衆議院選挙を受け召集された特別国会で、第103代内閣総理大臣に石破茂氏を選出。夜には、第2次石破内閣が発足しました。今後の政権運営は“野党の協力”なしには進まないなか、「103万円の壁」の議論はどうなるのでしょうか?
【写真を見る】不倫認めた国民・玉木代表「浮かれた部分あった」 第2次石破内閣発足でどうなる「103万円の壁」【news23】
また、11日朝、緊急の会見を開き不倫を認めたのが、キャスティングボートを握る国民民主党の玉木代表。躍進した国民民主党ですが、玉木代表のスキャンダルで揺れています。
最年少25歳や元グラビアアイドルも…衆院選後、初当院
衆院選後、初めての登院となった11日。ボードには465人の名前。自分の名前を見つけるのも一苦労です。
自民党 小渕優子議員
「どこだ。あったあった」
SNSでの発信用でしょうか。
初当選・立憲民主党 長友克洋議員
「自撮りするんですけど、すみません」
立憲民主党 小宮山泰子議員
「ちょっとだけ小賢しいことしていい?(筒)持つわ。誰か(写真)ちょうだい」
登院した議員に与えられるバッジ。大ベテランでも初めて知ることがあるようです。
自民党 岩屋毅外務大臣
「これはなんのため?きれいなハサミだね」
並べられていたのは鶴をかたどったハサミ。バッジをつける穴を開けるためのものでした。
25歳、最年少の自民党・大空議員は…
初当選・自民党 大空幸星議員(25)
「執行部に対して、例えば『間違ってるな』と感じていることは、それは『間違っているのではないか』と言うことができるのもやはり自民党なんですね。私自身も間違ってるなと思うことは、しっかりと言及していくということ。執行部に対してであっても申し上げていく」
グラビアアイドルから国会議員へ。自民党新人の森下議員は…
――国会議員としての夢は?
初当選・自民党 森下千里議員(43)
「みなさんにまずは認めていただけるように、しっかりがんばっていきたい」
今回の選挙で政党要件を満たした日本保守党。前名古屋市長で共同代表の河村たかし議員は…
日本保守党 河村たかし共同代表
「総理を狙う76歳アゲインと庶民革命。道中で死ぬかわからんけどかわいがってちょ」
テーマカラーの青とオレンジのアイテムを身に着けていたのは、国民民主党の議員たちです。
躍進した国民民主党ですが、玉木代表のスキャンダルで揺れています。
国民民主・玉木代表 あっさり不倫認める「浮かれた部分あった」
国民民主党 玉木雄一郎代表
「晴れやかな日にこうした報道があり、記者会見をせざるをえないような状況に陥っていることは心からお詫び申し上げたい」
11日朝、玉木氏の地元・香川県高松市の観光大使を務める女性との不倫が報じられたのです。
国民民主党 玉木代表
「けさ報道された内容についてはおおむね事実です。家族のみならず、期待を寄せていただいた全国の多くの皆さんに心からお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。妻子ある身で他の女性に好意を寄せたことは事実ですので」
あっさり不倫を認めました。
――倫理を守れなかった人が国を引っ張っていけるのか
国民民主党 玉木代表
「まさに妻からまったく同じことを言われました。一番近くにいる人を守れない人は国を守れない」
玉木代表は2024年4月、機密情報の取り扱いを有資格者のみに認めるセキュリティ・クリアランス制度の“身辺調査”についてこう主張していました。
国民民主党 玉木代表(4月)
「性的行動、sexual behaviorと英語で言いますけども、この性的行動の節度に関する事項が入っていないのでこれを追加するということ。いわゆるハニートラップなどにかかっていないかどうかのチェックは必要」
不倫問題を受けて、所属議員がSNSで玉木代表を厳しく批判。
国民民主党 伊藤たかえ議員(Xより)
「最低だ。国会が“対決より解決”の政策論議を取り戻せるかもしれない千載一遇のチャンスに何やってくれてんだよ」
――いい気になっていたとか高揚していたとかそういうことがあって選挙後も続けたのか
国民民主党 玉木代表
