向け、8月にシカゴで行われた民主党の党大会では、ベトナム戦争に抗議する学生らと警察が衝突、「流血の党大会」と称されました。

共和党のニクソン氏は混乱を抑えきれなかった民主党候補を批判、「法と秩序の回復」を訴え、3か月後の選挙で勝利しています。実は、トランプ氏も在任中…

トランプ大統領(当時)
「我々は『法と秩序』の党だ」

ニクソン氏と同じフレーズを使っていました。今年の民主党党大会も8月、シカゴで開催される予定ですが…

ニューヨーク大学 ロバート・コーエン教授
「シカゴの党大会でまた暴力行為が起きたら、バイデン氏にとって大きな痛手となるだろう」

学生の抗議活動が再び熱を帯び、大統領選の行方も左右するのか、関心を集めそうです。

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