ブラジル政府は、第二次世界大戦時に日本人移民が迫害された問題について初めて謝罪しました。今年103歳を迎える被害者の男性がJNNの取材に今の思いを語りました。
【動画】103歳になる被害者「これ以上の争いはいらない」ブラジル政府、戦中の日系人迫害問題で初の謝罪
人権・市民権省 恩赦委員会 アラメイダ委員長
「日系社会に対して、ブラジル政府として謝罪します」
25日、首都ブラジリアで、ブラジル政府は第二次世界大戦時に日本人移民らに行った迫害について初めて公式に謝罪しました。
迫害が行われた南東部サントスでは、先月、その歴史を伝えるツアーが開催されました。
ツアーガイド
「1943年7月8日、日本人が強制的にこの町から排除された歴史をお話しします」
第二次世界大戦中の1943年7月、サントス沖でブラジルの商船などが砲撃され、ブラジル政府は報復としてサントスに住む日本人移民らを「敵性外国人」とみなし、サントスから24時間以内の強制退去を命じました。
記者
「強制退去処分により、多くの日本人がこのサントスの駅に集められ、移民収容所や地方都市に送られたということです」
あわせて6500人が、突然、暮らしていた家を追われました。
当山正雄さん(102)は22歳の時、外出中に、警察から強制退去を命じられました。
当山正雄さん
「家に戻れなかったことは本当に悲しかったです」
着の身着のまま、鉄道駅へ連行され、移民収容所に列車で送られました。当山さんがサントスに戻ったのは4年後、戦争が終わった後でした。
第二次世界大戦中はアメリカやカナダでも日本人らの強制収容問題がありましたが、両政府は1980年代に公式に謝罪。
一方、ブラジルで転機が訪れたのは2016年。強制退去命令の対象となった日本人の名簿が発見され、今回の謝罪につながりました。
今年103歳を迎える当山さんは…
当山正雄さん
「当時の問題に決着をつけるのは良いことです。私の人生も終わりに近づいている。これ以上の争いはいらない」
80年が過ぎて実現した政府の謝罪。日系団体は、「日系社会を受け入れてきたブラジルへの敬意から、これ以上の補償は求めない」としています。