「闇バイト」による強盗事件が相次いでいることを受けて、捜査員が架空の身分証を使って「闇バイト」に応募し、犯罪グループに接触する「仮装身分捜査」の導入を警察庁が検討していることがわかりました。
首都圏を中心に相次いでいる一連の強盗事件では、逮捕された容疑者の大半がSNSで「闇バイト」に応募し、その後、指示役から秘匿性の高い通信アプリに誘導され、身分証の画像や個人情報を送るよう求められてから犯行に加担しています。
警察当局への取材によりますと、警察庁は抑止対策として「仮装身分捜査」の導入を検討していることがわかりました。
「仮想身分捜査」では、捜査員が架空の人物の身分証で闇バイトに応募して犯罪グループに接触し、強盗などの犯罪が発生する前に摘発することを想定しているということです。
本人確認書類の偽造は違法ですが、刑法では「法令または正当な業務による行為は罰しない」と規定されていて、警察庁は現行法の範囲内でも可能と判断し、今後、運用指針を策定して、来年にも実施したい考えです。
「仮装身分捜査」が国内で導入されれば、初めてとなります。
きのう、自民党は高市前経済安全保障担当大臣をトップとする治安やテロに関する調査会を開き、「闇バイト」対策をめぐる政府への緊急提言を取りまとめました。
この提言では「仮装身分捜査」の導入が盛り込まれたほか、「闇バイト」の募集情報がSNSなどに載った場合、AI=人工知能などを利用して、すぐ削除できる仕組みを構築することなども検討するよう求めています。
政府は今月17日に犯罪対策閣僚会議を開き、対策を取りまとめる方向で調整しているということです。