くつろぐことを意味する言葉、それが「鬼の居ぬ間に洗濯」です。
しかし、なぜ「洗濯=くつろぐ」を意味するのでしょうか?
この記事では「鬼の居ぬ間に洗濯」がどのような意味の言葉なのかについて解説します。
「鬼の居ぬ間に洗濯」とは
ここでは「鬼の居ぬ間に洗濯」の意味を解説します。
「鬼の居ぬ間に洗濯」の意味
「鬼の居ぬ間に洗濯」は恐ろしい人や怖い人がいないうちに思う存分くつろぐことを意味することわざです。
気兼ねする人がいないことでのんびりできることを意味します。
つまり、ここで言う「洗濯」はくつろぐことを意味する言葉として使用されているということです。
「鬼の居ぬ間に洗濯」の用い方・例文
「鬼の居ぬ間に洗濯」は口うるさい主人や上司がいない間に思う存分くつろぐことを指して使用します。
主に使用人や部下がくつろいで自由に振る舞うことを例えて表現します。
・例文1:今日は社長が出張でいないから鬼の居ぬ間に洗濯といきますか。
・例文2:鬼の居ぬ間に洗濯と言わんばかりにみんなで昼寝をする。
・例文3:主人が取引先との商談で留守にしている間は鬼の居ぬ間に洗濯、気兼ねなくのんびりできるというものだ。
このように「鬼=主人・上司」となる存在がいないことでくつろげる状態を指して「鬼の居ぬ間に洗濯」を使用します。
「鬼の居ぬ間に洗濯」の成り立ち
では「鬼の居ぬ間に洗濯」はどのようにして成り立っている言葉なのでしょうか?
「鬼の居ぬ間に洗濯」における「鬼」の存在
「鬼の居ぬ間に洗濯」の「鬼」とは主人や上司のことを指しています。
実際に主人や上司がいると気兼ねしてのんびりすることなどできません。
しかし、逆に主人や上司が留守にしていれば気兼ねなくのんびりできるのではないでしょうか。
そういった使用人や部下の心情を表現しているのが「鬼の居ぬ間に洗濯」という言葉です。
「洗濯」するのは心や気持ち!?
ではなぜ「鬼=主人・上司」がいない間に「洗濯」なのでしょうか。
実はここでの「洗濯」は使用人や部下の気持ちを表したものなのです。
昔の「洗濯」といえば和服の縫った糸をほどいて洗い張りし、再び縫い直すという非常に手間のかかるものだったとされています。
当然、1日で終わるはずもなく里帰りした際に「洗濯」する人が多かったそうな。
転じて、衣服を蘇らせるという意味の「洗濯」が洗濯する者そのものの心身の疲れを癒し、気力・体力を回復すると意味づけられたのです。
そこから「鬼の居ぬ間に洗濯」は思う存分くつろぐことを意味するようになったとされています。
また、当時は「里帰り」そのものが「洗濯」を想起させたことから「鬼の居ぬ間に洗濯」がくつろぐことを意味するようになったとも考えられています。
「鬼の居ぬ間に洗濯」の類義語
ここからは「鬼の居ぬ間に洗濯」の類義語を紹介します。
羽根を伸ばす
「羽を伸ばす」は鳥が飛び立つ際に翼を広げる様子から来た言葉です。
意味は束縛するものがなくなってのびのびと自由に振る舞うことを意味します。
そのため「鬼の居ぬ間に洗濯」と意味が共通する言葉といえるでしょう。
ただし「羽を伸ばす」はバカンスなどを楽しむ意味でも使用され、主人や上司の存在がある「鬼の居ぬ間に洗濯」とはややニュアンスが異なります。
その点は使用する際に使い分けた方が伝わりやすいのではないでしょうか。
When the cat’s away, the mice will play.
「When the cat’s away, the mice will play.」は直訳すると「猫がいなくなるとネズミが遊びだす」という様子を意味します。
要は猫という恐ろしい存在・怖い存在がいなくなったことで遊べるようになったネズミの様子を例えた表現です。
まさに英語版「鬼の居ぬ間に洗濯」といえるでしょう。
英語圏でも主人や上司がいなくなってくつろげる状況になることの表現として「When the cat’s away, the mice will play.」を使用します。
まとめ
「鬼の居ぬ間に洗濯」は恐ろしい人や怖い人がいない間にのんびりとくつろぐことを意味することわざです。
ここでの「鬼」とは主人や上司のことを意味しています。
その一方で「洗濯」がくつろぐ意味で使用されるようになった背景には、昔の洗濯事情が関係しています。
現代では気兼ねする人がいないような状況を指して使用される言葉なので、ぜひ覚えておいてはいかがでしょうか?
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