道の駅の新名物「日本代表メシ」…伝説のシェフが味に込めた“地元愛”【THE TIME,】

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2024-09-05 06:30
道の駅の新名物「日本代表メシ」…伝説のシェフが味に込めた“地元愛”【THE TIME,】

8月、サッカー日本代表の専属シェフとして知られる西芳照さんが『道の駅なみえ』の総料理長に就任しました。日本代表と同じメニューを提供し、すでに行列ができるほどの人気ぶり。西さんが新たな道として「道の駅」を選んだ理由を聞きました。

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選手に安心感を与える“伝説のシェフ”

ワールドカップアジア最終予選の合宿が、3日から始まりました。

これまで7大会連続出場を果たしてきたサッカー日本代表ですが、その活躍を18年間、陰で支えてきたのが日本代表専属シェフ・西芳照さん(62)です。

吉田麻也選手:
「西さんがナンバーワン、西さんがナンバーワン!」 
長友佑都選手:
「めちゃめちゃ美味しい」

さらに、西さんは2023年のラグビー・ワールドカップでも日本代表のシェフをつとめ、8月のパリ五輪では、なでしこジャパンの専属シェフとして帯同しました。

トップアスリートたちに愛される西さんの料理の力。それを痛感したというのが、西さんが初めて日本代表シェフとなった2004年に、U-23のキャプテンを務めていた鈴木啓太さん(43)です。

鈴木啓太さん:
「西さんが来る前、2004年のアテネ五輪最終予選。最後の試合の時には23人中18人がお腹壊していて、試合の直前までトイレが埋まってる状況だった」

海外での試合は食事にリスクがありましたが、西さんが来て食事が強みになったといいます。

鈴木啓太さん:
「国によっては、ちょっとこれ食べづらいなとか、苦手だなというものが沢山あったりするけど、西さんがいてくれると安心する。精神的な安心感というのはものすごく大きい」

日本代表が愛した「ハンバーグ」と「カレー」

代表選手の心もカラダも、料理で支えてきた西さんですが、サッカーA代表シェフを引退し、8月には生まれ故郷の福島で新たな道に踏み出しました。

料理の腕をふるう舞台は、2021年にオープンした『道の駅なみえ』(福島・浪江町)。

西 芳照さん:
「代表の選手、スタッフの皆さんが食べているものと同じ料理を提供しています」

『道の駅なみえ』の総料理長に就任した西さんの料理を目当てに、フードコートには長い行列も!

50歳男性:
「西さんの、代表選手が食べているカレーを食べに」
51歳サッカーファンの男性:
「美味しいです!これでサッカー日本代表になれるかな?」

現在提供しているのは日本代表選手に特に人気だという「ハンバーグ」と「カレー」。ちなみに両方味わえる「代表ハンバーグカレー」(1650円)が一番人気です。

ハンバーグには、牛と豚のあいびき肉を使うのが西さんのこだわり。

西 芳照さん:
疲労回復には豚肉がいいと言われてますので、豚肉が入った方がいい」

豚肉に多く含まれるビタミンB1は疲労回復にぴったり。玉ねぎと一緒に食べると、より効果があるといいます。

手のひらほどあるハンバーグは、フライパンで表面に焦げ目をつけたらオーブンで10分間火入れ。ジューシーで、程よくやわらかいハンバーグに仕上がります。

そして、日本代表も愛したカレーにも西さんのこだわりがあります。

西 芳照さん:
万人受けするカレー。タイとかベトナムに行って本場の味を覚えてきたんですけど、やっぱり日本の、ジャパニーズスタイルカレーですね」

日の丸を背負う選手たちには、日本の誰もが慣れ親しんだ“懐かしい味”をと、カレールーは日本から持っていくそうです。

西さんのダブルのこだわりが詰まった「代表ハンバーグカレー」。その味は…

篠原梨菜アナ:
「カレーのスパイスの感じも、しっかり複雑な旨味もありながらでも辛すぎず、老若男女おいしく食べられる味わいですね。ハンバーグもジューシーで、美味しい~」

このハンバーグが好きだったというのが、香川真司選手や長友佑都選手。カレーは元日本代表キャプテン長谷部誠さんのお気に入りだったとのこと。

西 芳照さん:
「西さんのカレーおばあちゃんのカレーと一緒の味がするって、一番喜んでくださったのが長谷部さん」

ちなみに、本田圭佑選手はどんな感想を言っていたのでしょうか…?

西 芳照さん:
「本田さんは美味しいとか、そういうことは言わないかな」
篠原梨菜アナ:
「なにか言われることはないんですか?『今日はこうだったね』とか」
西 芳照さん:
「何も…ないですね。まずかったんですかね?(笑)」

道の駅の料理長になったのは「知ってほしいから」

西さんが作る、サッカー日本代表の料理には試合前のルーティンがありました。

【試合3日前】⇒「銀だらの西京焼き」
【試合2日前】⇒「ハンバーグ」
【試合前日】⇒「うな丼」

どのおかずも、大事にしていたのは「ご飯がすすむこと」。主食をしっかりとることで、日本の強みである、スタミナを養う狙いがあったといいます。

西 芳照さん:
「炭水化物をたくさん取って、サッカーですと90分間走りぬくことができる。選手の皆さん、人によってはハンバーグ200グラム位のを5個食べて、ご飯も大盛りで2杯とか」

代表選手たちが大きな信頼を寄せていた西さんですが、A代表シェフを引退し「道の駅なみえ」の料理長になったのにはある理由がありました。それは、故郷・福島の復興ー。

福島第一原発から約10kmのところにある浪江町は、かつては約2万1000人が暮らしていました。しかし、東日本大震災から13年経っても町の75%が帰還困難区域のまま。住民は2200人ほどしか戻ってきていません。

2023年に浪江町に戻り飲食店を経営する20代の女性も「生活するうえでは不便なことが沢山ある」と口にします。

仕事で浪江町に暮らす男性(60代):
「移住を考える人もいると思うけど、それには働く所とか病院とか、生活に必要なものが充実してこないとなかなか住みにくい」

西さんの地元、隣町の南相馬市も被災しました。そんな中、町を活気づける復興のシンボルとして、2021年に誕生したのが「道の駅なみえ」でした。

少しずつ人が戻り、産業も復活。ブランドタマネギ「浜の輝」や、海の特産品シラスなどが獲れはじめると、当時の日本代表選手から“自分たちが食べればPRになるから”と、「福島の食材を使って代表の食事を作って欲しい」と申し出があったといいます。

そして、西さんも地元の復興に繋がればとの思いで、道の駅の総料理長に。

西 芳照さん:
「駅長の方から、『もっとたくさんのお客さんにきてほしい。そのために力を貸してください』と言われて、ここで一緒に働くことによって地元の人たちとまた改めて頑張って行こうと」

西さんは今、“新たなこだわり”を持って料理を作っています。

西 芳照さん:
「頑張っている人たちがいるんだという事を知って欲しいし、地元の食材比率を上げて、食べに来た人に“浪江の食材ってこんなにいいんだよ”“こんなに美味しいんだよ”とどんどん発信していきたいなと思います」

(THE TIME,2024年9月3日放送より)

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