お笑い芸人のにしおかすみこが、自身の家族について綴った最新刊『ポンコツ一家2年目』を発売。認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父と同居について記した本作は、発売直後よりメディアやSNSなどで高い注目を集めている。にしおか本人に話を聞いた。
ーー帯に「『壮絶だけと笑って泣ける』家族のリアルな物語がパワーアップ」と書かれていますが、今作のポイントはどのような感じでしょうか?
1作目より今回の2作目『ポンコツ一家2年目』のほうが、内容もページ数もパワーアップしています。それと、家族は私も含め確実に老いていますが、何故か母姉父の個性がパワーアップです。それに伴ってわたしの経験値がパワーアップ。ちなみにわたしの文章力もパワーアップ。自信がありいます(笑)!
ーー元になっている連載も含め、どういうことに気をつけて書いているのですか?
エピソードを誇張しないということです。SMの女王様キャラでネタをしていた頃は私自身の自虐ネタ漫談でした。これはお笑いですし、自分の話なので盛ってもよいと思います。ですが、家族は違います。プライベートや尊厳を考えながら、でもきれいごとではないという狭間で、考えながら書いています。
ーー発売記念のイベントでは、日々に疲れた時など「自分ファースト」を大切にしていると言われていて、その言葉に救われる方もいると思いました。
わたし自身も日々迷うことがたくさんあるのですが、“自分ファースト“はずっと大切にしていることなんです。凄く病んでしまうと、中々元に戻すのが大変だと思うんです。なので、ちょっと疲れてると感じたら、なるべく息抜きして、元気な状態に戻すというのをこまめにやります。昔より、自分の気持ちに心を傾けるようになりました。
ーーまた、書籍のエピソードの中で、一線を超えたと書かれていましたが、それは家族を守ること、晒してしまうこと、その両方の覚悟なんですね。
そうですね。実家で生活する24時間全てを書くわけではないので、どこをどう切り取るか、どう読者の方々にお伝えするかを考えます。誤解のないようにとか、家族は守れているだろうかとか、あと皆さんに笑っていただけるだろうかとか。でもあまり考えてると、私、PCの前で何時間も固まって、オブジェみたいになるので(笑)。「もともとポンコツじゃないか私。気負わず、自然体、自然体」と心で連呼しています。
ーー書くことがお好きだそうですが、これまでにも書かれていたのですか。
以前、私が女王様キャラだった頃にエッセイを1冊出しています。あとは極たまにですが、単発で雑誌などの特集テーマに沿って書いたりはありました。書くことは好きなのですが、日々の生活に流されて、たいして仕事もないのにダラダラしたりで、貪欲に書き続けるということをしてこなかったです。今回のように連載、2冊目の書籍と続くのは初めてなので、とてもありがたいです。せっかくいただけたチャンスです。逃さずしっかり広げていきたいです。
ーー改めてここまで反響のあるものを書かれていかがですか?
嬉しいです。書くのは私ですが、連載も書籍もたくさんの方々のお力があって世の中に出ています。もう本当に、そのお一人おひとりに感謝しきれません。
ーー最後になりますが、読まれる方にメッセージをお願いいたします。
私の書いた本に役に立つような情報はありません。ただただお腹抱えて笑って欲しくて書いています。連載、書籍の1冊め、2冊目、どのエピソードから読んでいただいても大丈夫です。皆さんの箸休めになりますように。
●にしおかすみこ プロフィール
1974年生まれ。千葉県出身。2007年日本テレビ「エンタの神様」で女王様キャラのSMネタでブレイク。現在はテレビ東京「なないろ日和!」など、リポーターとしても活躍中。趣味のマラソンでは、2019年にフルマラソンで3時間05分03秒、2015年ウルトラマラソン100キロ女子の部にて第2位!! 最近はベジタブルカービングにハマりクオリティーの高さで話題になる。デジタルメディア「FRaU web」にて「ポンコツ一家」連載中(毎月20日更新)。