ウェルネス・運動施設向けオールインワン・マネジメントシステム「hacomono(ハコモノ)」を開発・提供する株式会社hacomonoが、新たに総額46億円の資金調達を行ったことを受けて、1月22日に報告会兼新事業構想発表会を開催。代表取締役CEOの蓮田健一氏、同社の出資者でALL STAR SAAS FUNDマネージングパートナーの前田ヒロ氏が登壇しました。ここでは全体の話題の中から将来構想的な部分を中心に着目し、同社が描く未来像についてお伝えしていきます。
活況示すフィットネス業界支えるBtoBtoCサービス「hacomono」
健康志向の高まりを背景に拡大を見せるフィットネス業界。昨今は24時間営業&低料金の“コンビニジム”が特に活況を示しており、その急成長の影ではクラウド型システムの導入による自動化、省人化等のスマート化が大きく寄与しています。2013年創業の株式会社hacomonoは「ウェルネス産業を、新次元へ。」をミッションに、主軸事業であるオールインワン・マネジメントシステム「hacomono」の提供を通じてフィットネスクラブやインドアゴルフラウンジ、公共施設などのスマート化を支援。入退館QRリーダーやスマートロックなどのIoTサービス、バックエンドの業務を支えるSaaSで全国8000店舗以上をサポートしています。
過去約1年半だけで導入店舗数を約2.6倍に伸ばし、現在までの累計ユーザー登録数920万人、年間キャッシュレス決済額は1500億円と加速度的な成長を見せている同社。
この日、新たな46億円の資金調達について説明を行ったCEOの蓮田氏は、hacomonoの強みについて「hacomonoはBtoB向けのプロダクトではありますが、その先にいるエンドユーザー様を意識し、マイページ機能を設けているなどBtoBtoC向けのサービスになっている点が特長です」と話し、入会手続きや予約、月謝の支払いなどが利用者の端末でできるユーザー体験の高いインターフェイスを提供できている点を強調。
その上で2023年にフィットネス業態で新たにオープンした店舗の70%にhacomonoが導入されているというデータを示したほか、その他、プロスポーツチームにも導入が進む事例として、hacomono導入後に体験予約の数が2倍に増加したというJリーグ・FC琉球のサッカースクールの例を挙げて自社の成長をアピールしました。
CEO語る「hacomono」の未来展望。6つの重点投資領域について
その後、ALL STAR SAAS FUND前田氏による「2025年のSaaSにおける5大テーマ」の講演に続いて再び登壇した蓮田氏は、46億円の新規投資を受けて目指す今後の事業構想を発表。
「8000店舗の導入実績を活かした新規サービスの提供」と「導入業種の拡大」「グローバル展開」の3点を中長期的な目標に挙げた同氏は、自社のレイヤーケーキ戦略を示しながら、今後の重点投資領域として「AI」「カメラ」「Fintech」「新しいサービス・プラットフォーム群の投入」「M&A/グローバルの推進」「近隣ドメインへのGo to Market」の6点を提示し、その上で「今後はSaaSとしてデータ分析CRMを強化したり、IoTの新プロダクトを展開したり、Fintechに関しても新しいサービスを提供する中でレイヤーケーキを重ねながら、既存のお客様の付加価値を高める機能を増やすことでさらなるお客様の獲得につながるところへ投資していきます」と説明。
そのうち「Fintech」については「日本でSaaSというと業務効率化という印象が強いですが、アメリカのインダストリーSaaSには、業界の業務フローを完全にデジタルに置き換えて、その先で業界特化型の金融サービスを提供してTAM(市場規模)を広げているようなものがあります」とし、「我々もウェルネス産業でそういった形を目指しており、例えばお客様の売り上げデータに応じて我々がファイナンス融資をするレベニューベースドファイナンスですとか、業務委託のスタッフさんに対する新しい給与の支払いサイクルですとか、そういった金融のプラットフォームを考えていきたい」といった具体的なアイデアを明かしました。
一方、「AI」「カメラ」についても「AIカメラというとセキュリティに目が向きがちですが、我々のソリューションではエリアごとの利用人数をカウントしたり、エリアやマシンと利用者のデータとを紐づけて行動履歴を追うといった機能を考えています。また、当社は利用者の利用履歴や購入履歴など非常に質の高いデータを持っていますので、今後はそういったものにAIエージェントなどを組み合わせて、いろんなことを自動でリコメンドしたり、シミュレーションできるなど破壊的なイノベーションとなるサービスを狙っていきます」と詳しい言及がありました。
終盤では、上記の6つの重点投資領域を担うメンバーを中心に今後1年で100名程度の人材採用を行うことも発表。質疑応答の時間には参加者から熱量の高い質問が寄せられ、まさに急成長のSaaS企業の勢いを感じさせる発表会になりました。フィットネス業界を盛り上げ、さらに広がる未来を描く株式会社hacomonoの今後の展開に注目です。
「hacomono」公式ホームページ:https://www.hacomono.jp/