私たちにとって身近な食べ物であるパンですが、愛猫に与える際には注意が必要です。パンを与えることで、思わぬ健康トラブルを引き起こす可能性があります。今回は、猫にとってパンがどのように危険なのかを詳しく紹介します。
1.消化不良を起こすから
猫にパンを与えると、消化不良を引き起こす可能性があります。なぜなら猫は完全な肉食動物で、タンパク質や脂質の消化は得意ですが、パンのような炭水化物は消化しづらいからです。
もし猫が大量のパンを食べてしまうと、下痢や嘔吐といった症状が現れることがあります。
さらに下痢や嘔吐が原因で脱水症状を引き起こしたり、食欲が落ちて体重減少を招くことも。特に子猫や高齢猫では、体への負担が大きく免疫力が低下するリスクもあります。
また、パンに含まれるイースト菌も問題です。イースト菌は猫のお腹の中でガスを発生させ、便秘を引き起こすことがあります。
便秘がひどくなると、排泄時に痛みや苦痛を伴う場合もあります。パンを好む猫もいるかもしれませんが、猫の体はパンを消化するようにはできていないことをしっかり理解しておきましょう。
2.塩分や糖分が多いから
猫がパンを食べてはいけない理由は炭水化物だけではありません。パンに含まれる塩分や糖分も猫にとっては危険です。
そもそもパンは人間のために作られており、猫にとっては塩分や糖分が多すぎる場合があります。
特に塩分の過剰摂取は猫の腎臓に負担をかけ、腎臓にダメージを与える可能性があります。猫はもともと腎臓疾患にかかりやすい動物のため、塩分の摂取には十分注意が必要です。
慢性腎臓病を抱える猫には、なおさら気をつけなければなりません。
さらに糖分の過剰摂取は肥満につながります。ぽっちゃりした猫は可愛いかもしれませんが、健康面ではさまざまなリスクを伴います。
肥満は糖尿病や皮膚疾患などを引き起こすことがあり、猫は人間より痩せにくい体質です。そのため、日常的にカロリーの管理には細心の注意を払う必要があります。
3.アレルギーを引き起こすから
パンには小麦が含まれており、これにアレルギー症状を示す猫もいます。実は、小麦やトウモロコシなどの穀物にアレルギーを持つ猫は少なくありません。少量だけで発症する猫もいれば、ある日突然発症する猫もいます。
猫のアレルギー症状としてよく見られるのは、口周りや耳、脚など皮膚のかゆみです。重症化すると脱毛したり大量のフケが出ることもあります。さらに、下痢や嘔吐など消化器疾患も見られることもあります。
ただしパンを食べてこれらの症状が出たからといって、すぐにアレルギーだと断定するのは難しいです。
何に対してアレルギー反応を示しているかは、血液検査などの詳細な検査を行わなければわかりません。そのため、猫にパンをむやみに与えることは控えたほうが安心です。
パンがもたらす危険な中毒症状
パンにはさまざまな種類がありますが、以下に紹介するパンは特に注意が必要です。猫にとって有害なものが含まれており、中毒症状を起こすことがあります。
チョコレートパン
カカオに含まれるテオブロミンやカフェインは、猫にとって有害な成分です。これらの成分を摂取した猫は下痢や嘔吐、震えなどの症状をしめしたり、最悪の場合は痙攣や呼吸困難から死に至る場合もあるので、絶対に与えないでください。
単に固形チョコレートが含まれるパンだけでなく、ココアパウダーを練り込んであるパンにも注意が必要です。
レーズンパン
レーズンはブドウを干したものですが、猫はブドウを食べてはいけないと言われています。
ブドウの中毒に関してはメカニズムも含めて今のところはっきりと解明されていませんが、重篤な腎疾患を発症する恐れがあります。犬においては下痢や嘔吐、痙攣、尿が出ないなどの急性腎不全の症状が現れることがあると報告されているため、猫にも与えないようにしましょう。最悪命を奪う危険性もあるものですので絶対与えないでください。
ネギ類が入ったパン
ネギ類も猫にはご法度の食物です。アリルプロピルジスルフィドという成分が、赤血球を壊すことがあるためです。
「溶血性貧血」という症状を起こし、粘膜が白くなったり黄疸が出たりします。さらに、赤い尿が出ることもあります。ネギやタマネギが入った惣菜パンは一見すると体に良さそうですが、猫には絶対に与えないでください。
まとめ
パンの香ばしい香りを嗅ぐと愛猫にもお裾分けしたくなりますが、そもそも人間のための食べ物だということを忘れてはいけません。
人間よりもずっと小さい猫にとっては、少量でも思わぬ健康トラブルを引き起こす場合があります。猫に必要な栄養素がバランス良く含まれた総合栄養食を与えるようにしましょう。
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