ことしの「警察白書」が公表されました。警察庁が“治安対策上の脅威”と位置づける「匿名・流動型犯罪グループ」の特徴や取締りに向けた対策などについて、詳しく紹介されています。
「匿名・流動型犯罪グループ」通称、トクリュウの特徴として、犯罪収益を吸い上げる中核部分は匿名性の高い通信手段を使うなどして「匿名化」される一方、SNSなどで募集された末端の実行役は「使い捨て」にされ、メンバーを入れ替えながら多様な資金獲得活動を行うため、実態の把握が容易ではないとしています。
この多様な資金獲得活動には、特殊詐欺や、去年6月以降急増しているSNSを使った投資詐欺のほか、強盗や窃盗に加えて東京・新宿歌舞伎町など繁華街での悪質ホストクラブによる犯罪収益も含まれているとみられています。
警察庁は今回の白書で、ことし4月から5月までの間、トクリュウによる犯行とみられる摘発人数が全国で508人に上ったことを明らかにしました。
このうち3割にあたる155人が、SNSで募集されて犯行に及んでいたということです。
警察庁は「犯罪グループの収益構造に切り込んでいく」として、刑事、組対などの部門や犯罪の種類のこだわることなく、縦割りを排除して「警察の総合力」を発揮できる新たな体制を構築して徹底した取締りを推進しているとしています。
また、表紙には、石川県警が撮影した写真が掲載されています。
警察庁の担当者は、ことし1月の能登半島地震以降、「県民に寄り添う警察職員の日常の風景をお伝えしたかった」としています。