三菱UFJ銀行の貸金庫から十数億円相当の金品が盗まれていた問題で、警視庁は46歳の元行員の女を逮捕しました。
【動画】「FX投資に使った」三菱UFJ“貸金庫窃盗” 元行員の女(46)を逮捕 FX・競馬で多額の損失… 盗んだ金塊2.6億円相当は質店で換金か【news23】
記者
「午後8時です。三菱UFJ銀行の元行員の今村容疑者が出てきました」
うつむいて警察署から出る女。14日夜、窃盗の疑いで逮捕された三菱UFJ銀行の元行員・今村由香理容疑者(46)です。
三菱UFJ銀行 半沢淳一 頭取(先月)
「信頼・信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがすものであると厳粛に受け止めており、お客様や関係者の皆様に心よりお詫びを申し上げます」
先月、銀行ビジネスの“根幹を揺るがす”事態だとして、頭取自ら謝罪していました。
今村容疑者は去年9月ごろ、当時勤めていた東京の練馬支店の貸金庫で、男性客2人が預けていた金塊19.5キロ=およそ2億6000万円相当を盗んだ疑いがもたれています。また盗んだ金塊は、東京と千葉のあわせて7か所の質店に持ち込み、現金に換えていたとみられています。
警視庁の取り調べに対し、今村容疑者は…
「FX投資に使った」
今村容疑者は長年にわたり行っていたFX投資や競馬で多額の損失を出し、貸金庫の中身を盗み始めたということです。FX投資では、少なくとも5年でおよそ10億円の損失を出しているということです。
三菱UFJ銀行によると、窃盗が始まったのは今村容疑者が江古田支店に在籍していた2020年4月のこと。その後、去年10月に玉川支店に異動し、事態が発覚するまでおよそ4年半にわたり続いていたとみられています。
三菱UFJ銀行 半沢淳一 頭取(先月)
「被害を受けられた可能性が高いお客様は約60名であり、被害の総額は時価十数億円程度となる見込み」
「かけがえのない財産を安全にお預かりします」(三菱UFJ銀行ホームページ)
貸金庫についてホームページで、こう安全性を謳っていた三菱UFJ銀行。
前代未聞の“銀行員による窃盗”は、どのようにして起きたのでしょうか。
貸金庫を開けるためには2種類の鍵が必要で、銀行と顧客がそれぞれ保管しています。しかし、三菱UFJ銀行では、顧客が鍵を失くした場合などに備え、支店で顧客用のスペアキーを保管。スペアキーは封筒に入れ、割印をして保管されていましたが、今村容疑者はこのスペアキーを管理する立場で、鍵を持ち出し、盗みをはたらいていたと見られます。
三菱UFJ銀行 半沢淳一 頭取(先月)
「貸金庫領域においては、これまで不祥事が発生していなかったこともあり、リスク認識が低かった」
今村容疑者は被害の発覚を遅らせるために、ほかの客の金庫から現金を一時的に補填。どの金庫に、いくら入っていたのか記録するため、金庫内をスマホで撮影していたとみられています。
逮捕を受けて、三菱UFJ銀行はコメントを発表。
「お客さまをはじめとしたご関係者の皆さまにご迷惑とご心配をおかけしており、改めて心よりお詫び申し上げます。弊行は、これまでと同様、警察の捜査に全面的に協力してまいります。」
取り調べに対し今村容疑者は、「9月ごろに盗んだことに間違いないです」と容疑を認めているということです。
警視庁は、今村容疑者がおよそ60人の顧客の貸金庫から現金10億円以上と金塊などの金品、時価総額7億円以上を盗んでいたとみて余罪を調べています。