「『ママアスリート』と呼ばない社会へ」 空手家・清水希容さん【Style2030】

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2024-09-08 11:00
「『ママアスリート』と呼ばない社会へ」 空手家・清水希容さん【Style2030】

SDGs達成期限の2030年に向けた新たな価値観、生き方を語る今回の賢者は空手家の清水希容氏。9歳から空手を始め、技の正確さや力強さを競う「形」で世界選手権2連覇、全日本選手権で7連覇を達成。2021年に行われた東京オリンピックでは「女子形」で銀メダルを獲得するなど、多数の大会で活躍してきた。24年5月、「空手家として鍛錬するため」に引退した清水氏に2030年に向けた新たな視点、生き方のヒントを聞く。

【前編・後編の後編】

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出産後復帰が少ない日本。スポーツ界のジェンダー平等は? 

――続いてお話していただくテーマは何番でしょうか。

清水希容氏:
はい。5番の「ジェンダー平等を実現しよう」です。

――実現に向けた清水さんの提言をお願いいたします。

清水希容氏:
「『ママアスリート』と呼ばない社会へ」です。

――ズバリどんな理由からでしょうか。

清水希容氏:
私ももう今年で31歳になるんですけども、この年齢になってくると、特に女性アスリートが競技を退くっていうような話が出てくるんです。日本の女性アスリートが出産後、競技に戻ってくるっていう事例が少ないなっていう。

その中で海外はいつの間にか子どもを産んでいて、普通に戻ってきて競技に復帰していて、結果も今まで通り残していたり、今まで以上の選手が結構普通にいます。

海外は40歳とかになっても普通に競技やっている方が多い中で、日本は30歳になると大体もうそろそろ結婚かあとか出産かって言われだすラインになってくるんです。

――親なのは同じはずなのに、日本では子どもの面倒を旦那さんが見てくれたら、その旦那さんはいい人ってなりがちです。そういう背景も含めて、女性アスリートが出産を経て戻りにくいのかなと。

清水希容氏:
出産をしたら女性が子どもを見るっていう流れはだいぶ今は減っているとは思うんですけども、アスリートになると自分が体を動かさないといけない。出産前後で体の状況が変わる中で、それをどこまで作り直していくかも普通よりもいろんな知識がある方や、専門家の方たちの力を借りないといけないと思うんです。

海外は当たり前にある感じが、日本はそこまで多いのかなって思ってしまう部分があったり、実際に自分の周りも辞めてそのまま家庭に入る方が多い感じなので、なんかもったいないなとか。選手だけじゃなくてコーチに戻ってくるのも男性が多かったり、出産した後に女性が戻ってくる率がちょっと少ないというか、私的にはもっと増えてもいいんじゃないかなというか。

他の国だったら国絡みでそこをサポートしていたり、旦那さん、奥さんの話だけじゃなくてもっと広いところでサポートをしてもらっているみたいなことをよく聞くので、日本もそういうふうになったらいいのになって思ってはいます。

ママが当たり前に。妊娠・出産関連情報も当たり前に

清水氏は結婚や出産後に競技を続けられる例が、日本ではまだ少ないと感じるという。

――女子の競技で良い成績を残している種目もありますが、指導しているのは男性が多くなっています。

清水希容氏:
そうですね。(女性は)かなり増えてきて、今は半々にしようねっていうのはありますし、実際に組織としてそういうふうになっていっているのは目に見えてわかるんです。でも、やっぱり家庭の役割を担っているのは女性の方が多いっていうことを聞くことが多いので、「今日ちょっと子どもの面倒があるので行けません」とかっていうのがどうしても出てくる。そこは男性、女性関係ないとは思うんですけども、女性の割合が多い。

実際に私も空手をやっている中で、競技をやっている男性は普通に結婚していくんです。でも、女性アスリートが結婚しているかって言ったら、いなかったんですよ、今まで。誰が最初に言い出すかみたいな感じの流れがあったり、やっぱり一歩目を踏み出すのが怖い。

別に何か言われるわけでもないですし、もちろん全然問題ないんですけど、そういうふうに思ってしまうところがあったりするのをもっと打破して、より良くもっともっと皆さんがそれぞれの幸せで、自分がやりたい、こういうふうになりたいっていう目標や夢をちゃんと実現できる環境作りは大事なのかなって感じています。

――どんなサポート体制や補助があれば、出産を経て戻ってくる選手たちが増えると思いますか。 

清水希容氏:
どこに頼ったらいいかがわからないっていうのが一番だと思います。妊娠しているときも、どういう運動をすれば戻りやすいのかとか、母子ともにちゃんと健康な状態で運動をしながら、産後にすぐ戻っていけるようなサポートをどこで受けたらいいのかっていうことを多分大半の人が知らないですし、もちろん私も知らない中で、そういう知識自体をどこに取りにいったらいいのかわからない怖さがやっぱり出てくる。

そこがもっとクリアになってここだったら安心してできるんだとか、こういうところがあるんだっていう情報がもっと当たり前にあれば普通に取りやすいと思うんですけど、表に出てくるのが少ないのかもしれないなっていうのが、やるかやめるかっていう二極になってしまうのかなっていうふうに思います。

――空手の世界からこの問題を解決する提言をしていくこともできそうな気もします。

清水希容氏:
はい、そうですね。私は出産して競技に戻るかどうかはちょっと何とも言えないところではあるんですけど、私自身もちょっと疑問に思っている部分ではあるので、今後の世代の子たちのために少しでも何かきっかけとして活動ができたらいいなと。これはいい意味で変えていけるようにしたいなと自分自身は思っています。 

――改めて清水さんにとってのSDGsとはどんなものでしょうか。 

清水希容氏:
私の場合は空手を通してSDGs、健康であったりジェンダーであったりっていうところを繋いでいけるかなと思いますので、私にできる私なりの目線でSDGsというところに携わっていきながら、よりよくもっと皆さんが笑顔の多い社会を作っていけるようにできたらいいなと思っています。 

(BS-TBS「Style2030賢者が映す未来」2024年8月18日放送より)

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