犬にまず最初に覚えてほしい行動として「おすわり」があるかと思います。「おすわり」の合図でその行動ができると、いろんなシチュエーションで助かることも少なくないため、ぜひ学習してほしい内容のひとつですね。その学習方法はさまざまですが、ここでは人も犬も楽しめる方法をお教えしましょう。
まずは座った瞬間に「ご褒美」で褒める
初心者の飼い主がついやりがちなのは、「おすわり」をさせるためにお尻を地面に押し付けたり、おすわりをするまで「おすわり!おすわり!」と言葉を連呼してしまうことです。
結論から言うと、そのようなことをやる必要は一切ありません。
人間がやるべきことは、犬がおすわりの姿勢をとった瞬間に「そう!」「いい子!」など決まった褒め言葉とともに、「ご褒美」としてトリーツ(フード)を提供することです。
そしてさらに注意してほしいのは、最初の段階では、おすわりの姿勢を一瞬でも出来たら、それをきちんと褒めてあげる、という点です。
人間は欲深いもので、つい最初から『その姿勢をキープする』ことを求めてしまいがち。しかし、それはおすわりという行動を犬がきちんと体に覚え込ませてから初めて進むステップです。
まずは(『座る』という行動をしたら良いことがある♪)ということを犬が自然と思えるようになるまで、コツコツとおすわりの姿勢ができるように繰り返しましょう。
犬が座る頻度が増えてきたら合図をつける
愛犬の「おすわり」の行動を褒め続けていくと、数分もすれば自発的にその行動が増えていることがわかります。その段階にくると、犬は「この姿勢をとるとメリットがあるからやろう!」という状態になっているので、今度は次のステップとして「おすわりの合図」をつけていきます。
ここでの合図は音、つまり言葉による合図です。「おすわり!」「Sit!」というように、「座る」という行動と音による「合図」を結びつけるのです。
たとえば、犬がおすわりの姿勢をした瞬間に「おすわり」などの決めた合図を伝えて犬にご褒美をあげて褒めます。すると、犬はだんだん「おすわり」と「座る」という行動をポジティブに結びつけて学習していくので、自然と徐々に「おすわり」という合図を行動より前にもっていきます。
つまり、最初は犬の座る行動と同時に「おすわり」と飼い主が言っていましたが、次第に「『おすわり』といわれたら座る行動をしよう」と犬が自発的に行動できる流れにしていくのです。
環境を変えてチャレンジしよう
「おすわり」の合図にあわせて座るという行動が確実にできるようになってきたら、次は環境を変えて練習してみましょう。
犬は環境がわずかでも変わると、その瞬間から「全く異なる環境」として認識します。例えば、指示を出す人が女性から男性に変わるだけでも、それは犬にとって今までと違う環境になるのです。
そのため、よく「家ではできるのに、外だとうまくいかない」「私が言うとできるのに、夫や子供だとだめ」ということが起こり、まるで愛犬に欠点があるかのように感じる人もいるでしょう。
しかし、それは決してその犬に問題があるわけではありません。犬は人を含めた環境そのものを自分の行動の条件と結びつけているため、その条件が異なれば紐づいた行動が起こりにくくなるのは当たり前のことなのです。
そしてそれをクリアにするためには、人を含めた環境をあえて変化させることで環境の変化に順応させる必要があります。これをクリアできれば、どんな環境でも(「おすわり」の合図では座るという行動をするんだな)と愛犬に認識してもらえるようになるのです。
同じ行動でも異なる環境によって全く新しい体験になると思って、ぜひ犬といっしょに環境の変化でも同じ行動ができるかどうか、色々チャレンジして楽しんでほしいですね。
まとめ
犬におすわりの合図と行動を伝えるためには、積極的にこちらから何かをするというよりも、その行動が出たらその瞬間をご褒美を与えて褒めて「座る」行動をメリットとして捉えられるようにしていきます。
そして、犬が「おすわりをしたらメリットがある、だからたくさんこの行動をしよう」という様子が見られてきたら、後から合図となる「おすわり」という言葉をかけることで、言葉と行動結びつけていき、最終的に「おすわり→座る」という行動の形成を目指します。
強制的にその姿勢をとらせたり、その姿勢を保つ時間を伸ばすために「できなかったら嫌なことがある」とデメリットを強調する方法もありますが、それは動物福祉に反しますし、だれも幸せになれません。
ぜひ今回ご紹介したようなポジティブな方法で、犬も人も楽しく取り組んでみてください。
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