7月に入り、この夏の予定を慌てて決めている方もいれば、すでに予定や手配を済ませ、詳しいプランを立てている方もいるのでは。全世界の登録ユーザー数が5500万人を超えるカレンダーシェアアプリ「TimeTree」に登録された90億超の予定データを統計的に分析する『TimeTree未来総合研究所』が、TimeTreeユーザーの予定動向をまとめた「未来データレポート」の7月版を公開。
今回は、代表的な夏の風物詩として知られる「花火」の予定について調査。すると、花火大会当日から2ヶ月以上前の予定登録はコロナ禍を経て約1.4倍に!今年も去年並の予定登録の傾向であることがわかりました。
コロナ禍で発生した「観覧席の有料化」「長期間の大会中止」により花火予定の登録時期が大きく変化
2020年から始まったコロナ禍では、多くの観客が集まり感染リスクになり得る花火大会は開催中止や無観客開催といった対応を余儀なくされました。「花火」というキーワードを含む予定数の推移を見ると、2023年はようやく予定数がコロナ禍以前に戻りつつあることが読み取れます。
2023年に開催された花火大会数はコロナ禍前に戻りつつあるものの、コロナ禍を経て花火大会には新たな課題が生まれています。その一つが開催にあたっての運営資金の確保です。花火の火薬代や、人が密集しない安全な大会運営のためにかかる警備費用などが、近年の物価や人件費の高騰の煽りを受けて膨れ上がり、クラウドファンディングや有料観覧席の増加といった手段で資金確保をする花火大会が増えています。
長岡花火や亀岡平和祭保津川市民花火大会、戸田橋花火大会といった歴史ある花火大会でも全観覧席を有料化する方針が取られました。このような運営の変更が生まれる中、花火大会の予定データを見ると、コロナ禍以前の2019年は花火大会直前に予定の登録が多かったのに対し、2023年はチケット販売開始時に予定登録タイミングが集中する変化が起きていることが見てとれます。
また、特に数年の中止を経て久しぶりに開催された花火大会においては、開催決定の情報が出るタイミングで予定登録が集中する傾向も見られています。例えば2023年に4年ぶりの開催で過去最高の103万人の動員を記録した隅田川花火大会に関して2019年と2023年の予定データを比較すると、2023年は開催決定告知タイミングに予定登録が極端に集中し、花火大会への期待から予定登録時期が大幅に早まっていました。
こうした予定登録の早期化傾向は、個別の大会に限らず「花火」予定全体でも見られ、2019年と2023年で「花火」を含むキーワードでの予定登録タイミングを比較すると、登録タイミングが早い時期ほど2023年で登録率が増加しており、花火大会当日から60日以上前に予定を登録する人の割合は2019年が11.5%に対し、2023年は16.0%と花火大会の予定を早めに登録する人が増加している変化の傾向が見えました。
予定を前もって登録するようになったことは、花火大会がコロナ禍を通して早い時期から計画され、楽しみにされるイベントとなってきた変化の表れと推察されます。
2024年も花火大会への期待感は継続。予定出現数TOP3 には長岡花火、隅田川花火、なにわ淀川花火がランクイン
最後に、今年の花火大会に関する期待感を計るために、2019年、2023年、2024年各年の5月31日時点で登録されている「花火」の予定について調べました。
結果は、2019年の登録予定1万件あたりの「花火」予定の出現数を100とした時に、2023年は135、2024年は128という数値になり、2024年は2023年とほぼ同水準で、早いタイミングで花火の予定を登録する人が引き続き多いことがわかりました。
次に7月から8月に開催される花火大会のうち、5月31日時点で登録されている予定数が多かったものも2023年、2024年で調べました。
その結果、順位の変動は多少あるものの2024年の上位10位以内にランクインした大会のうち7つが、2023年にも上位10位以内にランクインしていました。新しく10位以内にランクインした花火大会としては、2023年まで中止が続いていた「鎌倉花火大会」に加え「みなとみらい花火大会」や「北海道真駒内花火大会」などが挙がり、これらの花火大会への期待度の高さが伺える結果となりました。
<分析データについて>
・2019年1月~2024年5月の期間で登録されたデータを対象として分析(登録ユーザー数は2019年時点で1200万、2024年5月時点で5500万)
・分析に使用したデータは、匿名性を保つために統計的に処理
TimeTree 未来総研所長 深川泰斗さんのコメント
人は習慣化していたり、楽しみにしている予定ほど前もって入れるものですが、一般的に TimeTree 内では、予定当日付近のタイミングで登録される予定が多い傾向があります。
例えば TimeTree で最も多く登録されるキーワードである「休み」の予定は、予定当日から 30 日前までに登録される予定が約 7 割を占めますが、花火大会の予定を入れるタイミングはそれに比べるとずっと早い時期から登録される傾向にあります。花火の予定がこれだけ早く登録されるのは、花火が世の中的に楽しみにされているイベントだからと言えるでしょう。
今回の未来データレポートでは、コロナ禍が花火大会に及ぼした変化を「予定登録のタイミング」という側面から分析しました。大会運営面で様々な変化が起こっているのに対して、観客側の予定データからは予定登録のタイミングが早まっていることが読み取れ、コロナ禍以前に比べ、去年と今年は花火大会を楽しみにしている方が増えているのではないかと予想されます。大会運営者の方々の大変な努力と労力により、花火大会は実現されているものと思いますが、今後も花火が世の中の楽しみな予定として残り続けていくことを願っています。
TimeTree未来総研 Webサイト:https://timetreeapp.com/intl/ja/future-research-institute
日本の文化ともいえる夏の花火!コロナ禍を経て、私たちがどれだけ楽しみにしていたかを改めて感じるデータ結果でした。そして、当たり前に行われると思っていたことが、実はそうではないということもわかってきました。花火だけでなく、日本の文化や風物詩を守ろう!という様々な取り組みが行われています。一人ひとりが出来ることは小さいかもしれませんが、私たちの楽しみがいつまでも続いていくように何かしたい!と思うとともに、今年の花火も大いに楽しみたいですね。