愛猫が咳をしているのを目にすると、飼い主としては非常に心配になりますね。猫の咳はさまざまな原因で起こることがあり、その原因によっては早急な対処が必要となる場合もあります。そこで今回は、猫が咳をしているときに考えられる病気5つについて解説し、どのような場合に動物病院に連れて行くべきかを紹介します。猫の飼い主さん、ぜひ参考にしてください。
猫が咳をするときに考えられる病気5選
1.猫喘息
猫喘息は下気道の慢性的な炎症性疾患で、気管支が過敏に反応し、喘鳴や咳が起こる病気です。一度発症すると完治は難しく、生涯つきあっていく必要があります。
明確な原因は不明ですが、アレルギーが主な原因ともいわれています。重症化すると呼吸困難を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
猫喘息を発症すると、咳(喘鳴「ぜいめい/ぜーぜーという咳」)・呼吸困難・活動量の低下などが見られます。
若くても発症する病気で、とくに2、3歳で発症すると重症化しやすいともいわれているので、ただの喘息と侮ってはいけません。
2.猫風邪
猫風邪は、猫カリシウイルスやヘルペスウイルスなどの感染によって引き起こされる上気道感染症の総称です。
ほかにも細菌に感染したり、マイコプラズマという病原体による感染症によっても発症することがあります。
猫風邪に感染すると、人間の風邪と同じような症状(くしゃみ・咳・鼻水・目やに・発熱など)がみられますが、免疫力が高く元気な成猫であれば自然治癒も期待できます。
ただ子猫や老猫、免疫力が低くなかなか症状が落ち着かない猫は、重症化の危険性も懸念されるため、注意が必要です。
猫風邪はウイルス感染が原因の場合は特効薬がないため、対症療法が行われます。抗生剤や点眼薬、その他症状に対しての薬などを投与し、治癒を目指します。
3.肺がん
肺がんは猫の肺に悪性の腫瘍が生じる病気で、高齢の猫においては発症リスクが高まるものの、猫全体でみると珍しいものです。
肺がんになると咳こみ・食欲低下・体重減少・呼吸が早くなる・胸水がたまるなど、さまざまな症状があらわれ、見つかったときはすでに進行してしまってるケースも多いです。
治療は外科的にがんを取り除いたり、放射線治療を行ったりしますが有効な治療法はまだ確立していません。
ほかのがんから転移している可能性もあるので、咳のほかにも気になる症状があれば、獣医師に相談したり、定期的に健康診断を受けることが大切です。
4.肺炎
肺炎は肺組織が炎症を起こし、肺が正常に機能しなくなる病気です。
原因は細菌・ウイルス・誤嚥(ごえん)・寄生虫など多岐にわたり、特に免疫力が低下している猫や子猫、高齢の猫で発症しやすい傾向があります。
風邪をこじらせて生じることもあれば、突然発症して重症化、命にかかわることもある危険な病気です。
風邪の経過が良くなく、咳・発熱・呼吸が早いなどの症状が落ち着かなかったり悪化する場合は、なるべく早めに獣医師に相談しましょう。
5.異物誤飲
異物誤飲とは猫が誤って物を飲み込んでしまい、それが気道や消化管に詰まってしまう状態のことです。
糸やひも・おもちゃの破片・人薬など、日用品のさまざまなものが原因となり得ます。
異物がのどにつっかえていると、それを吐き出そうと咳こむ様子が見られることも。嘔吐やよだれ、元気消失などほかの症状が見られたら注意が必要です。
飲み込んだものにもよりますが、中毒性のあるものはもちろん、おもちゃの部品やコットン、とくに糸状のものは猫にとって非常に危険です。
腸がアコーディオンのようになって「腸閉塞」といった、命に関わる病気にもなりかねません。
そのため猫が急に咳こんだり、よだれやほかの症状が見られたら、なにか飲み込んでしまったものはないかを確認して動物病院にいきましょう。
猫が咳をしていたらすぐに動物病院に連れて行く?
猫が咳をしていた場合、すぐに動物病院に連れて行く必要があるかどうかは、状況によって判断する必要があります。
すぐに動物病院に連れて行った方がよい場合
- 激しい咳が続いている
- 咳に加えて呼吸困難がある
- 咳と共に血を吐く
- チアノーゼがみられる
- 熱がある
- 咳以外の異常な症状がある(嘔吐、下痢など)
以上のような症状が見られる場合は、肺炎などの重い病気が疑われます。命に関わる可能性もあるため、速やかに獣医師の診察を受けましょう。
一方で、以下のようなケースでは必ずしもすぐに病院に行く必要はありません。
しばらく経過を見守れる場合
- 軽い咳が時々出るだけ
- 咳以外に異常はない
- 元気があり食欲も普段と変わらない
咳は生理的な理由でも出ることがあるので、軽い咳が少し出る程度であれば、しばらく経過を見守ってもいいでしょう。
病院に行くのも猫にはストレスなので、数日以内に改善しない場合に、獣医師に相談するという対応でもOKです。
ただし猫は症状を隠す習性があるため、軽く見えても実は重症である可能性もあります。咳の症状に加え、普段と違う異常な様子があれば早めに獣医師に診てもらうのが賢明です。
まとめ
愛猫の咳にはさまざまな原因が考えられますが、いずれの場合も飼い主の気づきと迅速な対応が非常に重要です。
とはいえ生理的にでている咳であれば、深刻にとらえる必要はなく、落ち着くのを見守るのがベター。
もし咳が続く場合や他の症状が併発する場合は動物病院に連れて行き、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
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