昭和生まれの記者にとって、成人の日といえば1月15日。だが、いつの間にかハッピーマンデー制度とやらで変更され、今は1月の第2月曜日が成人の日に。そして、成人の日に関してもうひとつ、昭和の人からしてみたら信じられないのが、成人年齢の変更だ。2022年4月の民法改正で、それまでの20歳から18歳に成人年齢が引き下げられたのだ。長い間、何をやるにしても「まだ10代でしょ、二十歳になるまでガマンしなさい!」と押さえつけられていた昭和の人の多くは、おそらくこの変更が解せないと感じているのではなかろうか。そこで今回、博報堂のシンクタンク「100年生活者研究所」が18歳~80代の男女800名を対象に「大人」をどのように捉えているのかという調査を実施。ここでは、その結果を見ていくことにしよう。
大人になったと自覚した年齢の最多は「20代」。これはやはり、2022年の改正民法施行前は成人年齢が20歳だったことから、多くの人が自身の体験として20代以降で大人と実感したのだろう。
次に民法改正によって成人年齢が18歳に引き下げられたことを踏まえ、18歳を大人だと思うかどうかを聞いたところ、全体では「大人だと思う(そう思う、ややそう思うの合計)」は56%という結果に。一方、当の18~20歳の新成人層では72.9%にまで上昇した。新成人層の結果は想定内といえるものだが、全体の結果が半数を超えたのは意外だった。これは、法律で成人として認められたのだから、大人として自分の行いに自覚を持ってほしいという願いがこの数字に表れているのだろうか。
続いて「あなたは100歳まで生きたいと思いますか?」という質問に対する回答を、全体と新成人層で比較した。その結果、「とてもそう思う」「そう思う」と回答したのは全体で31.4%だったのに対し、新成人層は19.6ポイント高い51%となり、新成人層は人生100年時代を好意的に受け止めていることが示唆された。この結果に対する考察はいろいろとあるとは思うが、生まれた時からすでに医学は進歩しており、中高年者が元気にしている姿が当たり前のように周囲にあった新成人層にとって、人生100年時代は当然のことのように感じているのだろうか。
今度は人生100年時代における大人像について、15の回答項目から当てはまると思うものを選んでもらい、「100歳まで生きたい人」「新成人層」「調査対象者全体」のそれぞれを比較した。その結果、「100歳まで生きたい人」と「新成人層」は全ての回答項目で全体の割合を上回り、人生100年時代の大人像についてのイメージ量が多く、より明確にイメージできることがわかった。
最後に、人生100年時代における大人像について、新成人層の回答割合が調査対象者全体よりも高かった上位5つを比較したところ、「いろんなことに挑戦し続けられる人」、「長い人生で楽しみを見つけ続けられる人」の差が特に大きいことがわかった。この2つは探求心を持ち続けることが共通しており、これが新成人層の特徴であることがうかがえた。
【100年生活者調査~新成人編~】概要
調査目的/人生100年時代における新成人の幸福を把握する
調査手法/インターネットモニター調査
調査日時/2024年12月
調査対象/18~80代の男女800名(18~20歳の最近の新成人層は105名、集計時にウェイトバックを実施)
今回の調査結果を見ていて記者が気づいたのは、新成人層の意識は「100歳まで生きたい人」の意識とリンクしている可能性があることだ。つまり、すでに人生100年時代に向けて歩みを進めている「100歳まで生きたい人」の影響を、無意識のうちに受けているのではないかということ。例外は当然あるとは思うが、35年以上も前の記者の新成人時を振り返ると、自分を含め、周りの仲間も将来を明るいものと信じていた。もちろん、その後の人生は人それぞれ。想いを実現した者もいれば、志半ばで病気や事故で亡くなった者もいる。だが前途のある新成人層にとって、これからの人生は「100歳まで生きたい人」のポジティブな思考を知らず知らずのうちにデフォルトとして意識にインプットし、人生を歩んでいこうとしているのではないか。そんな感触が感じられた調査結果だった。