犬が失明する危険な『目の病気』6選 手遅れになる前に日頃からできる予防法はあるの?

人間と同じように、犬もさまざまな目の病気にかかります。中には、失明してしまうこともある危険な病気もあるため注意が必要です。この記事では、犬が失明する可能性のある危険な目の病気について解説し、それらの病気から愛犬を守るために日頃からできる予防法もご紹介します。

犬が失明する危険な目の病気は?

白内障のラブラドールレトリーバー

犬の目の病気の中には、失明に至るものもあります。愛犬の視力を守るためには、飼い主がこれらの病気について知識を深め、早期発見と早期治療につなげることが大切です。

以下では、犬が失明する可能性のある危険な目の病気を6つご紹介します。

1.角膜潰瘍

角膜潰瘍とは、目の表面にある角膜が傷つき、欠損した状態を指します。主な原因は、角膜の外傷、細菌やウイルスなどの感染、乾性角結膜炎(ドライアイ)、まつ毛やまぶたの異常、異物の混入、シャンプーなどの刺激です。

潰瘍が進行すると、角膜穿孔(角膜に穴があいた状態)に至り、失明する恐れがあります。以下の症状が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

  • 痛そうに目をしょぼしょぼさせる
  • まぶたの痙攣
  • 涙の増加
  • 目やにの増加
  • 白目の充血

治療は、潰瘍の深さや原因によって異なりますが、一般的には、抗生剤や角膜保護剤などの点眼薬を中心とした薬物治療が行われます。重症の場合には、外科的な治療が必要となることもあります。

目への外傷や刺激を避けることや、ドライアイのケアを行うことなどが角膜潰瘍の予防につながります。

2.白内障

白内障は、目の中でレンズの役割を果たす水晶体が白く濁り、視力が低下していく病気です。

水晶体の白濁は、水晶体の細胞内のタンパク質が酸化し、変質することによって起こります。一度変質したタンパク質は元に戻らないため、白内障が進行していくと失明に至ることもあります。

犬の白内障の原因の多くは、加齢または遺伝です。しかし、糖尿病やホルモンの病気、外傷、紫外線の当たり過ぎなどが原因になることもあります。遺伝的に白内障になりやすい犬種として、トイプードル、ヨークシャーテリア、柴犬、ビーグルなどが挙げられます。

白内障になると黒目が白く濁ってくるほか、視力の低下によって散歩を嫌がるようになったり、物によくぶつかるようになったり、段差でつまずいたりするようになります。飼い主がこれらの症状に早く気づき、できるだけ早い段階で治療を開始することが大切です。

白内障の治療では、進行を遅らせるために点眼薬やサプリメントが用いられます。白内障を根本的に治療するには、濁った水晶体を超音波で取り除き、人工の水晶体を挿入する手術が必要です。

現在のところ、白内障の確実な予防法はありません。しかし、目の外傷を避けることや強い紫外線に長時間さらさないこと、抗酸化作用のある食品やサプリメントを与えることなどが予防に役立つ可能性があります。

3.緑内障

緑内障は、眼圧が上昇することによって視神経が障害を受け、視覚障害が起こり失明に至る可能性のある病気です。眼圧の上昇は、眼圧を一定に保つ働きを担う房水が眼球外に排出されずに、眼球内に溜まることで起こります

犬の緑内障は、急性と慢性に分けられます。急性緑内障は、急激に眼圧が上昇してから日が浅い状態で視覚の維持や回復が見込めます。一方、慢性緑内障は、眼圧上昇の状態が長期にわたっている状態で、視覚の維持や回復は見込めません。

緑内障では、以下のような症状が見られます。

  • 痛そうに目をしょぼしょぼさせる
  • 目を掻いたり、こすったりして気にする
  • 顔周りを触られるのを嫌がる
  • 目が大きく見える
  • 瞳孔が開く
  • 白目の血管が太くなり、白目が赤く見える
  • 角膜(目の表面)が白っぽく濁る
  • 物によくぶつかる(視覚障害)

緑内障の原因は、原発性と続発性に分かれます。原発性緑内障は、遺伝的に房水の排出経路に構造的な異常があることで起こり、柴犬、アメリカンコッカースパニエル、シーズーなどに多く見られます。続発性緑内障は、ぶどう膜炎や白内障、水晶体離脱などの他の病気や外傷によって引き起こされます。

治療として眼圧を下げるための点眼薬が使用されたり、手術が行われたりしますが、緑内障は完治が難しく、一生付き合う必要がある病気です。また、予防法がないため、早期発見と早期治療が非常に重要です。

4.進行性網膜萎縮症

進行性網膜萎縮症は、網膜が徐々に変性することで視力が低下していき、最終的に失明に至る病気です。遺伝性の病気と考えられており、以下の犬種で好発します。

  • ミニチュアダックスフンド
  • トイプードル
  • チワワ
  • アメリカンコッカースパニエル
  • ヨークシャーテリア
  • パピヨン

ただし、これら以外の犬種でも発症する可能性があります。

進行性網膜萎縮症の初期症状として、暗い場所で目が見えにくくなるため、夕方や夜間の散歩で物にぶつかったり、つまずいたりすることが増えます。病気が進行すると、明るい場所でも目が見えにくくなります。

