自民党への逆風が吹くなかで、与野党一騎打ちの大接戦が繰り広げられた群馬3区。自民前職・笹川博義氏(58)が、立憲民主党・長谷川嘉一氏(71)に214票差で競り勝って5期目の当選を果たした。「保守王国」で野党が2009年以来の議席奪還を狙った今回の衆院選だが、自民党が苦しい戦いを勝ち抜き、群馬で5議席の独占を維持する結果となった。
福田赳夫氏、中曽根康弘氏、小渕恵三氏、福田康夫氏と戦後4人の総理大臣を輩出した群馬は、「保守王国」と呼ばれるほど自民党の勢力が強い。2012年の衆院選からこれまで4回連続で、5つある選挙区すべての議席を、自民党が独占。今回の衆院選でも、1区では中曽根康隆氏、4区では福田達夫氏、5区では小渕優子氏が盤石な選挙戦を繰り広げた。
そんな中、県内唯一の与野党一騎打ちとして注目されたのが3区。2012年の衆院選から4期連続で当選し、公明党も推薦する自民党の前職・笹川博義氏(58)に立憲民主党・長谷川嘉一氏(71)が迫る構図となった。
政治とカネの問題をめぐって、自民党への逆風が吹くなか、長谷川氏は政権交代の必要性を訴えた。
立憲民主党 長谷川嘉一氏
「国家の基本を台無しにしてきたのが、自公連立政権の30年。権力が硬直化し、腐敗している現状が目に余ります。今こそ政権交代が必要」
対する笹川氏。自身に政治資金収支報告書への不記載はなかったが、街頭演説では謝罪を欠かさなかった。
自民党 笹川博義氏
「自民党にとって、誠に痛い。そして国民の皆様からすれば、何をやっているんだという裏金事件。もう2度とこのようなことを起こして、国民の皆さんから不審な目で見られることは、とても耐えられない」
その上で政治改革への意欲を語り続けた。
自民党 笹川博義氏
「だからこそ、皆様のお力を得て5期目に当選させて頂ければ、私は自民党の中の主力選手として党の中で汗をかくことができる。次の任期の中で必ずこの政治資金について決着をつけたいと思います」
しかし選挙戦の最中、政治資金収支報告書に不記載があったことなどから衆院選で非公認となっていた候補が代表を務める支部に、自民党が2000万円を支給していたことが発覚。再び、自民党に対する批判が盛り上がった。
JNNが公示前に行った情勢調査では、笹川氏がわずかに優勢だったが、選挙戦終盤の情勢調査では、長谷川氏が優勢に転じた。
選挙当日、開票が進むと、3区をのぞく4つの選挙区は、次々と自民党候補の当選確実が伝えられた。しかし小渕優子県連会長は、3区の情勢に危機感を滲ませた。
自民党 小渕優子氏
「大変な批判を頂いてきた。自民党に対する不信は全く払拭できていないと痛感した。3区は正直厳しい状況であることは承知をしている」
開票は僅差のまま進んだが、22時22分、ついに得票が確定した。
自民党 笹川博義氏 7万4930票
立憲民主党 長谷川嘉一氏 7万4716票
その差はわずか214票。「保守王国」群馬で、野党が2009年以来の議席奪還を狙った今回の衆院選は、自民党が苦しい戦いを勝ち抜き、5議席の独占を維持する結果となった。
謝罪と政治改革への意欲を訴え続けた笹川氏は、選挙総括もこう締めくくった。
自民党 笹川博義氏
「物価高騰などが家庭や中小・小規模事業者、そして農業経営などを直撃する中で起きた国会議員による裏金事件(終盤戦に起きた意味不明な支部への資金支出含めて)。許される筈がない。自分は多くの皆さんのお陰でなんとか国政に踏みとどまる事が出来ました。政治改革、特に資金の透明化を図る事は待ったなし」
(TBSテレビ報道局調査報道部 塩田アダム)