「死ぬための教育は、教育のまさに逆転現象」子どもたちを支配した軍国主義は教室だけでなく少年向け雑誌にまで【報道特集】

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2024-08-17 06:30
「死ぬための教育は、教育のまさに逆転現象」子どもたちを支配した軍国主義は教室だけでなく少年向け雑誌にまで【報道特集】

ひとたび戦争が始まると、国家は子どもたちをも武器に変えます。当時、大人たちはどのようにして軍国少年・少女を作り上げていったのでしょうか。

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軍国主義は教室を支配 教室では戦争遂行のために鍛錬する子どもの姿

大木秀生さん
「校庭の場所は昔のままです。正面に木造の校舎があったけど、横浜大空襲の火災で無くなっちゃいました」

横浜市に住む大木秀生さん(91)は、かつて通っていた西前小学校に来ると、80年前の校長の言葉がよみがえってくる。

校長
「諸君は戦争に勝った方がいいか、負けた方がいいか、勝った方がいいと思う者は手を挙げ!」
「戦争は是が非でも勝たなければなりません!今こそ、少国民我らは立つのだ!」

1944年、横浜市にある西前国民学校で撮影された記録映画。そのタイトルは「戦ふ少国民」。

飛行兵になるための訓練や手旗信号など、戦争遂行のために鍛錬する子どもたちの日常が描かれている。

1年生の授業の様子
先生「天皇陛下バンザイ!」
子ども「バンザーイバンザーイ」

映画に出演したとき、大木さんは国民学校の5年生で、11歳だった。

大木さん
「例えば、天皇の名前を、神武、綏靖、安寧…とずっと120何代か言わされる。途中で間違えると、ぶん殴られる」

映画の中では、教師がアメリカ軍の戦闘機の音を流し、機種を当てさせる授業もあった。

4年生の授業
先生「この音はなんだ?木村」
生徒「カーチスホークP40であります」

映画の製作を指導したのは当時、国の機関だった軍事保護院。撮影台本の中には製作意図が記されていた。

「兵隊さんありがとうなる精神」、そして「君の御為に散華した軍神神兵のあとをわれらまた追いて征かん」との決意。そうした戦う少国民の姿を描くことが「軍人援護精神の昂揚」に役立つとある。

大木さん
「朝から晩まで戦争戦争。それ以外は考えられなかったのかな」
「中学校の入学試験は、特攻隊の名前を漢字で書けですから。たくさん書ければ書けるほど、合格率がよかった」

軍国教育は教科書の中にもあった。
特に重視されていたのが「修身」、今でいう道徳の授業だ。

教科書を開くとまず、忠君愛国の精神を強調する「教育勅語」が載せられている。
さらに、日本が「世界中で一番尊い国」であることや、兵隊がいかに素晴らしいかなど、戦争を美化する内容がつづられている。

当時のテストには軍国主義を植え付ける質問

子どもたちは、教育勅語を全て暗記させられた。

札幌市に住む、89歳の林恒子さんの記憶にも染みついている。

林恒子さん
「教育勅語を書き写したもの。4年生になったら書き写せるようになりましょうって言われてね」
「忠良なる少国民だったから、真面目に言われた通りに清書した。四角四面の軍国少女だったね」

修身の授業では、国が教師に対してこんな指導をするよう指針を出していた。

教師用の国定教科書より
「此の皇國に生まれたるよろこびを切実に感得せしめるやうに指導する」
「児童はまさに皇國の使命を遂行に向かって邁進すべき挺身隊の一員である」

林さんが当時受けた修身のテストを見ると、軍国主義を植え付ける質問が並んでいる。

問い 大日本帝国をお治めになる、一番尊いお方はどなたでいられますか?
解答 天皇陛下

問い 私共は大東亜戦争を勝ち抜くために、どうしなければなりませんか?
解答 勉強、運動、倹約に励んで少しでもお國のやくに立つ

林さん
「(この当時は)これが正解。いざとなったら、天皇陛下を守るために、敵の弾に当たっても、倒れても、敵をやっつけるために前進することですという感じ」

少年を熱狂させた戦時下の雑誌 手榴弾の構造や投げ方まで

愛国教育の問題を題材にした本を多数手がけてきた、ノンフィクション作家の山中恒さん(93)。かつては自身も軍国少年だったという。

ノンフィクション作家 山中恒さん
「第一線を航空機で飛んで行って、敵の軍艦にドカンと当たって、ひと思いに死ぬことが格好いいと思っていた」

山本恵里伽キャスター
「当時の国や大人たちは、子どもたちに何を求めていたんだと思います?」

山中さん
「わからない。陛下の御為に死ぬことを求めていたのかね」

戦意高揚を煽る空気は、教育だけでなく、娯楽にもあったという。特に影響を与えていたのが「雑誌」だ。

山中さん
「憧れだったよ。こういうふうになって飛行機で飛びたいって」

当時、子どもたちが夢中になって読んでいたのが「少年倶楽部」だ。中身は訓練に励む少年兵の写真や、勇敢に戦う兵士の物語など、軍事一色。

少年向け雑誌にもかかわらず、手榴弾の構造や、投げ方までもが詳しく掲載されている。

山中さんの自宅の書庫には、こうした雑誌や本が2万点以上も並ぶ。

山本キャスター
「これはなんですか?」

山中さん
「『飛行機ノデキルマデ』っていうやつ。子どもの軍事知識みたいなのを育てて、軍人は勇ましい、軍艦に乗りたいというような気持ちを煽ったんだろうね」

太平洋戦争が始まる年に創刊された「航空少年」には、飛行兵を目指す少年のこんな手記が掲載されている。

国民学校高等科二年生(航空少年 昭和18年9月緊急増刊号より)
「雲の中からアメリカのマーチン三機が僕の隼めがけて突込んで来ました。すかさず宙返りして敵の後尾から機関銃を打ち込みます。またたく間に火を吹いて落ちて行きます。『バンザイ。』と叫んだとたんに眼がさめました。夢だつたのです。二、三年すると僕も実際にそんなに出来るかと思うとうれしくてたまりません。早くそんなにならないと戦争がすんでしまひはしないかと心配です」

山中さん
「(戦争が終わってから)怒りはありましたよ。大人全体に対する怒り。俺たちは二重に騙された。教師に騙されて国家に騙された」

「ある種、狂信的なところにまで…」軍国教育の成り立った背景

戦時下の教育を研究する、立教大学名誉教授の前田一男氏はこう強調する。

立教大学 前田一男 名誉教授
「教育の力は大きい。戦時下の教育で、ここまで日本人、子どもたちはやったのだと。なぜ我々はあのような教育に絡めとられたのか。なぜ何も言えなかったのか」

しかし、今もひとたび戦争が始まれば、国は教育を使って、子どもたちを変えようとする。

ウクライナへの侵攻を続けるロシアでは、去年から高校生を対象に、武器の使い方を教えるなど、軍事訓練を義務化した。

中国では今年1月、戦争に備え「愛国教育」を推し進める法律を定めた。

前田名誉教授
「自由主義も駄目、個人主義も駄目という形で、いろいろな価値観や考え方が封殺されていく。戦況がどんどん厳しくなってくるが、負けるわけにいかない。そうして、更なる高揚を求める。そのときに、ある種、狂信的なところにまで行くが、他の考え方を全部排除しているので、そこに行くしかないという所まで陥ってしまう。一つの価値しか認めないという危うさ。死ぬための教育は、教育のまさに逆転現象ですよね」

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