「0歳児選挙権」に賛否 「子どもことを思っての投票であれば良い」「意思ない子どもにはいらない」若者の意見をどう政治に反映?【news23】

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2024-05-21 12:24

赤ちゃんにも選挙権を与える「0歳児選挙権」。日本維新の会が次の総選挙の公約に盛り込む考えを表明しました。街の声は?

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「0歳児にも選挙権」に賛否 親が代理で投票?

日本維新の会 吉村洋文共同代表(13日) 
「僕は0歳児選挙権というのがあるべきだと本気で思っています」

日本維新の会の吉村共同代表が次の総選挙の公約に盛り込む考えを示した「0歳児選挙権」。

現在18歳以上に与えられる選挙権を0歳児にまで引き下げようというもので、子どもが自分の意思で投票できない間は、親が代理で投票することを想定していると言います。

吉村共同代表
「親が代理で(選挙権を)行使するとなった時は、政治家は強烈にそちらを向くと思う」

選挙で若い世代の影響力を高めることで次世代に向けた政治が行われるようになると言いますが、岸田総理は…

岸田総理(17日)
「親が必ずしも子どものことを考えて投票するとは限らないことをどのように評価するかなど、様々な課題があり、慎重に検討すべきものであると考えている」

街の意見は?

有権者の声も様々です。

0歳児の母親 20代
「意思のない子たちに投票権というのは特にいらないのかなと。お子さんが多い家庭は親の意思が強くなってしまう

7歳児の母親 40代
「私たち世代は投票に行く人が少ない。意識が選挙に向いてる人が、子どものことを思って投票するのであれば、子どもの分の一票があるのも良いんじゃないかなと」


「投票してみたい?」

子ども
「いや」

80代
「中学1年生ぐらいだったら理解していると思うから良いと思うが、0歳児からはあまり良いとは思わない。今の若い子は投票行かない。うちの息子もそうだけど(投票に)行けと言っても『行かない』と」

2歳児の母親 30代
「支持政党というのが親もあると思うので、子どもを誘導して、特定の政党に2票入れてしまうとか、そういった懸念もあるのかなと。小さい頃から義務教育でも『(選挙が)大事だよ』というのをやってもらうと良いかなと」

「0歳児選挙権」実現はあり得る?

小川彩佳キャスター:
街でも様々な声が聞かれましたが、伊沢さんはどう思いますか?

QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
成人1人1票という我々の勝ち得た普通選挙の権利が、子どもがいるかどうかということだけで、歪められてしまう。しかも、子どもがいるかどうかは若者とイコールではないですからね。そういったところも含めて、手段のために原則を変えてしまうというのは、順序が間違っている話だなと思うんですけど、これがそもそもパフォーマンスとして成立してしまうと思われてる状況がちょっと辛いですね。

小川キャスター:
というのも?

伊沢さん:
これで「民心を変える」と政治家に思われてしまっているのは、いささか政治リテラシーの低下と言わざるを得ないところがあって、僕はちょっと残念でしたね。

小川キャスター:
でも、これだけドラスティックな(思い切った)ことをしないと、子育て世代や若者に目が向かないのでは?という吉村代表の意見でしたが…

伊沢さん:
手段と目的が違っているのかなと感じますね。

藤森祥平キャスター:
維新の案では、子どもが意思表示できない場合、親が代理で投票するとしています。事実上、大人1人が複数票持つことにもなるわけです。星さん、実現可能性はあるのでしょうか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
実現はなかなか難しい、可能性はほとんどないと思います。なぜかというと憲法14条に平等原則があり、法の下の平等をどう見ても反しますから。ただ、こういうことで若い人の声を政治にどうやって反映するんだろう?と、みんなで考えるきっかけ作りにはなっていると思いますね。

藤森キャスター:
若者の声が反映されていないのは大きな課題ですが、前回の衆院選の年代別の投票率(総務省のデータから作成)をみると、60代:71.3%70代:72.1%の投票率が70%を上回っているのに対し、20代:36.5%30代:47.1%と若者の投票率が低い状況です。

小川キャスター:
少子高齢化の上に若い人が投票に行かない。これでは若者の意見は反映されないですし、少子化対策が先送りになり続けてきたのも無関係ではないように感じます。

「私の1票で日本が変わることはあり得ない」上がらない若者の投票率 若者の意見を反映させるには?

藤森キャスター:
では、なぜ投票に行かないのでしょうか。

日本財団が行った「18歳意識調査」調査で、今後、選挙があっても「行かない」と答えた人は13.3%、「わからない」と答えた人は22.7%でした。

「行かない」と答えた人の中で多かった理由は「政治資金問題で政治全体が信頼できなくなった」「興味がなくなった」

他にも「政治を全く知らない」「私の1票で日本が変わることなんてあり得ない」などの声もありました。

小川キャスター:
「諦め」のような声もありますが、政治に若者の意見を反映させるには、どうしたら良いのでしょうか?

伊沢さん:
様々な手段がありますけど、やはり「地道」につきますよね。

教育とかはすごく大事になってきて、投票で変わった事例とかもありますけど、一方で、学校で教わる教育というのは制度面の話に留まってしまいますし、若者が「わかりやすさ」を求めすぎてしまっているとか、メディアの切り取り報道によって、政治側もどんどん発信をしなくなってしまっていますよね。

お互いの関係性が悪いことによって、より政治がわかりづらくなってしまっている。わかりやすさだけを求めるんじゃなくて、わかりづらいことをわかりづらいまま、しっかりと理解するような練習を教育の場で積んでいくということも必要なのかなと思いますね。

星さん:
政治側からすると、選挙に来てもらうには接戦にならないと、スリリングでないと駄目ですよね。

それから、若者に向けてきちんと政策を紹介すること。例えば、財源はこういうふうにして、消費税が必要だったら消費税が必要だというのを政治家が逃げないで正面から話をすることが大事です。どうも最近、難しい課題は回避するという癖がありますから、政治家の側にも責任が大きいと思いますね。

「みんなの声」は?

NEWS DIGアプリでは『0歳児選挙権』などについて「みんなの声」を募集しました。

Q.子ども・若者の意見を政治に反映させるには?

「学校などでの選挙教育」…43.5%
「『0歳児選挙権』の実施」…2.2%
「選挙権年齢引き下げ」…10.7%
「投票しない人に罰則」…12.7%
「ネット投票」…25.1%
「その他・わからない」…5.8%

※5月20日午後11時17分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは21日午前8時で終了しました。

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<プロフィール>
伊沢拓司 さん
株式会社QuizKnock CEO
東京大学経済学部卒
クイズプレーヤーとして活躍中

星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島出身
政治記者歴30年

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