夏休みを前に、新型コロナウイルスの患者数が増加傾向にあります。医療の現場からは、「第11波」への懸念と危機感の声が上がっています。
【写真を見る】新型コロナ“第11波”か 「薬代が高く服用を断る患者も」検査や薬などの費用はいま【Nスタ解説】
新型コロナ“第11波”か 夏風邪との区別も
加藤シルビアキャスター:
厚生労働省によりますと、7月8日~14日までの新型コロナの患者数(1医療機関あたり・全国平均)は前の週と比べて1.39倍の11.18人となり、10週連続の増加です。
直近の患者数のピークを見ると2023年8月頃に第9波、2024年1月頃に第10波がありました。今回の患者数の増加は第11波の入り口になるのでしょうか。
埼玉医科大学総合医療センター 岡秀昭医師:
現場では発熱を訴える患者さんがかなり増えています。最近は咽頭結膜熱やヘルパンギーナなどの夏風邪も流行っていますので、コロナとの区別をしなければいけないような患者さんが多く来院しています。また、入院が必要なコロナの患者さんも増加傾向にあります。
日比麻音子キャスター:
20日から多くの子どもたちが夏休みに入るので、気をつけていきたいですね。
教育アドバイザー 清水章弘さん:
私は全国の学校を回っていますが、感染拡大を肌で感じています。夏休みに入り、おじいちゃん、おばあちゃんの家に行くこともあると思います。子どもたちの感染防止について考えなければいけません。
数年前の抗原検査キットは使える?
加藤キャスター:
埼玉医科大学総合医療センター岡先生に改めてコロナについて話を聞きました。
現在PCR検査は3割負担で約6000円、抗原検査は3割負担で約2000円、全国にあった無料のPCR検査場は公費負担がなくなり、事業は終了しています。
また、数年前の抗原検査キットは使えるのかというと、岡先生は「(抗原検査キットの)使用期限は1年~2年ほど。期限が切れると判定が正確に出ない可能性もある」といいます。
埼玉医科大学総合医療センター 岡医師:
PCR検査は費用が高く、結果が出るまでに時間がかかるため、検査費用が安く、診断結果も早い抗原検査が見直されています。発熱などの症状が出たら使用期限内の抗原検査キットを使って、陽性であれば医師の診断を受けてください。陰性の場合は解釈が難しいので、医療従事者と相談をしてください。
ワクチンの効果はいつまで? 高齢者対象の「定期接種」開始へ
加藤キャスター:
厚生労働省によりますと現在、新型コロナのワクチン接種の費用は約1万5000円かかります。ワクチン効果の持続期間を岡先生に聞きますと「発症予防効果は約3か月で急激に落ちる。重症化予防効果は約2年でほぼなくなる」ということです。
厚生労働省では、高齢者などを対象に「定期接種」を始める方針だということです。
10月1日から自治体の準備が整い次第順次開始の予定で、期間は2025年3月31日までだそうです。▼対象は65歳以上の高齢者 、基礎疾患等のある人(60~64歳)▼費用は自己負担額は最大約7000円になるそうです。
日比キャスター:
高齢者や基礎疾患のある方のワクチン接種の効果はいかがでしょうか。
埼玉医科大学総合医療センター 岡医師:
ワクチンを接種しても効いていないのではないかと思う人がいるかもしれませんが、実は重症化を防いでいます。直近の第9波、第10波の間は以前に接種したワクチンのおかげで重症化を防いできました。私たちの現場でも本当に重症者が減りました。
今後、心配なのは追加接種をしていないと重症化を防ぐ効果が切れてしまうことです。最近、コロナ感染初期の肺炎のような患者さんを見るようになってきました。まだ先を見ないとわかりませんが、高齢者がワクチンを追加接種しないと、初期のような重症化をきたして亡くなる方が増えてくるのではないかと心配をしています。
高齢の方でも特に免疫の低下している方、持病のある方はワクチンの追加接種をぜひ受けていただきたいです。各自治体も追加接種を受けられるような体制をとってほしいと思います。
日比キャスター:
重症化の患者さんが増えれば増えるほど、医療機関のひっ迫が再び起きてしまう可能性もあります。
高額なコロナ経口薬 服用断る患者も
加藤キャスター:
岡先生によりますと、新型コロナに罹ってしまった場合の経口薬(5日分・3割負担の場合)で重症化しそうな方には▼ラゲブリオ 約2万8200円、 ▼パキロビッドパック 約2万9700円、そして軽症の方には▼ゾコーバ 約1万5600円などがあるそうです。
しかし岡先生は「薬代が高いので服用を断る患者も多く、重症化してしまうケースもあります」といいます。
日比キャスター:
お金がかかるため、検査を控えたり、高額なお薬を選ばない患者さんがいたりするということですか。
埼玉医科大学総合医療センター 岡医師:
しっかりワクチン接種をしていれば、大部分の方は治療薬を必要としません。つまりワクチン接種をすることで、高額な薬の必要性が減ると理解していただきたいです。
日比キャスター:
我々はコロナに慣れてしまった部分もあります。改めて見直していきたいと思います。
教育アドバイザー 清水さん:
この時期、熱中症のリスクを考えると、マスク義務化はとても難しいと思います。せめて睡眠時間を長めに取る、よく噛んで胃腸への負担を減らす、また免疫を高めていくことも忘れてはいけませんね。
日比キャスター:
夏休みで気をつけることはありますか?
埼玉医科大学総合医療センター 岡医師:
咳や喉の痛み、熱がある方は受診をしてください。受診ができない方は外出を控えてください。それが感染を広げない重要な点だと思います。
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<プロフィール>
岡秀昭さん
埼玉医科大学総合医療センター 診療部長
日本感染症学会感染症専門医
清水章弘さん
教育アドバイザー
東大在学中に“勉強のやり方”を教える塾起業
学習法に関する著書多数 2児の父 36歳