■パリオリンピック™ 陸上・女子マラソン(日本時間11日、パリ市庁舎~アンバリッド)
女子マラソンで初出場の鈴木優花(24、第一生命)が2時間24分02秒の自己ベストをマークし、見事6位入賞を果たした。
アフリカ勢や世界の強豪ランナーたちが揃う中、五輪史上“最難関”コースも終盤まで先頭集団に迫る会心の走り。前日、男子マラソンで6位入賞を果たした赤﨑暁(26)に続き、初めての大舞台で大躍進を遂げた。
東京五輪8位入賞の一山麻緒(27、資生堂)は2時間34分13秒で51位。金メダルは東京五輪トラック長距離で2冠のS.ハッサン(オランダ)。難コースで2時間22分55秒の五輪新記録を叩き出した。今大会、5000m・10000mで銅メダルのハッサンはついにマラソンで金メダルを獲得。
前日に日本記録保持者の前田穂南(28、天満屋)が右大腿骨疲労骨折による欠場を発表し、日本勢は一山と鈴木の2人で挑んだ。
スタート時の天候は晴れ、19度、湿度66%と男子マラソンとほぼ同じようなコンディションで行われた。レースはスローペースで進み、先頭は最初の5kmを17分24秒で通過。鈴木と一山は集団の中ほどで走る。
10km過ぎにフランスのM.ジュリアンが集団の前に出ると、12km過ぎに東京五輪金のP.ジェプチルチル(ケニア)が一段ギアを上げてジュリアンに追いつく。エチオピア、ケニア勢も続き11人の先頭集団に。その後ろに“トラックの女王”ハッサン(オランダ)が迫り、少し遅れて鈴木と一山がついていく。
15km地点では鈴木が先頭集団と14秒差の15位、一山が46秒差の45位で前を追う。15km付近から五輪史上“最難関”といわれるコースのアップダウンが始まり、鈴木はきつい上り坂で先頭集団に一気に追いついた。一山は先頭との差を広げてしまう。
鈴木は先頭集団の中で安定した走りをみせ20kmを迎えた。コース最高地点の20.3㎞を過ぎて今度は下り坂へ。中間地点で集団は20人となり1時間13分22秒で通過。一山は先頭から2分4秒遅れの56位と厳しい展開に。
◆鈴木が会心の走り、先頭集団で終盤へ
ベルサイユ宮殿を過ぎて選手は再びパリの市街地へ向かう。先頭集団から3人の選手が前に出たが、鈴木を含む集団はペースを保って走り、25km過ぎで3選手を吸収し先頭は18人の集団に。ハッサンがトラックレース同様、虎視眈々と集団の一番後ろで走る。
27km付近で世界記録保持者のT.アセファ(エチオピア)らがペースを上げ、激しいアップダウンへ。鈴木はアフリカ勢にしっかり腕を振ってついていき、急勾配の坂で5位に浮上。上りが終わり先頭はペースUP。鈴木もついていきたいところだが、ハッサンらに抜かれ30km地点では先頭と4秒差の8位に。だが鈴木は下り坂を使って再び先頭に追いつき、9人の集団へ終盤へ。
パリの市街地に入り、集団は縦長へ。先頭はハッサンら5人に絞られ、鈴木は少し遅れるもジェプチルチルを抜く会心の走り。35km地点の給水で前日男子で6位入賞の赤﨑暁(26)がスペシャルドリンクを渡そうとしたが取れず。再び先頭集団に近づく粘りの走りで、メダルも狙える位置につけた鈴木だが、終盤でH.オビリ(ケニア)に抜かれ6位に。
エッフェル塔が見えてくる中、最後の力を振り絞って先頭の5人を追いかけ40km地点で27秒差。世界最速ランナーたちを前に大健闘の走りをみせた鈴木は、後続を突き離し堂々の6位でフィニッシュ。
初の五輪レースを戦い抜いた鈴木は「初めてケニア選手、エチオピア選手たちのペースの変動を身をもって体感できました。ついていくのも1回不安もよぎるんですけど、やっぱりつかないと入賞はできないと思っていたので。もう自分の行けるところまで行こうと決めて、必死についていきました」とレースを振り返った。
【女子マラソン結果】
金)S.ハッサン(オランダ)2時間22分55秒
銀)T.アセファ(エチオピア)2時間22分58秒
銅)H.オビリ(ケニア)2時間23分10秒
・・・・・・・・・・・・・・・・・
6位)鈴木優花 2時間24分02秒
51位)一山麻緒 2時間34分13秒