残念ながら、現時点ではこの病気に対する有効な治療法や予防法はありません。

5.突発性後天性網膜変性症

突発性後天性網膜変性症は、網膜に急激な異常が生じ、突然両目の視力を失う病気です。

中高齢の雌犬に多く見られ、日本では特にミニチュアダックスフンドとミニチュアシュナウザーでの発症が多いとされています。現在のところ原因は不明で、予防法もありません。

突然両目が見えなくなるため、初期には犬に興奮や動揺が見られます。また、失明することによって物にぶつかったり、あまり動こうとしなくなったりします。

一般的には治療法はなく、視力の回復は見込めません。ステロイド剤や免疫抑制剤などの治療を試みる場合もありますが、効果は限定的です。

6.網膜剥離

網膜剥離とは、眼球の内側にある網膜が剥がれる病気です。網膜には光を感知する視細胞があり、これらが光を受け取り電気信号に変換することで、視覚情報が脳に伝達されます。

網膜はカメラのフィルムのような役割を果たし、視覚の基盤となっているのです。この網膜が剥がれると、視力低下や失明につながります。

網膜剥離は、外傷や病気、遺伝などによって引き起こされます。網膜剥離の原因となる主な病気は、高血圧、糖尿病、白内障、緑内障、ぶどう膜炎などです。

どの犬種も網膜剥離になる可能性はありますが、トイプードル、ミニチュアダックスフンド、シーズー、チワワなどが特になりやすいと言われています。

網膜剥離の最も一般的な症状は視力の低下ですが、片目のみの視力低下の場合、もう片方の目が補うため、日常生活に支障が出ないことが多いです。その結果、飼い主が気づかないうちに片目を失明しているケースも少なくありません。

網膜剥離は早期発見と早期治療によって、視力の維持や回復ができる可能性があります。網膜剥離の原因となる病気が特定された場合は、その病気の治療が行われます。

例えば、高血圧が原因なら血圧降下剤を投与するとともに、高血圧を引き起こしている病気の治療を行います。外科的な治療では、レーザー治療や硝子体手術によって剥がれた網膜を再接着します。

危険な目の病気から愛犬を守るためには?

目の検査をされるボストンテリア

失明する可能性のある危険な目の病気から愛犬を守るために、飼い主は日頃から予防に努めましょう。ここでは、危険な目の病気から愛犬を守るための予防法をご紹介します。

1.定期的な健康診断

危険な目の病気から愛犬を守るためには、眼科検診を含めた健康診断を定期的に受けることが非常に重要です。獣医師による専門的な目の検査を定期的に受けることで、目の病気を早期に発見できる可能性がぐっと高まります。

また、高血圧や糖尿病が目の病気の原因となることがあるため、定期的な健康診断によってこれらの病気を早期に発見し、治療することも大切になります。

2.清潔な環境とこまめなケア

角膜潰瘍のように、目の細菌感染などによって引き起こされる危険な目の病気もあります。不潔な環境では、愛犬の目が細菌に感染するリスクが高まるため、清潔な環境を心掛けましょう。

愛犬が過ごす部屋や愛犬の寝床などはこまめに掃除をして、清潔を保つことが大切です。また、目の周りの毛が長い犬種は目に毛が入らないように定期的にカットする、目やにや涙が出たらすぐに拭くなど、目の周囲へのこまめなケアも必要です。

3.外傷の回避

上記でご紹介した角膜潰瘍、白内障、緑内障、網膜剥離は、外傷が原因となることがあります。そのため、外傷を避けることは、これらの危険な目の病気を予防するために非常に重要です。

特に遊んでいるときや散歩中は、思わぬ事故やケガが起きやすいため、十分に注意しましょう。散歩中に草むらや茂みに顔を突っ込むのが好きな犬は多いですが、目を傷つける恐れがあるため、なるべく近づけないようにするのが無難です。

まとめ

目の周りを拭かれるチャイニーズクレステッドドッグ

今回は、犬が失明する可能性のある危険な目の病気として、以下の6つをご紹介しました。

  • 角膜潰瘍
  • 白内障
  • 緑内障
  • 進行性網膜萎縮症
  • 突発性後天性網膜変性症
  • 網膜剥離

これらの中には予防が難しいものもありますが、愛犬が失明しないように、できるだけのことをしてあげたいものです。ぜひ日頃から以下のことを実践し、危険な目の病気の予防に努めましょう。

  • 定期的な健康診断
  • 清潔な環境とこまめなケア
  • 外傷の回避

また、愛犬の目や様子を注意深く観察し、異常を感じた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。愛犬の視力を守るためには、早期発見と早期治療が重要です。

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