「ウチの子」との同行避難 あなたならどうする?

2024-02-05 13:00

「カートを使ってウチの子と一緒に避難所に行ったんだけど、ずっと鳴きっぱなしで…。仕方がないから、車内で過ごしています。車の中では足が伸ばせないから辛くて…。ちゃんとクレートトレーニングしておけばよかった」 「ウチの子はも […]

「カートを使ってウチの子と一緒に避難所に行ったんだけど、ずっと鳴きっぱなしで…。仕方がないから、車内で過ごしています。車の中では足が伸ばせないから辛くて…。ちゃんとクレートトレーニングしておけばよかった」

「ウチの子はもともと偏食する子だったので、避難所で提供されたフードを食べてくれないんです」

「一緒に外出しているときに被災したので、しばらく家に戻れませんでした。人間用の物資は避難所でもらうことができたんだけど、ペット用のものはなかったんです。車にも非常用のバッグを置いておけばよかった」

2024年1月1日。まだ新しい年が始まったばかりの元日の午後4時10分、能登半島沖を震源とするマグニチュード7.6の「令和6年能登半島地震」が能登地方を襲い、大きな被害をもたらしました。

上の3つは、ペットと一緒に被災した飼い主さんたちから寄せられた生の声です。

もしも 「万が一」が起こってしまったら

地震、津波、台風、洪水、火山噴火、大雪など、私たちはまるで自然災害が多発する「災害のデパート」のような国土に暮らしています。

そして、能登半島地震のような大きな地震がいつどこで起きるわからないのが実情です。

もしも「万が一」が起こってしまったら、ペットと暮らすあなたは、どのように行動すればよいでしょう。

被災後の行動には大きく3つのケースが考えられます。もしもの時に備えて、それぞれのケースにご自身を当てはめてシミュレーションしてみてください。

①自宅でペットと一緒に被災した場合

家屋が倒壊などから免れて、安全に過ごせるようなら、避難の準備を整えた上での「自宅待機」でも大丈夫でしょう。

もしも、家屋倒壊の可能性があって、家にとどまるのが危険な場合は、ペットと一緒に「同行避難」(詳しくは後述)してください。

いずれの場合も、避難時に持ち出す非常用品の確認をしましょう。また、もっとも近い避難所の場所や避難所での動物の受け入れ態勢などは、事前に調べておくようにしましょう。

②外出先でペットと一緒に被災した場合

帰宅できる場合は、ペットと一緒に帰宅して、①と同様の対応をしてください。

交通が遮断されるなどの理由で帰宅できないような場合は、安全な場所までペットと一緒に「同行避難」してください。

③外出時に別々に被災した場合

あなたが外出していて家には不在で、ペットだけが自宅にいるような場合、帰宅できる状況であれば大至急帰宅してペットの安否をご自身で確認してください。

ペットが無事に家にいてくれた場合は、その後、①と同様の対応をしてください。

自宅に帰ることができない場合、モニターカメラや様子を見に行ってくれる親戚や友人知人、ご近所さんなどの協力によって安否を確認してください。

自宅にも帰れず、モニターカメラもなく、頼れる人もおらず、ご自身での安否確認ができない場合は、SNSなどを利用した飼い主グループとの共助が支えになります。

「同行避難」とは、被災時、家族であるペットと一緒に安全な避難場所に避難することで、国としては同行避難を推奨しています。

同行避難は「屋内で人とペットのエリアが分けられる」「人は屋内、ペットは屋外」「避難所の敷地内でのテントや車中泊」など、いくつかのケースが考えられます。

しかし、ペットの受け入れを含めて、避難所の現状は地域によってまちまち。避難所でペットと一緒に過ごせないケースもあるということも想定しておく必要があります。

同行避難を想定して、事前に何をやっておけばいい?

冒頭の被災した飼い主さんの声にもあるように、せっかくペットと一緒に同行避難できたとしても、不安や寂しさからパニックになったペットが鳴きっぱなしになるなどの理由で避難所での暮らしを諦めてしまう方もいます。

そうならないためにも、できることは平時にやっておくようにしましょう。

同行避難のために事前にやっておきたいこと

①クレートトレーニング(キャリーなどが「安心できる場所」となる)

②社会化トレーニング(人や他の動物を怖がったり攻撃的にならない)

③迷子対策(迷子札・マイクロチップの装着、ペットの写真の携帯など)

④各種ワクチンの接種

⑤フィラリアなど、寄生虫の予防・駆除

⑥決められた場所での排泄

⑦犬友・猫友とのコミュニケーションを深めておく

⑧さまざまなフードに慣らしておく

「ウチの子」のために揃えたい非常時持ち出し品リスト

災害時にはライフラインが寸断される可能性があります。その時になって困らないよう、必要な物資は、人間用とペット用の両方をあらかじめ備蓄しておきましょう。

また、持ち出し品には優先順位をつけて、優先度の高いものはすぐに持ち出せるようにし、その他のものは、持ち出しやすい場所にまとめて保管しておきましょう。

<参考資料>
環境省パンフレット「備えよう! いつもいっしょにいたいから」(PDF版)

まとめ

災害はいつ、どこで起こるかわからないもの。決して「自分は大丈夫」なんて思わないでくださいね。

あなたには助けてくれる親や兄弟、親戚、友人知人がいるかもしれませんが、ペットが頼れるのは、あなただけです。あなたが唯一無二の存在だということをぜったいに忘れないでください。

そして、そんな「ウチの子」のために、災害に備えてできることを今のうちにやっておいてください。被災時をシミュレートしてください。備蓄品を揃えておいてください。

もう一度言います、「ペットにはあなたしかいません」。

この連載では、ペットの健康のことや人とペットの暮らしについての「正しい」情報を発信していきますので、「ウチの子」との幸せな暮らしのヒントにしてくださいね。

今年のインターペット(4月に東京、9月に大阪で開催)におけるペットフード協会ブースでは、いのちと健康をまもるための『備え』に関する情報が盛りだくさん。知らないとアブナイかも?!

一般社団法人ペットフード協会

記事の監修
獣医師
徳本一義
  • 一般社団法人ペットフード協会 新資格検定制度実行委員会委員長
  • 一般社団法人ペット栄養学会 理事
  • 有限会社ハーモニー 代表取締役
  • 日本獣医生命科学大学、帝京科学大学、ヤマザキ動物看護専門職短期大学非常勤講師

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