フランクフルトが800円!物価高騰で“夏の風物詩”花火大会に異変【ひるおび】

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2024-07-19 16:48
フランクフルトが800円!物価高騰で“夏の風物詩”花火大会に異変【ひるおび】

新型コロナウイルスや物価高騰などの資金難に苦しめられ開催を見送っていた鎌倉花火大会が、5年ぶりに復活しました。
一方で、全国では中止を余儀なくされている花火大会も。夏の風物詩、花火大会の現状を取材しました。

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「やっと、なんとか実施にこぎつけた」

夏の夜空を彩る2500発の花火。
7月17日、鎌倉の由比ガ浜で開催された花火大会には、前回よりも3万人多い約16万人が集まりました。

実行委員長 中沢俊之さん:
「多くの皆様から花火大会は実施するのかという問い合わせもいただいた。やっとなんとか実施こぎつけた、それが素直な気持ちです」

新型コロナウイルスの影響やオリンピックの開催などで中止が続き、開催は5年ぶりです。
しかし、実は今年も『物価高』によって開催が危ぶまれていました。

そこで実行委員会が考えたのが、“クラウドファンディング”です。

例年の砂浜の無料席、椅子の有料席に加えて、今年は新たに『クラウドファンディング席』を設けました。

クラウドファンディング席では、砂浜に2人座れるペアシート。特設サイトに名前を載せてもらうこともでき、納涼うちわが2本もらえます。25限定の販売で2人で9000円。
さらに、5人まで座れるシートは1万8000円(限定80)で販売しました。

結果は、目標金額は650万円を大きく上回る786万円超となり、達成率は121%。
集まったお金は、花火の打ち上げ費や広報などに充てることができたといいます。

実行委員長の中沢俊之さんは「5年前と比べ人件費含めて物価が上がっている中で、資金の確保が大きな課題だった。協賛金や有料席だけでは運営資金を確保できなかった」と話します。

花火文化の普及活動に尽力する花火マニア 安斎幸裕氏:
「やはり“有料席を設けます”と言っても、手が出せない人ですとか、当然ながら“無料で見れるからいいんじゃないの”っていう風潮がある。ただ花火大会一つを形成するのには、非常に膨大なお金がかかります。花火の打ち上げ資金だけじゃなく、警備員さんの費用、椅子の費用、テーブルの費用、全てが絡んでの予算。なかなか実行委員会も主催者も苦しいところがあると思います」

恵俊彰:
「これだけの物価高騰で、花火大会もタダで見るものではなくなってきているってことなんですね」

弁護士 八代英輝:
「いろいろな問題を抱えてますよね。最近行政にも色々な声があるじゃないですか。使う資金もそうですし、渋滞もそうですし、騒音もそうですし。いろんなものをクリアしながら実行委員会の皆さんが本当に努力されてるんだなって思いますね」


全国で相次ぐ花火大会の“中止”

鎌倉の花火大会はクラウドファンディングで成功しましたが、全国では物価の高騰人件費の高騰などによる財政難で中止になる花火大会が相次いでいます。

3000発が打ち上げられる「草加市民納涼大花火大会(埼玉・草加市)」は花火代や警備費などの高騰のために中止。
長野県諏訪市で開催されている「全国新作花火競技大会」は、例年1万8000発もの新作花火が打ち上げられていましたが、安全安心に開催するために要する開催費用及び運営体制の確保が困難という理由で、数年にわたって中止になっています。

一方で、“縮小してでも・・・”というのが埼玉県小川町で行われる七夕まつりの花火大会。打ち上げ時間を1時間から15分、200発と規模を縮小してでも開催をするということです。

安斎さんは、「花火はほとんどの人が無料で見られるものと思っていたが、もう今や花火大会の主催者たちはお金の問題に奔走している」と話します。

コメンテーター 栗栖良依:
「私も自分でイベント企画運営する立場なので、花火大会がどれだけ大変かってのはすごく想像がつきますし、やっぱ1回中止しちゃうと再開する時にもっとエネルギーが要るので、それが大変っていうのもすごくよくわかりますね」

恵俊彰:
「あとやはり、職人の皆さんを技術を守っていく」

コメンテーター 副島淳:
「我々もちょっとアップデートしていかなきゃ駄目ですね。昔から花火大会は無料で見られるものというのが文化としてあったので、“お金払うのってどうなの?”みたいな意見とか、格差の問題とかもあると思うんですけど、“大会一つやるのも本当に大変なんだよ”っていうのをちゃんと言っていって、皆さんの夏を鮮やかにするためにっていうことで全席有料とかやっていかないと」

安斎さんは、「アイドルのコンサートに行ったり、テーマパークに行ったりするのと同じ。花火を見るのは、有料が当たり前の時代が来る」と花火大会は今後変わっていくと話します。

屋台にも「値上げ」の波

花火大会の楽しみの一つ、屋台でも値上げラッシュです。

鎌倉の花火大会の屋台を取材してみると、フランクフルトは前回の出店から100円値上げして800円。焼きそばも400円から600円に、お好み焼きが500円から800円に値上げ。

焼きそば店の担当者:
「いろいろ仕入れ値が上がっちゃってるから」

フランクフルト店の担当者:
「(値段を)上げざるを得ないんですけども、やっぱり(物価が)高騰してますのでぶっちゃけそんなに儲けもないんですよ」

一方、買い物客からは・・・

20代男性:
「“高っ!”って言いながら買いました」

20代女性:
「ちょっと高いけど、友達と食べようってなったので買いに来ました。食べたかったら高くても食べます」

20代男性:
「お好み焼き大好きなんですよ。(屋台の値段)感覚は高いなと思いました。(Q.800円でも買いたい?)買いたいですね」

今回取材した11店舗のうち、7店舗が“値上げをせざるを得ない状況”だと話していました。

恵俊彰:
「やっぱりこういったものを含めて花火大会ですよね。でも何とか守っていかなきゃいけないと思いましたね」

コメンテーター 栗栖良依:
「すごく思います。夏の風物詩ですし、日本人みんな好きだと思いますし、インバウンドで海外の方も花火を楽しみに来られる方もいらっしゃると思うので。文化を守りたいと思いますよね」

(ひるおび 2024年7月18日放送より)
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<プロフィール>
安斎幸裕氏
国内140か所以上の花火大会を観覧する「花火マニア」
花火大会の主催者・花火業者との親交も深い

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