“カスハラ”めぐる従業員の保護強化へ 「お客様への対応を致しません」JR東日本など企業・自治体で進む“カスハラ”対策【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-05-13 20:20
“カスハラ”めぐる従業員の保護強化へ 「お客様への対応を致しません」JR東日本など企業・自治体で進む“カスハラ”対策【Nスタ解説】

客が従業員に対し、理不尽な要求をする「カスタマーハラスメント」。
13日、自民党は“カスハラ対策”の強化を盛り込んだ提言案をとりまとめました。企業や自治体で強化が進む“カスハラ対策”についてお伝えします。

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“カスハラ”従業員の保護強化へ 自民党が提言案

良原安美キャスター:
カスタマーハラスメント=“カスハラ”は顧客などからの暴言・暴行、不当な要求などをさす、著しい迷惑行為のことです。

UAゼンセンの調べ(組合員約3万3000人に調査)によると、直近2年間でカスハラ被害に遭った人は、46.8%でした。

宋さんは、こういった経験はありますか?

産婦人科医 宋美玄さん:
医療機関は結構多いと思います。特にコロナ禍では酷かったと聞いていて、診察室では普通の態度の人が、受付スタッフや看護スタッフには暴言を吐くなどということもあったみたいです。ほとんどの方は問題ないですが、100人に1人でもそういう方がいると現場はダメージを受けますね。

良原キャスター:
こうした現状を受け、自民党は“カスハラ”をめぐり労働者の保護を強化する提言案を週内にも、岸田総理に手渡す予定です。

「お客様への対応を致しません」JR東“カスハラ”対策

また、企業も対応に乗り出しています。4月、JR東日本は“カスハラ”に対する方針を発表しています。

「グループで働く社員1人1人を守るため、カスハラが行われた場合は、お客様への対応を致しません
「悪質と判断した場合、警察・弁護士などに相談の上、厳正に対処します」

JR東日本で実際にあった“カスハラ”被害です。

・切符の変更・払い戻しの手続きをする際に、駅員が変更内容を復唱。すると、女性が「対応が遅く、子どもがぐずった。私のSNSに載せる」と言われた。

・新幹線の車内で、券なしでグリーン車に乗車していたお客さんを普通車に案内したところ、案内が終わった後に、高圧的な態度で乗務員室のドアを蹴られた。

鉄道員へのカスタマーハラスメントは国交省によると2022年度、全国で1124件確認されています。

“カスハラ”に毅然な対応 課題も 企業・自治体で強化

自治体の一例として、品川区では窓口業務の職員らがトラブルになった際、「名前を覚えた」「インターネット上に名前をさらす」こうしたことを言われたといいます。

そこで、2024年の4月から全職員4500人の名札を変更しました。これまでは顔写真+フルネームでしたが、変更後は名字のみとしています。

他にもタリーズコーヒーでは、2022年から全店舗の従業員の名札をイニシャルに統一しています。

ホラン千秋キャスター:
実際にひどい対応をされた時、それをSNSに書き込んで企業が炎上するということがあったと思います。

それを避けるために、いろんな予防線を張って失礼がないように対応していたら、今度は逆に理不尽な対応を受けてしまって、カスタマーハラスメント対策が生まれる。本当にどこまで配慮しあったらいいんだろうという、悪循環にもなり得ますよね。

産婦人科医 宋美玄さん:
配慮すると、より配慮されるのに慣れてしまって、さらに配慮を求めるみたいな。
インターネットの口コミに事実と違うことを書き込まれると反論のしようがないし、本当に一部の人のせいで全体のルールが萎縮していくのは問題ですよね。

井上貴博キャスター:
ハラスメントでひとくくりにされがちですが、犯罪に近いものも多いと思います。「SNSにさらすぞ」というのは脅迫ですし、暴力・暴言ももちろん犯罪ですが、それが客と従業員の立場になったときに何も言えなくなる。

これを現場任せにするのではなく、例えば防犯カメラをしっかり設置するなど、コストがかかるとしても、そういう企業にしか人が集まらなくなると、企業に差が出てきて、やはりやらざるを得なくなる。企業側が責任を持たなければいけない、そちらが大切なのかなと思います。

産婦人科医 宋美玄さん:
ドライブレコーダーとかも一般化していますし、うちも受付には防犯カメラを置いて、言った・言わない、渡した・渡していないなど対応していますが、いずれ診察室とかにも必要になってくるのかなと思います。後から検証できるのは大事ですよね。

井上キャスター:
タクシーでも、車内カメラを設置したことで被害が少し減ったというデータも出ていますから、そういう時代になっていくのかもしれません。

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〈コメンテーター〉
産婦人科医 宋美玄
産婦人科医 2児の母
女性の健康などのテーマを発信

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