「危ない」舞妓パパラッチ 撮影禁止エリア設定も…、富士山“黒幕”新素材に交換へ【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-05-31 21:10

ここ数年、京都・祗園で問題になっているのが芸舞妓を追いかけ回して、無断で撮影する「舞妓パパラッチ」。祗園では、インバウンドの回復とともに“オーバーツーリズム”が深刻化。特に観光施設ではない、一般住宅への迷惑行為が相次いでいます。

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一方、山梨でも、あの”富士山ローソン“問題に進展がありました。

外国人の宿泊者 過去最多に 4月のべ1300万人超

日比麻音子キャスター
観光庁の「宿泊旅行統計調査」によりますと、4月に日本の宿泊施設に泊まった人は、全体でのべ5096万人でした。そのうち外国人がのべ1315万人となり、1か月間としては過去最多となりました。外国人宿泊者の割合でみると、全体の25.8%、宿泊者の4人に1人が外国人ということになります。

富士山“黒幕” 10数個の穴 新素材に交換へ

その影響でしょうか、様々な問題が発生しています。山梨県富士河口湖町のローソンでは、屋根越しに富士山が見えるということで、外国の方のみならず、日本の観光客が大勢押し寄せるなど、人気の撮影スポットとなってしまいました。

富士河口湖町では交通事故の可能性もあるということで、目隠しの黒幕を設置したのですが、5月28日、その黒幕に十数か所の穴が開いていることを確認しました。

町の担当者によりますと、黒幕の素材は農業用の遮光ネットを使用していたそうです。今後は新素材への交換に着手するそうで、▼穴をあけにくい ▼風を通しやすい ▼カメラ撮影しにくいサンプルを取り寄せているといいます。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
観光客が大勢押し寄せる場所では、ゴミ問題、渋滞や騒音、トイレマナーなど、様々な問題が起きてしまいます。一部のお店は儲かるかもしれませんが、そこで暮らしている人たちにとっては迷惑でしかありません。恩恵を受けられないのも、不満をさらに高めるのではないでしょうか。

“迷惑行為”対策 八坂神社でも 福岡・太宰府では“ごみ散乱”

日比キャスター:
京都の烏丸通など主要道路では、観光バスの路上駐車・待機などが渋滞悪化の一因となっているそうです。京都府警は5月28日~30日まで指導・取り締まりを実施し、46台のバスに指導をしたということです。

さらに、八坂神社では、鈴の緒を過剰に振る行為が相次ぎ、鈴の落下などの危険・迷惑行為につながるということで、5月25日から夜間(午後5時ごろ~翌午前6時ごろまで)は本殿の鈴を鳴らすことを禁止することにしました。

福岡の太宰府天満宮では参道の各所にごみが散乱し、ポイ捨て禁止の掲示板を設置しても、なかなか解決しないといいます。

太宰府市の観光客は年々増加し、2023年には881万人となったそうです。楠田大蔵 太宰府市長によりますと「太宰府市は、人口7万人の100倍を超える観光客が来る」と話しています。

そこで28日、太宰府市はオーバーツーリズム対策として予算約3000万円を計上しました。
▼近隣住民らとの対策会議設置 ▼駅などにデジタルサイネージ ▼福岡空港で外国人マナー啓発のための“コンシェルジュ”などを行うそうです。

市の西山英毅さんは「外国人による、民家の敷地へのポイ捨ても大きな問題。ごみ箱の数を増やすなど対策をしていきたい」と話しています。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
文化によって異なりますが、マナーは守っていただきたいですね。今までのインバウンド対策は、安いからたくさん来てくださいという、量にばかり目がいってしまいました。これからは、地域の伝統やローカルなお店にリスペクトを持ってくれるような方たちに来ていただけるよう、各自治体は質に力点を置きながら宣伝やアプローチをする必要があると思います。

南波雅俊キャスター:
撮影禁止の場所だと伝えると「写真を消せばいいでしょ」という人もいます。なぜ禁止なのか、どう伝えればいいのでしょうか。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
禁止、禁止と言うと、嫌な感じになってしまいます。日本文化について飛行機内、空港内でデジタルサイネージ等を使って伝えないといけません。

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<プロフィール>
斎藤幸平 さん
東京大学准教授。専門は経済思想、社会思想。
著書『人新世の「資本論」』50万部突破。

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