「正直、ご指摘いただいたように浮かれた部分があったと思います。戒めていかなければならない。冷静さを失った行動だったと反省しています」
30年ぶりの決選投票の末、石破氏が内閣総理大臣に選出
衆院本会議で午後2時半ごろから始まった総理大臣指名選挙で、主役となるはずの石破総理はうつむき、眠っているように見えます。
1回目の投票では決着がつかず、石破総理と野党第一党・立憲民主党の野田代表による決選投票に持ち込まれました。決選投票になるのは1994年以来、30年ぶりです。
そして午後4時すぎ…
額賀福志郎 衆院議長
「決選投票の結果、石破茂君を総理に指名することに決まりました」
無効票84票。野田氏160票に対し、221票を獲得した石破氏が、第103代内閣総理大臣に選出されました。
11日夜、石破総理は第2次石破内閣を発足させました。
石破総理
「実に厳しい選挙の結果を受けまして我々自由民主党は、今度こそあるべき国民政党として、生まれ変わらなければならない」
ただ、今後の政権運営は前途多難。野党の協力なしには進みません。決選投票を終えた石破総理は、早速、各党にあいさつ回り。丁寧に握手し言葉を交わします。
国民民主党を訪ねると玉木代表は取材対応に追われ、不在。その後、遅れて駆けつけました。
「103万円の壁いらない」忘年会シーズン前に店側・バイト側の切実な声
キャスティングボートを握る国民民主党が提案しているのが、いわゆる「103万円の壁」の見直しです。今の制度では、年収が103万円を超えると所得税がかかることになります。
学生アルバイトの場合は、親が扶養控除を受けられなくなるケースがあることから、働き控えを招いています。このため国民民主党は103万円の壁を178万円に引き上げるよう訴えています。
現場の声は切実です。約30人の学生アルバイトを抱える都内の居酒屋「大馬鹿地蔵」。忘年会シーズンに向けて人出が必要な時期ですが、シフトを組む際「103万円」が妨げになっているそうです。
大馬鹿地蔵 石塚浩平店長
「忘年会シーズンなので、繁忙期にアルバイトさんが使えないと、やはりさばけない、売り上げをつくれない。出ていただけるように(シフトを)分散させている」
店側は各アルバイトの労働時間に目を配り、シフトを管理しているといいます。
大馬鹿地蔵 石塚店長
「(103万円の壁)無い方がアルバイトさん達にも上手く働いていただけると思うし、その方がこちら(店側)もメリットとしてすごくある」
都内在住の大学4年生の女性は、居酒屋とイタリアンのアルバイトを掛け持ちしているということです。
アルバイトを掛け持つ大学4年生
「103万円の壁もあって、11月は稼げてもあと6万円しか稼げなくて。毎月12万円ぐらいは稼ぎたい」
彼女は年収をアプリで管理。11月はシフトを減らしているといいます。また、年末になると親から103万円を超えないよう釘を刺されるそうです。
アルバイトを掛け持つ大学4年生
「10月、11月になると(親から)『大丈夫そう?』と声がかかって、11月、12月になると週1ぐらいでLINEで『本当に大丈夫?』って。(親には)『もちろん大丈夫だよ』と。103円の壁はいらないって思っちゃう」
「103万円の壁」どうなる?“引き上げ”ハードルは130万円?
小川彩佳キャスター:
「103万円の壁」含め、今後の国会運営はどうなっていくのでしょうか。
まずは早朝に駆け巡った国民民主党の玉木代表の不倫スキャンダルは、今後への影響はどう見ますか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
玉木さんは選挙前から筋論というか原則論で押してきてましたので、裏でこういうことがあるのかとなると信頼感は落ちますよね。これが今後の「103万円の壁」の議論などに影響してくるのは避けられないと思います。
藤森祥平キャスター:
その「103万円の壁」は年間収入が103万円を超えると所得税が発生し、親の扶養に入っている学生ですと控除が受けられなくなります。だから、親の手取りが少なくなってしまうという問題点です。
玉木さんはこれを178万円まで引き上げようとしているのですが、実際にできそうですか?
