品川エリアが「広域品川圏」として新たな“東京の玄関口”に 再開発のポイントは「国際化」【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2024-11-15 21:16

JR京浜東北線の一部区間では17日の始発から工事のため運休となりますが、実は新たな街づくりが進んでおり、品川エリアが東京の新たな玄関口になるかもしれません。

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地上28階建てビルや、隈研吾さんデザインの複合文化施設も

加藤シルビアキャスター:
JR東日本が行っている今回の再開発では大井町駅、品川駅、高輪ゲートウェイ駅、田町駅、浜松町駅という5つの駅を「広域品川圏」として、東京の新たな玄関口を目指しています。

やはり品川は空の便へのアクセスもよく、リニア中央新幹線が開通した場合にはさらに存在感が高まるため、このような再開発に力が入っているという状況です。

品川の街で変わっていくのは「品川プリンスホテル」がある品川駅高輪口のあたりで、地上28階・地下2階の「南街区(a)」、地上9階・地下1階の「南街区(b)」、地上28階・地下3階の「北街区」と、かなり高い建物ができます。着工予定は2025年度からとなっています。

北街区には事務所や店舗などが入り、また、人々が集うことができる大きな「北口テラス」ができるとのことです。

そして、南街区にも事務所や店舗、宿泊施設などが入り、建物の中には「立体回遊空間」や、緑がたくさんある「中央屋上広場」ができるとのことでした。これが品川駅に直結した施設としてできるといいます。

一方、2020年に開業した高輪ゲートウェイ駅も変わり、駅前に「TAKANAWA GATEWAY CITY」(高輪ゲートウェイシティ)という5つの施設からなる複合施設ができます。

駅の目の前にある「THE LINKPILLAR 1」(ザ リンクピラー ワン)は2025年3月27日に開業します。更地になっているイメージを持っている方もいそうですが、もう工事が結構進んでいる状況です。

中には商業施設の「ニュウマン高輪」(一部)のほか、秋頃には首都圏初進出のラグジュアリーホテル「JWマリオット・ホテル東京」が入る予定だということです。

また、ぱっと目を引く建物があります。建築家の隈研吾さんがデザインを担当した複合文化施設「モン タカナワ: ザ ミュージアム オブ ナラティブズ」です。この施設から文化や情報を発信していきたいそうで、6階には「月見テラス」という足湯も併設されるとのことでした。

「再開発は『国際化』が必須」

さて、この再開発ではどのようなところがポイントになってくるのでしょうか。街づくり・建築・環境を研究している芝浦工業大学システム理工学部の増田幸宏教授は「人口減少の今、海外から多様な人材を呼び込むには、再開発は『国際化』が必須」と話しています。

実際に高輪ゲートウェイシティでは、外国人ビジネスワーカーに対応した国際水準の住居や、2026年にはインターナショナルスクールが開校する予定です。

増田教授は「品川圏の開発はようやく国際競争の土台づくりが整ってきたといえる。この動きは他の地域にもよい影響を与えるのではないか」とも分析しています。

日比麻音子キャスター:
イメージ図を見るだけで迷子になりそうなぐらい、大規模な再開発になりそうですが…。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
このような富裕層優遇の再開発ばかりする必要があるのかなという気がします。大井町などは子どもの頃からよく使っており、昔ながらの商店街があっていいところです。それが再開発によって、町中が隈研吾さんや安藤忠雄さんのデザインした建築だらけになるのも、私は少し複雑な思いですね。

日比キャスター:
どんどんと進んでいて心が追いつかないところもありますが、そもそも再開発というのは、街やエリアにどのような影響や効果を与えるのでしょうか。

ビル建築による“ヒートアイランド現象”への配慮は?

東京大学 斎藤幸平 准教授:
もちろん地価も上がっていきますし、オフィスやタワマンなどをつくることで街が活気づき、国際化していくという面もあるかもしれません。

しかし大井町などのエリアには、もともと住んでいる人たちもかなりいます。そういう人たちの声がどれぐらい反映されているのかは気になりますし、環境問題などもこれから考えていかなければいけないなか、こういう沿岸部のビルをどんどん建てていくことに、どれぐらい合理性があるのか。そのあたりは、もう少し丁寧な議論が必要ではないでしょうか。

山内キャスター:
品川と汐留が開発されたときは、海からの風が東京に入っていかなくなり、ヒートアイランド現象がすごく進んだといいます。今回の品川の再開発は大丈夫なのでしょうか。

加藤キャスター:
まさに、環境に配慮された再開発になっているとのことです。

ヒートアイランド現象とは、海からの風が東京都などの建物に邪魔され、奥に行くことができないという問題です。東京都立大学の三上岳彦名誉教授は「高層ビルが風の流れを止めている。ビル群がない時と比べて1~2度気温が上がっている」と指摘します。

しかし今回の再開発では、建物の形状や配置を工夫することによって風の道を確保し、ヒートアイランド現象にならないよう対策しているとのことです。

日比キャスター:
品川エリアは、さまざまな場所から人々が働きに来て、いろいろなところに帰るエリアです。つまり、何か有事の際には帰宅困難者を受け入れる施設も非常に重要だと思います。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
確かに、そういう意味では品川は便利ですし、今までも中心部でした。開発をして維持していくという面もあっていいのではないでしょうか。

ただ、高輪ゲートウェイなどは今のところ使っている人が少ないですし、ビルは1回建てると取り返しがつかないことになるので、丁寧にやってほしいと思います。

日比キャスター:
使う側の心理的なところもそうですし、効果や影響についても納得しながら、こういった開発が進めばいいと思います。

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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学 准教授 専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破

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