大阪万博の会場で“メタンガス爆発” 会場の安全性は?万博協会は「信じて来て、楽しんで」【報道特集】

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2024-06-29 21:07
大阪万博の会場で“メタンガス爆発” 会場の安全性は?万博協会は「信じて来て、楽しんで」【報道特集】

開幕まで300日をきった大阪万博。ふくれあがった会場建設費に加え、メタンガスによる爆発事故が起きたことが問題になっています。

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万博協会は今週、対策を公表しましたが本当に安全なのか。無料招待される学校現場からは不安の声があがっています。

開催まで300日 万博会場に浮上するメタンガス発生の問題

大阪・関西万博は開催まで300日を切る中、様々な問題が浮上している。

今年3月、爆発事故が起きた。原因はメタンガスだ。当時、現場近くにいた作業員は…

事故現場近くにいた作業員
「もうびっくりするくらいの音。たいそうな事故だった」

爆発があったのは1区と呼ばれるエリアのトイレ予定地。その付近には、受付ゲートや飲食ブースなども建つ予定で、来場した人が多く立ち入るエリアとなる。

事故について万博協会は…

2025年日本国際博覧会協会 藁田博行 整備局長
「正直言いましてこれぐらいで済んでよかったなというのが本音。いわゆる人的被害もなかったし、第三者被害もなかったし、破損もかなり小規模で済んだ。事故にならなくてという意味で言うと、ほっとしているというか。運が良かったという言い方をするのがいいのか分かりませんけど」

万博協会によると、作業場所のメタンガスの濃度は測定していたが、溶接作業の火花が測定していない地下に落ち、メタンガスに引火したという。

そもそも、万博会場となる夢洲はごみの最終処分場にするため埋め立てられた土地。大量のメタンガスが発生している。

内部資料に「メタンガス存在」 2年前に判明も今年の事故を受けて発表

報道特集が入手したメタンガスの発生量を調査した内部資料によると去年9月、今回爆発があった1区からメタンガスが1日約1.9トンも発生していた。

メタンガスが発生するのはこの1区だけなのか。事故直後から万博協会は、「他のエリアでは、可燃性ガスの発生はありません」と説明してきた。

数年前から夢洲のメタンガスの危険性を指摘している藤永延代さんは、この万博協会の説明に疑問を投げかける。

おおさか市民ネットワーク 藤永延代 代表
「2区、メインのところはメタンガス、そんな心配ありませんという言い方。それが嘘だと思っている。ないわけないと」

報道特集は、事故の2年前にこの2区のエリアでメタンガスが発生していたことを示す資料を入手した。大阪港湾局が作成していたものだ。そこには。

「メタンガスの存在が判明した」

万博のメイン会場となる2区の地下で行われている鉄道工事の事前調査で、2年前に判明していたという。

おおさか市民ネットワーク 藤永延代 代表
「間違いなく、地下鉄工事をしているところの下を分かっていたから、(大阪)港湾局は調べている。そうしたらメタン、ちゃんと検出されているんです」

大阪港湾局が資料を作成した約2か月後。この問題は大阪市会でも取り上げられた。

花岡美也 大阪市会議員(当時)
「万博の交通アクセスの重要な柱の一つである鉄道、事業費の増加についてお聞きします」

大阪市 松井一郎市長(当時)
「新たに判明したメタンガスによる、トンネル構内での事故防止のための事業費が増加することとなりました。万博開業に向けてコスト及びスケジュールの管理を徹底して取り組んでまいります」

それから2年がすぎた今年5月。万博協会は爆発事故を受けて初めて、「4か所で低濃度のメタンガスが検出されているデータを確認しました」と、2区でもメタンガスが検出されたと発表した。

さらに、海外の参加国への正式な説明は、事故から3か月経った今週の国際会議の場だったという。

おおさか市民ネットワーク 藤永延代 代表
「だから言うてたやろと。人が立ち入ったらあかんところを会場にしている。やっぱり悲劇やと思う。(対策に)ものすごいお金がかかります。危険だから手立てをしないと、それどうすんの。まだまだメタンガスも出てるし、わかっていたんやから。わかっていながら、そのままここまで来たんやからと無理くりやっていくというのはもう本当に愚策」

