特定の勢力が乱立して争うことを「群雄割拠」と表現します。
しかし、そもそも「群雄割拠」はどのような時代を指すのでしょうか?
今回は戦乱の時代の表現としてよく使用される「群雄割拠」という言葉について解説します。
「群雄割拠」とは
早速ですが「群雄割拠」の意味について見ていきましょう。
群雄割拠の意味
「群雄割拠」は実力者が各地で勢力を広げ、お互いに対立することを意味する四字熟語です。
特に中国や日本の戦国時代、幾人もの英雄・英傑が対立しつつ各々の勢力を築き、覇権を巡って相争う状況のことを意味します。
端的に表現すれば実力者たちによる覇権争いのことです。
そうした特定の有力者が争っている状況を「群雄割拠」と表現します。
群雄割拠の成り立ち
ここからは「群雄割拠」の成り立ちについてまとめます。
「群雄」とは
「群雄」とは幾人もの英雄や英傑、実力者のことを意味します。
中国や日本にはかつて戦国武将が無数に存在しました。
そんな時代の実力者が何人もいる状態を「群雄」と言います。
「割拠」とは
「割拠」とはそれぞれ占有した領土を本拠に勢力を張ることを意味します。
かつて中国や日本ではそれぞれの領土を奪い合っていました。
そんな領土の奪い合いを「割拠」と言うわけです。
日本で知られている「群雄割拠」と言われる時代
ここからは日本で知られている「群雄割拠」の時代についてまとめます。
日本における戦国時代
「群雄割拠」は中国語でも日本語でも頻繁に使用されます。
中国史の戦国時代も日本史の戦国時代も、多数の武将が台頭して相争う時代がありました。
そんな時代を「群雄割拠」と表現します。
ちなみに日本の戦国時代は15世紀末頃から16世紀後半まで続いたことで知られています。
当時は日本各地に戦国大名と呼ばれる武将が立ち上がり、自国の勢力を拡大しようと他国との戦争を繰り広げていました。
そんな混迷の時代が150年近く続いたとされています。
当時はまさに「群雄割拠」の状態。
日本各地に存在する名家が対立していました。
代表的なところだと武田家や上杉家、今川家、北条家などです。
そこに織田家や豊臣家や徳川家が参戦し、徐々に戦の規模も大きくなっていきました。
この時代は日本で「戦国時代」と呼ばれています。
つまり「群雄割拠が指す時代=戦国時代」と言っても過言ではありません。
古代中国における春秋戦国時代
「群雄割拠」は中国の春秋戦国時代も意味します。
中国の春秋戦国時代は東周の時期を指します。
この時代、各地に有力者が乱立して国内分裂が進みました。
そんな春秋戦国時代の戦乱は中国で「諸侯割據」と表現されます。
また、その後に続く五代十国時代は「藩鎮割據」、後漢(東漢)の三国時代に続く乱世は「州牧割據」とそれぞれ表現されます。
これらをまとめて「群雄割據」と呼ぶとか。
これも「群雄割拠」と同義の言葉です。
古代中国後漢末期の三国志の時代
古代中国の後漢末期は、いわゆる三国志の時代です。
これは「魏・呉・蜀」の三国時代とも呼ばれています。
始まりは184年の黄巾(こうきん)の乱。
この出来事をきっかけに後漢王朝が衰退し始め、中国は「魏・呉・蜀」という3つの国に分裂してしまいます。
それにより各国が各地で戦争を始め、混迷の三国時代へ突入するわけです。
そのため「群雄割拠」という表現が一番相応しいのはこの三国時代とも言えるでしょう。
「群雄割拠」の関連用語
ここからは「群雄割拠」の関連用語をまとめます。
治乱興亡
「治乱興亡」は世の中が治まって盛んになることと乱れて衰えることの両方を意味する四字熟語です。
特に政治がうまくいったり乱れたり、国が興ったり亡びたりすることを指します。
そういった意味では「群雄割拠」の状況にも似ていると言えるでしょう。
ただし「治乱興亡」は混迷の世の中という意味合いが強いです。
そのため、実力者が相争うことを意味する「群雄割拠」とは若干意味が変わってくる点には注意が必要です。
合従連衡
「合従連衡」は敵対している勢力がその時の状況に応じて争ったり協力したりする様子のことを指します。
争いに勝利するためにそれぞれの英雄・英傑が策謀をめぐらしているという意味が強い表現です。
実力者が互いに争い合っているという意味では「群雄割拠」と通じるものがあります。
竜騰虎闘
「竜虎闘争」は2大勢力が争っている様子を指す言葉で、お互いの実力が拮抗していることを前提とした表現となります。
実力者同士が相争うという意味では「群雄割拠」と同じと言えるでしょう。
ただし「群雄割拠」は複数(3者以上)の勢力が拮抗して相争う様子を意味します。
その点では両者で若干の違いがあると理解しておく必要があります。
まとめ
「群雄割拠」は有力者が乱立して争っている状況を指します。
日本では戦国時代、中国では三国時代が当てはまります。
この時代、それぞれの国には力を持った国が乱立していました。
その国同士が戦を繰り広げ、世はまさに戦乱だったと言えます。
そうした時代を表現する四字熟語、それが「群雄割拠」となります。