蚊が媒介して感染する「フィラリア症」。猫に感染すると突然死のリスクもある恐ろしい病です。今回は危険な猫の「フィラリア症」を甘く見てはいけない理由を4つ解説します。
猫の「フィラリア症」を怖がるべき理由
猫のフィラリア症は、猫の心臓や肺動脈に「フィラリア(犬糸状虫)」という寄生虫が寄生することで引き起こされる感染症です。
蚊がすでにフィラリアに感染している犬や猫の血液を吸血した時に、中にいる幼虫も一緒に体内に取り込んで育ててしまいます。そしてフィラリアの幼虫を取り込んだ蚊が感染していない猫を吸血すると、体内に幼虫が入り込み成長していくのです。
フィラリアの幼虫は約3ヵ月程度で血管を伝って心臓や肺に移動、半年以上経過すると、生き残った成虫が心臓や肺に寄生し2~3年ほど生き続けます。
そこで今回は、猫の「フィラリア症」を怖がるべき理由について解説します。いざという時のために、飼い主としてしっかり理解しておきましょう。
1.感染を発見しづらい
フィラリアの幼虫が猫の体内に入って心臓や肺に移動すると、咳や息切れ、呼吸困難、嘔吐、痙攣、失神といった症状がでることがあります。
しかし、犬と比べると猫の症状は目立たない場合が多く、他の病気の症状と似ていることで間違って診察されてしまうケースもあるのです。
また、猫への寄生は犬よりも少数であることがほとんどで、院内で血液検査をしても発見できない可能性の方が高く、外部の検査機関に出す必要があります。急に症状が出て気づいたものの、手遅れになってしまうといった危険もあるのです。
2.完全室内飼いでも感染リスクがある
フィラリアを媒介するのは、最初にも説明した通り「蚊」です。蚊は年中どこかに潜んでいる虫だと言われていますので、いくら猫を完全室内飼いをしたとしても防ぎきれません。
また、いつ蚊が猫を吸血してしまうか分からないため、一年を通して猫にしっかり予防をしておかないと感染するリスクからは避けられないのです。なんとマンションの10階で飼っている猫の感染報告もあるなど、いつどこにいても危険が伴います。
3.突然死を引き起こす可能性がある
フィラリアの幼虫は、感染して心臓や肺に至るまでに成長できず、死んでしまう個体がほとんどです。
そして体内にいるフィラリアが死滅する時に、強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を起こして突然死を起こす可能性があります。
また、この反応で重い呼吸器症状や喘息を引き起こしたり、肺にダメージが及び慢性的な呼吸器疾患につながることもあるなど、厄介で恐ろしい病気なのです。
4.治療をしても完治が難しい
現在、フィラリアに感染してしまった猫への治療法は確立されておらず、出ている症状を緩和させるための対症療法にとどまります。
「寄生している成虫を駆除すれば良いのでは?」と思ってしまいますが、駆虫薬を使った成虫駆除は症状が悪化する可能性があるほか、最悪の場合は死を招くかもしれない危険もあるのです。
ステロイド剤などを使って治療しつつ、月に1回予防薬も投与していきます。しかし、ひとたび症状があらわれると、治療をやめた途端に再発することがあり、完治を目指した根本的な治療は困難だと言われています。
フィラリア症の対策をするには
恐ろしいフィラリア症にかかるリスクを減らすには、薬を使った毎月の予防が鍵です。猫の場合は以下の理由で、フィラリア検査は必ずしも必要ではありません。
・単数の寄生が多く血液検査をしてもわからないことが多い。
・ミクロフィラリア血症になることは稀です。なったとしても、その数が少ないので、ミクロフィラリアの駆虫に対して、副反応は毎月の予防ではほぼ認められません。
地域によって、予防が必要になる期間は異なります。ご自身のお住まいの地域を確認しておきましょう。
近年では温暖化により蚊の活動期間が長くなっていることから、年間を通して予防薬を推奨される場合もあります。そのあたりも含めて、かかりつけの獣医師に確認しておくとより安心です。
まとめ
今回は、猫の「フィラリア症」を怖がるべき理由について解説しました。
フィラリア症は、犬だけでなく、猫にとっても大きな脅威になる病気です。感染の発見が難しい上に、目立った症状がなくても急に突然死してしまうなど、一度感染すると恐ろしい結末を迎えてしまう危険性もあります。
ベストな対策は「月に1回の予防薬投与」ですので、健康診断の際などに獣医師に相談してみてください。しっかりと対策を行って愛猫の健康を守りましょう。
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