過去にもメタンガス爆発で被害 学校「無料招待」も…教員から不安の声

過去にも、ゴミ埋立地でのメタンガスの爆発事故で、大きな被害が出ていた。

2010年、兵庫県・姫路市の複合施設「エコパークあぼし」で工事中に爆発が起き、作業員10人が負傷した。

1975年には、東京の「夢の島」でも建設現場で爆発があり、作業員10人が死傷している。

メタンガスを使った実験映像では、ビニールハウスにメタンを含んだ空気を貯め、電気火花で着火すると…一瞬でビニールを突き破った。

別の実験では、ビニールの中で放射状に燃え広がり、瞬間的に大きな炎が上がっている様子が確認できる。

メタンガスは、空気中の濃度が5%から15%に達すると爆発するとされていて、静電気でも引火する可能性がある。

万博会場での事故に、不安の声も上がっている。

大阪府 吉村洋文 知事(2023年8月)
「大阪の子どもたちを万博会場に無料招待しようと」

無料招待される子どもたちを引率する、小学校・中学校の現役教師が取材に応じた。

山本恵里伽キャスター
「子どもたち、生徒たちが参加することについて、何が一番不安ですか?」

大阪府内の小学校 現役教師
「爆発事故とか、万博会場の安全というのが一番不安です」

大阪府内の中学校 現役教師
「引率する側から言うと、無事に行って帰ってこられるかどうかという、これが最大の課題。安全面でも本当に行けるのかって」

実際に、保護者からこんな相談があったという。

大阪府内の中学校 現役教師
「息子さんがYoutubeなんかで自分で調べて、『こんな所は行きたくない』『行けへんで』と言われたと。『爆発あったけれども安全なんですか』と保護者に聞かれたら答えられない」

大阪府内の小学校 現役教師
「(万博のテーマの)『いのち輝く』と言うからには、安心して行って勉強になった、楽しかった、わくわくした、生き生きと、何か活かしていこうみたいな体験ができて、『輝く』っていうのに繋がるのかなと思うので。ちょっと輝かないかな、今のままでは」

1区では4か月間で爆発の危険があるメタンガス19回検知 安全対策は

爆発事故から約3か月。24日、万博協会は安全対策を公表した。

2025年日本国際博覧会協会 藁田博行 整備局長
「メタン=危険というイメージの払拭含めて、我々の対策で大丈夫だよっていうメッセージは丁寧にいろんな場面で伝えていくしかない」

事故があった1区では、5月までの4か月の間に、爆発の危険がある5%以上の濃度のメタンガスが合わせて19回検知されていた。

そのため対策として、建物の隙間をシールなどでふさぎ、地下からのメタンガスの侵入を防ぐ。

さらに、メタンガスを強制的に換気する装置や、基準を超えると音が鳴る検知器も取り付けるという。

一方で、メイン会場となる2区3区については、検知されたメタンガスは低濃度だったとして、建物の対策は行わず、メタンガスの測定と換気を徹底すると説明した。

村瀬健介キャスター
「爆発事故が起きている事例も過去にもあるわけです。そうした中でも今回、爆発事故が防げなかった。メタンの発生状況について、予測することはかなり難しいのではないか」

2025年日本国際博覧会協会 藁田博行 整備局長
「コントロールはできるぐらいのレベルなんだろうというのが率直な感覚です。ただ今回、事故を起こしたのであまり信用されないというか…事故を起こしといて何言うてんのっていうところもあるんですけど」

村瀬キャスター
「開催期間中に起きてもおかしくなかったのではないか」

2025年日本国際博覧会協会 藁田博行 整備局長
「きちんと対策すれば、会期中に起こるリスクはほとんどないんじゃないか。ゼロにするつもりの取り組みでたぶん、達成できると思っている」

爆発現場の近くにできる飲食ブース。火の取り扱いについては、今後ルールを決めるという。

2025年日本国際博覧会協会 藁田博行 整備局長
「ファーストフードとかテイクアウトのお店が何軒か入る。火気は使わない店でという募集をいったんはしているので、それがどこまで皆さん徹底できるかっていうところにかかってくると思う」

他にも、来場者の不安解消のため「ある情報」の公開を検討していると話す。

2025年日本国際博覧会協会 藁田博行 整備局長
「『今日のメタン濃度』みたいな感じで、毎日人を入れる前にお知らせしようかなと考えています」

村瀬キャスター
「国際社会からしたら、なんでそんなところで万博を開いているのかっていうところ、なかなか理解が得られないんじゃないかと思うんですけれども、こういった場所で万博を開くことが適切だとお考えでしょうか」

2025年日本国際博覧会協会 藁田博行 整備局長
「協会は『ここでやれ』『対策して開会しろ』と言われているので、そこの答えは、私らに見解はないです。来場者の安全を守るというのは、主催者の当然の義務というか、開催の前提になりますので、そこは信じて来ていただいて、楽しんでくださいと」

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