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
これは冷静に考える必要があると思います。2つ問題があって、基礎控除を上げますから高額所得者の減税額が多くなります。それから年収103万円以下の人、税金が払えない方には恩恵がありませんので、全体の7兆円、8兆円の歳出削減になり、そのバランスを考えるべきです。
もう1つ「130万円の壁」がありまして、これを超えると社会保険料が発生するので本当はこちらの方を見直すのが筋ではないかという議論も出ています。
藤森キャスター:
ポイントになる数字が130万円。この壁を如何に突破するかというのは、簡単ではないかもしれないと。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
130万円の壁を突破すると社会保険料を負担しなければいけないのと、企業が同額負担しなくてはいけないので対象者が増えてきます。
小川キャスター:
そう考えると、178万円というのは落としどころとしてはどうなんでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
130万円の問題とセットで議論しようということなので、この103万円(の壁)を130万円まで引き上げて、パッケージで議論しようという話は出てきています。
小川キャスター:
ただ玉木さんは若者の手取りを増やすということで、178万円を念頭に試算などを発表していましたけれども、130万円がラインになりますと手取りも変わってきますよね。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
学生ですと月9万ちょっとぐらいが、10万ちょっとぐらいになるんですよね。しかし学生が月10万円ものバイトをする必要があるのかどうか。もうちょっと勉学に精を出してほしいっていう気もします。そういう点では、この前の選挙でほとんどの政党が「教育の無償化」を出しています。学費を下げる、奨学金を含めて学生を支援するとか、そういうことに7兆円、8兆円を振りむけるという議論もありまして、103万円の問題や教育の無償化の問題とかを全体で議論する必要が出てきていると思います。
藤森キャスター:
それぞれ学生さん事情がありますから、働く時間を減らすことができるのだったらその方が手っ取り早いですよね。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
教育費の無償化のほうが手っ取り早いと思います。
「少数与党」で変わる国会運営 委員長ポストで立憲に存在感
藤森キャスター:
国会運営について、今後大きく変わっていきそうです。
今回は少数与党という形になりましたので、選挙前に比べて常任委員長のポストに野党が増えました。これまでほとんど与党の議員が務めていた委員長のポストが野党の人がかなり増えて、2つから7つになりました。
小川キャスター:
ガラッと変わったのがわかりますけども、その中でも注目なのが「予算」です。与党から野党になりました。予算審議をはじめ、国会の花形でもある予算委員会の委員長を30年ぶりに野党が担うことになりました。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
国会運営においてもベテランの方である、立憲民主党の安住淳氏が就任します。そうするとはっきりしているのは、野党が仕切ってるわけですから強行採決は絶対にできません。それから答弁拒否や、曖昧な答弁で逃げ切るということもできなくなるので、議論のレベルは相当上がると思います。
ですから与野党ともに議論を重視してやっていかないと、国民からもせっかく投票したのにと落胆されてしまいますよね。
藤森キャスター:
それからもう1つ。注目は法務委員長のポストが野党に変わったという点。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
法務委員長は立憲の西村智奈美氏が就任します。ここは民法改正などを担当しますので、選択的夫婦別姓をここで議論できるわけです。野党の多数で提案して可決し、本会議でも可決すれば来年の通常国会でもしかすると選択的夫婦別姓に関係した法律が通る可能性が見えてきます。自民党がもしかするとこの問題で亀裂が生じる可能性がありますから、立憲はこの法案によって自民党を揺さぶろうという狙いもありますね。
小川キャスター:
政策本位の議論が行われることを願いたいですけれども、早速、石破総理の手腕が問われるということになりますね。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年