愛猫に長生きしてもらいたいと思うのは、飼い主として当然のことです。猫の「寿命」はどのように決まるのか、その要素と理由について解説します。
1.性別
猫の寿命は、性別が影響するという説があります。その根拠はいまだ解明されていませんが、雄の平均寿命が13.7才、雌が14.8才と約1年の差があることは事実です。あくまで平均寿命を比較した場合ですが、雌の方が長生きする傾向があるという説があるようです。
雄の平均寿命が短いのは、他の雄猫との喧嘩によって負傷しやすいことが理由、といわれています。その喧嘩の際の傷が原因で、感染症を患ってしまうこともあるでしょう。また、腎臓病や尿路結石などの尿路疾患になりやすいことも、雄猫の平均寿命を縮める原因です。
一方で雌も避妊手術を行わないことで子宮の疾患や悪性の乳腺腫瘍などになるリスクもあるため、医療の発達している現代ではどの雌猫も寿命を縮める要因を持っています。
しかし、このようなリスクは飼養環境や去勢手術で容易に回避できるもの。また雌であっても喧嘩や病気をしないわけではなく、実際には性別よりも個体差の方が大きいといえます。
2.被毛
猫には、メインクーンやラグドールなどの長毛種と、アメリカンショートヘア、アビシニアンなどの短毛種が存在します。寿命の観点でみた場合、どちらかというと短毛種の方が長生きすると考えられているようです。
長毛種の寿命が短い理由は、グルーミング(毛づくろい)にあります。長毛種は短毛種よりも大量の毛を飲み込むことになるため、毛球症を患いやすいのです。
場合によっては、腸閉塞や消化管壊死など、重篤な状態に陥ることもあるため、定期的なブラッシングが必要になります。
また、高温多湿な日本で暮らすこと自体が長毛種の負担になっているという一面もあるようです。とくに夏は熱中症のリスクが高まるため、短毛種以上に室温管理に気を使ってあげなければなりません。
3.環境
猫の寿命を大きく左右するのが、飼育環境です。野良猫や屋外を自由に行き来する猫と比べると、完全室内飼いの猫は2~3年も寿命が長いといわれます。
屋外で暮らす猫が短命な理由はさまざまですが、主には交通事故に遭う確率が格段に高いことや感染症になりやすいことが挙げられるでしょう。完全室内飼いで交通事故に遭うことはまずありません。また、猫同士の喧嘩によって怪我や感染症になりやすいことも原因です。
さらに危険なのが、猫免疫不全ウィルス感染症や猫白血病ウィルス感染症などの感染症です。もちろん、完全室内飼いの猫が感染症にかかることもありますが、屋外で暮らす猫はその何倍もの確率で感染しやすいのです。
猫の寿命を少しでも長くしたいのであれば、完全室内飼いでリスクを減らすことをおすすめします。
4.猫種
ペットショップなどで販売されている「純血種」と呼ばれる猫は、同じ品種の両親を持ちます。
まったく違う品種を掛け合わせて生まれた猫は「混合種(いわゆる雑種)」と呼ばれますが、混合種の方が寿命が長い傾向があるようです。ちなみに日本猫の多くは混合種のため、日本猫も長寿といわれています。
純血種は「長毛」「小型」などの「遺伝的要素」を引き継げることがメリットなのですが、同時に「遺伝的疾患」も強く引き継いでしまうためです。混合種の場合は品種ごとの遺伝的疾患が分散される形になるため、その差が寿命につながってくるというわけです。
また、品種によっても、平均寿命が若干異なります。ペルシャやアメリカン・ショートヘアなどの品種は、混合種に次いで長寿とされる品種です。
まとめ
今回紹介した4つの要素をまとめると、「室内で飼われている短毛雑種の雌猫」が最も寿命が長いことになります。
しかし実際には、食生活や運動量、飼い主さんの接し方などにも左右されるため、結局のところは個体差が大きいといえるでしょう。
ギネスに登録されている世界一の長寿猫「クリーム・パフ」は38才と3日生きたそうですが、飼い主さんが語る長寿の秘訣は『愛と信頼関係』なのだそうです。猫のために車庫にシアタールームを作って映画を見せていたという、ユニークなエピソードもあります。
性別や品種に関わらず快適な暮らしを整えてあげることが、長生きの一番のポイントなのかもしれませんね。
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